ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

『Z/X(ゼクス) Zillions of enemy X』体験会レポ

 4月28日に参加したイベントの雑感を以下につらつらと。

参加にあたって

 無料で始められるという謳い文句の新作TCG『Z/X(ゼクス) Zillions of enemy X』、その体験会も参加費は無料。交通費は勿論別途だが。ただ体験会のイベントは会場となる店の収容人数の関係か配布品の数量か、開始時間にちょうど来ても参加できないこともある模様。事前に受付で参加予約を入れておくのが良いと思われる。この機会に初めてカードショップの類に行く、といったカードゲーマーの卵が出鼻を挫かれるようなことは起きない方が幸いである。
……で、イベント参加者に配布されたのは、以下4点。

  • 50枚入りデッキ「紅蓮の英雄&漆黒の魔人」
  • ルールブック兼フリーカード冊子
  • 公式プレイマット
  • プレイヤーカード一種


 間違えてはいけない。「紅蓮の英雄」と「漆黒の魔人」ではなく「紅蓮の英雄&漆黒の魔人」である。各色25枚ずつ、いきなり二色混成である。冊子の内容も同じものだが、それ自体は薄紙なのでカードを入れたスリーブに重ねて所謂「プロキシ」*1として使うことを想定したものと。
 プレイヤーカードは司会役を務めたブロッコリー社員の方が配布したもので、公式サイトで紹介されている5人のメインキャラの内いずれかがランダムで参加者に渡った。なお冊子には赤と黒のプレイヤー「黒崎神門」と「上柚木綾瀬」が収録されている。現時点ではゲーム上マーカー以外の意味は持たないので、自前でこれぞというカードを用意しても構わないだろうし、使わなくても問題は無い。

プレイ雑感

 まずもって初日はルールの把握、動き方の把握に終始した。対面に座った相手と勝負を繰り返すこと数度、双方使っているデッキは同じなのである意味将棋かチェスの亜種のように感じなくもなかったり。
 リブート(アンタップ)、2ドロー、リソース(セットランド)、イグニッション、メインフェイズ、ターンエンド……この順序に慣れないことには始まらず、ターン毎にルールブックを確認したり、チャージが溜まっているのにイグニッションを忘れてメインフェイズに入ったり*2ゼクス(ユニット)が破壊された時はチャージに置くというのを忘れてトラッシュ(墓地)へ、というのを何度となくお互いに指摘しあうことになった。まあ初めてのゲームだしな。いずれ出るというコンシューマーゲームやオンラインなら、その辺の手続きを人為ミスすることは無いだろうけど。

 毎回手札が2枚増えるので、色が噛み合わない限りは順々にリソースが増えて高コストのゼクスが呼べる事になる。こちらが高位を出したなら、相手も出せる。そして攻撃を受ければ一方的にやられるしかない以上、場に出したゼクスは基本的に長生きしない。挟撃されれば低位ゼクスにもやられかねないし、基本的に消耗戦となる。倒されたゼクスはイグニッションの機会となるが、まあ確率60%でそのまま墓地逝き。イグニッション出なかったカード諸共に。
 デッキに入れたカードを十全に使いたい、という願いが叶わない構造と言えなくもない。ポケモンカードゲームの「エネルギーカード」やMTGの「土地」に対し、アクエリアンエイジの「パワーカード」やモンコレの「代理地形」といったデッキのカードをそのまま転用するタイプである為に。逆に言えば状況により役立てないカードも、リソースに置く事で他のカードを使うための力になるのだが……リソースを置いてからイグニッション、という順番が悩ましい時もある。

 4点ダメージ与えれば勝ちのルールで、1点を与える事にどれだけ注力し、同時に守りを固めるかというバランスが難しい。プレーヤースクエア(本陣)の左右を空けておくとガンガン攻め込まれ、本陣ゼクスが破壊されると守るもの無きプレイヤーに直接攻撃が入ってしまう。また相手の攻勢を迎撃すればする程に相手のチャージは溜まり、返しのターンでイグニッションが決まれば更にきつい攻撃に晒される。迎撃に手一杯になると、相手本陣を狙う暇がなくなる。先攻はドローがないから毎回2ドローのこのゲームでは後攻に手札アドがある筈が、私が下手だったこともあって、そういう状況になると先攻が有利に感じられた。召喚酔いもなく殴ってくるし。ただダメージを受けた時もイグニッションの機会があるので、そこで決まれば連続攻撃を防げる可能性はある。除去呪文もあるので一概には言えないが、逆に連続で殴れる機会を得たならば攻撃力が低い順に当てるのが良いのかも。
 また相手に除去されたならそこに空白ができるので、余力あらば更にゼクスを登場させ殴るという追撃も可能。そういえばルール上、リブート状態のゼクスをトラッシュして新たなゼクスを登場させられるのだが、先日はついぞそういうことをやらなかった。勿体無いと思ってか、そもそもそんな余裕が無かったか。

 私と対面の方は始終、最初のターンからユニットを置いて殴っては返してというプレイをやっていたのだけれど、隣席のペアなどは序盤はリソースを置くだけに留めターンを渡し、存分に動けるようになってから応酬するという戦術に入っていた。ルール上枚数が決まっているイグニッションとライフリカバリーの場と墓地に出た数を確認し、一見運ゲーに見えるイグニッションを如何に扱うかということを探究しているようでもあった。MTG遊戯王、またモンコレに比べ場に出せる枚数が少なく、狭い盤面の上とはいえ、駒運びや手札の使い方はいくらでも複雑になるやも。ルールは割とシンプルであるが故に。好意的解釈ッ。

蛇足というか設定面妄想

 公式でストーリーイベントなる、MTGにおけるミラディンとファイレクシアの戦争を想起させなくもない大会をやると当初から告知している。公式パック発売の前というのはどうなんだ、とは思うが、ゼクスカードを扱う地球人の行動で5勢力の趨勢が変化せざるを得ないという存在感はある。その時点でユーザー達のデッキがどういう風になっているかは定かでないが、まず単色は作れないのではなかろうか。主人公たちは大体事情からしてその勢力に肩入れし、そのゼクスを扱うのだろうけど。

 設定上、5色の各勢力は自身勢力の未来を守る為に他の可能性である他勢力を撃滅することを目的とする。だのに地球人に与えられたデバイスにより多色デッキが可能で、同じ色に属するゼクスが相討つことしばしばというのはストーリー上どういう意味合いなのか。赤は歴史人物のクローンや競合の設定があるのだが、これもフレーバーやらメディアミックスやらでどう描かれるか。
 また高コストゼクスは、現時点で挟撃で討たれるのと同じくらい同名ゼクスにやられ易い。先に登場した者は後から出てきた者に倒される。デッキに同じカードは4枚入る。ゲーム上では普通の事だが、物語としてはどう解釈されるのか。他のTCGでもよくあるが、なにしろ現状―――カードプールが少ないから

 グダグダと書き連ねてきたものだが、最後にひとつ。フレーバーに曰く、赤の【ブレイバー】は過去の英雄の遺伝子から再構成・強化された存在である。また同勢力の【ギガンティック】はブレイバーを倒すために創り出された、という。赤の勢力は実験として生み出した器同士を戦い競わせているし、黒の勢力は殺し合いを続けた結果消滅の危機に瀕している。つまり……門を通り地球へ侵攻する目的は一つだが、各勢力の内部が一枚岩という訳ではない。故に第六勢力ないし無所属である地球人の元で多色デッキは発生しうる、のかもしれない。THE 妄想!
 モンコレの召喚術師やアクエリのマインドブレイカーみたく“真の名”を掴むなりで支配すれば元勢力が何処かなんて関係なくなるのかもしれないが、その辺がどう設定されてるのかもまだわからんしね。

*1:代理カード。カードに目印なりを張って別のカードとして扱う事。カード資産が足りないとか、考えたデッキの試験運用だかで使うのだろう。

*2:別に毎ターン使わなくてもいいのだが、チャージは5枚以上できないし終盤でデッキが切れない限りはバンバン使えという印象。終盤のデッキ切れで1点ダメージは致命傷になるかもしれんし。