ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《胸壁の見張り/Parapet Watchers》/『極黒のブリュンヒルデ』第34話

(前回感想はこちら)
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ふぎゃー!! ふぎゃー!! ふぎゃー!! ふぎゃー!!

「……まさかこのおれが・・・あいつを騙すためとはいえ 赤ちゃんプレイをするだなんて・・・」ギリギリギリ


―――岡本倫ドSめ……順当に来て安心したのか落胆したのか自分でもわかんぬぇ……。

 という訳で、前回の衝撃ラスト、村上良太赤ん坊化はキャンセルと相成った。つまり鳴き声と涙は演技である。何気に役者の才能があるんじゃないかと不意に。台本は一度目を通せば覚えられるし、土壇場の度胸もある(現在進行形で鍛えられ続けてる)しね。NASA志望どころか高校卒業も(生死的な意味で)危うい上、その頃の人類存続も不安視されるのが極黒の未来図である故、詮無い想像だが。
 また前々から不審な点があり、AA+の【操憶】が通じなかったことで更に謎を深めた完全記憶能力の秘密について、明らかになるのはまだ先との言が作者Twitterからあったそうなので、ますます自覚無い部分で主人公は何者だという話。本当に“ジークフリート”的な存在として用意されたとでも? 御母堂には『ARMS』的な想像がちらつくし、父親と弟の事故死にも疑いの目を向けずにはいれない。

 ともあれそんな良太を無効化したと思って奈波が立ち去った後、魔女達の居所が知られた危機を相談すべく天文台へ向かう良太だが……

( ゚∀゚)o彡°おっぱい!おっぱい!

「67〜 68〜 69〜 70〜」モミモミチャプンチャプン
「なんや もうのぼせんか? 顔真っ赤やで?」モミモミ

「あの これは・・・のぼせたわけじゃなく・・・」プルプル
「ひょっとして小鳥 感じてんのか!! オッパイ揉まれて!!」
「あっ・・・ あの!! 違います!! ひゃっ・・・ そんなとこ確認しないでください!!」

「毎日学校へ通って・・・普通の人と同じように暮らしていたから 自覚が足りなかったのかもしれない
私たちの寿命が・・・もう残り少ないってこと・・・
そのために村上君が・・・必至にがんばってくれてるのに・・・」

「……私は まだあきらめてへんで だって・・・」
「おい!!」
きゃ――――!!


―――ふう……。シリアス長続きしねぇなあ……否さ、状況は常に深刻である一方で、少女達のボケエロとが絶えない極黒の性よ。何より、仮初でも平穏を享受させることを誰より良太が望んできた。まあ小五郎へのプレゼン失敗は普通に怒ってよいとは思うし、軽井沢で良太救出の折に力を合わせる事を説いた寧子が自省を口にした事自体は、危機迫る中で引き締めの意味で悪くない。これより、戦闘配備。
 佳奈やカズミから魔法を知らされたこれまでと違い、魔法を直に受け分析した良太が情報を持ち帰った上での作戦会議。佳奈が奈波と面識が無いまでも【操憶】の魔法自体は知っていた事は、【視憶】として登録されている筈の奈波の実力が黒服より上(つまりイチジク所長)に悟られているか、彼女と別に【操憶】の魔女が存在する可能性を匂わせていると感じるが……直ぐさま奈波に刺客が送られでもしない限りは予断に過ぎず、今の所は問題となるまい。
 一方で小鳥が珍しく、と言うとナンだが*1、鋭い発言。良太自身については奈波が策を施した様子が無い、もとい策で謀るような発想が無いとしても、作戦中に魔女達が小鳥が懸念したような意識改竄*2を受けた場合は一発で致命傷となりうるわけだし―――例のバイザーが役立つかな? あるいは目を合わせてはならない奈波の監視役が記憶を操作されたという事実から、周囲の人間を操る手法を良太が悟り、一般人を巻き込まない為にも人気の無い場所で仕掛ける*3とか……まあ何にしても、


「まず作戦を立てる前に 決めておきたいことがある」
「おれたちは刺客と戦うか それとも ここから逃げて別の場所に潜伏するか」


 懸念自体は前々からあって、その度に考え過ぎで終わったように見えていた問題。それがついに良太の口から提起された。このことは状況が如何に切迫しているかを端的に表しているように思う。実際問題として、小五郎と連絡を付けず逃亡したり、追っ手から逃げられても連絡付けられなかったら鎮死剤切れで終了となってしまう。件の端末の中身を確認する余裕もすっ飛んでしまっているし、本格的に追っ手の目を逸らすためにわざと電源入れる可能性も出てきたかもしれない。
 第1話で示唆された未来に繋がる状況悪化はまだ先の話だと予断していたが……疾うに命を賭す覚悟の決まっている良太は寧子達の為に、寧子達も想いそれぞれに、そういった事態は出来る限り避けたいだろう。現状が第3章の続きだか第4章だかは単行本が出るまで不明だが、この件が収束した時どういう様相となっているか……やはり不安で一杯。なのだが、


( ゚∀゚)o彡°おっぱい!おっぱ……い?

「……こんなことしてちゃ駄目だ せっかく今日1日だけは 普通の女の子として過ごそうと思っていたのに
決めた 今日はもう魔法を使わない」グウーッ
「困った・・・お腹空いた・・・」ダラダラ

「いくらで売る?」「……50円」「安いなお前」

「ふむ なかなかいいカラーじゃないか グラデーションも美しい」
「もう 千円分見た?」ダラダラ
「ああ いいだろう」

「……誰だっけ? あいつ・・・」


「……平たく言うと・・・ わたしはあの子供をおっぱいで助けたことになる」

「ねぇ・・・おへそだといくら?」「さっき見たから0円」


―――ふう……。緊張感が長続きしぬぇ! そして『エルフェンリート』のナナに匹敵する()金銭感覚! 基準値10円の飴かいっ。1000円は確かに小さい内はデカイ額だったと思うが……幾つだ奈波。いや実年齢が精神年齢に一致しないのは研究所歴10年で記憶虫食いの寧子という実例があり、翻って【操憶】を備える彼女は逆に年齢不相応に他人の経験値を活用できて然るべき、筈が……どうしてこうなった。

……確信した。奈波は、【破撃】で物の破壊に徹底習熟させられた寧子と対照的に、【操憶】(【視憶】)を活用する訓練を、まったく受けていない。それは実力を隠していた為に相応の訓練を受けられなかったかもしれないし、今回の反逆のような事態を避ける為にあえて単独の活動能力を伸ばさなかったのかもしれない。ホテルの無料宿泊に良心の呵責を感じたり、金を借りるにも子供達の仲裁にも【操憶】を上手く使えばもっと損の無いようにやれたのにそうしなかったり、残された良心か「普通」への憧憬か……傍目には思い切りエロコメディなのがなんとも言えない()。

 それにしても黒服……もしかして昨日からずっとそのベンチで城を見張ってたのか? 実験の時に胸どころじゃないのをを見たとか、今回の事といい、全く同情する気は起きないがっ。それに現時点で彼の記憶や意識がどうなってるのかイマイチ判然としない。モブ化させられたと思いきや奈波を翻弄するあたり、意外に大物……というか、単に変態かもだが。繋がり途切れぬネタキャラコンビ!



 状況は間違いなくピンチのはずなんだがなあ……とりま、最後にひとつ。TCGの「レアカード」は逝く所まで逝けば千円なぞ端数以下である。正しく、札を刷るが如く。イイハナシダッタノカナー

―――このギャップが何に起因するかと言えばだ。失策続きながら厳然と非情の組織である研究所に情報を持ち帰らせない為に、強力な魔法を備えながら実年齢未満の経験しかない奈波を抑えなければならないということだろうか。アンビバレンツ!

*1:悲しい時ほど笑顔でいなさい、という千絵姉さんの遺言を明後日の方向で遵守した誤解を解いて以降、活躍が課長さんと入れ替わった以外に無かった。お色気担当弄られ巨乳担当の挙句、豚とか非常食呼ばわりだし……まあ彼女が活躍せず、無理に笑顔を作る必要も無い平時が続く事も良太の望みであろうが。

*2:「一体いつから―――記憶操作を受けていないと錯覚していた?」

*3:もしくはカズミに何らかの誤情報を撒いてもらって人通りを減少なり封鎖なり、までやると騒ぎが大きくて結局居場所が知られる危険があるか?