ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《思考吸飲/Thoughtleech》/『極黒のブリュンヒルデ』第31話

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見せなくてはならぬモノ、見てはいけないモノ

「……なんなんだ これは
結局 誰も魔法など見せてくれないではないか」

「良太 お前には失望した もう少し利口だと思っていたよ」

「おい・・・」ワナワナ
「お前らおれがなんとかしてお前らを助けようとしているときに・・・
何でどうでもいいことに魔法使ってるんだ? しかも人前で・・・
魔法がばれたら捕まって殺されるんじゃないのか?
どうなんだよ 違うのか?」

「ごごごごめんなさい・・・」シューン


「つまり・・・あの予知は本物だということだ」
「なら 良太は本当のことを言っているということか?
確かにあの受精卵は地球外生命体の可能性があるわけだが・・・」
「…………仕方ない また2時間歩くか・・・」


―――いやあ、こ れ は ひ ど い 。迫る危機を知らぬとはいえ、一種の平和ボケで裏目
 前回の嫉妬暴走がこんな結果を招くと誰が想像し得ただろうか。更には小鳥まで。実演向きの二人がボケ担当でもあったのがここにきて痛恨。カズミがドヤ顔で履歴だの口座だのを浚ってみせたけれど、「そんなもの魔法でも超常現象でも何でもない」とバッサリ。小五郎には専門外ゆえ、“素因数分解”を可能にする凄さが伝わらなかったか、伝え方も悪かったか? 実際、魔法っぽくないのは確かだしな。
 折よく? 佳奈が小学校*1の落雷を予知し、カズミ良太の連携で小学生三人の命を救ったものの……その場で小五郎*2「再現性のある疑いようない超常現象」を信じさせる事は出来ず鎮死剤の開発中止を言い渡されてしまうのだった。

 ネコさんの暴走はある意味で良太のエロゲーハーレム主人公の如き言いまつがいが原因としても、小鳥さん遅刻にならないためってどうなんだ……気の緩みにもほどがある……いやさ、気が緩むほどに穏やかな時間を過ごす事を、他ならぬ良太が望んだのだけども。落雷のニュースを見た小五郎が状況を確認した上で、今一度試す気にはなってくれたのが不幸中の幸いで、今回は完全に運に助けられた感。

Side Labo

 そんな風にすったもんだをしている間に、着実に刺客は迫っているのだった。時系列としては小五郎が天文台を訪れる前か。山を挟んで軽井沢、天候が大きく違う様子。まあこの後の出来事を考えると雨が降っていると不都合か。より効果的になる可能性もあるけれど()
 前回ラストで人間記憶のみならず、場所物体からも読み取れるかのように思われた(勝手に勘違った)けれど、そんなことはなかった。良太の男ぶりを読者視点で見定めた結果、彼女が惚れたりする展開は多分にナシ。残念! 単に絵心が無いのか個人認識に障害でもあるのか、通報した婆さんから読み取った人相から描いた似顔絵シュール過ぎる*3だろ……。

 黒服兄さんは魔女を扱うプロで、初登場時から危険度高そうに見えたのだが……彼女が特殊なのか、何やら扱いかねている気もする。ハーネストに設置されたビーコンの遠隔操作で即イジェクト、黒服が定時連絡しなくても自動的にイジェクト。『エルフェンリート』のマリコを思わせる処置だ。そこまでして寧子を“発見捕獲”すれば“ご褒美”というあたりに彼女という存在の特別性を感じる。研究所及び高千穂で一番重要な存在はSランク「ヴァルキュリア」と推測されるが……あるいは、黒服にとっての特別なのか?


「……まぁいい そいつもゆくゆくは処分しなければいけないが
まずは1107番だ」
*4
「もっと人通りの多いところじゃないと スキャンする意味が無い」
「……そうだな」


 それにしてもだ、あの娘にああいう力の使い方を教えた奴は誰だ……!? 裸足で街頭に立って、フリフリスカートを捲り上げてみせて通行人の視線を釘付けなんて、なんていい趣味してやがる()
 おまけに「次号、少女の挙動に人々は…!?」だと。この上に何をやらかす気だ……見たいような、見たら根こそぎ記憶を持っていかれそうな。二週間連続でキュイイイイインENDだけども、前半はかつてなくグダグダだったけども、本当にどうする気だ岡本倫ドSッ!?

 待ち受ける相手でなく、遭遇戦でなく、狙って迫りくる相手。じわじわと、まったくもって不安でいっぱいなまま、来週へと続く。やはりドSか。

*1:市立「奥信」て……さらりと『ノノノノ』を想起させるね。

*2:「姉さん」が村上母を指すのなら母方叔父で確定か。母の旧姓が柱谷で、村上は事故死した旦那の姓。

*3:この点で、見たものを忘れ得ず視覚に取り込んだ像をある程度正確に書き起こせる良太の能力は、彼女の補佐補完に有用と思われる。この符合らしきものが意味を持つかどうかはわからんが。良太とか、所長とか……?

*4:調査開始にあたって写真を渡す辺り、誰?と返事が返る辺り寧子と知己ではないらしい。佳奈かカズミが知っていれば予知を基点に予測と準備ができるかもしれんが、平日に端末を確かめに行っているタイミングで来られると天文台に来られても学校に来られてもヤバイ。