ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

『美大受験戦記 アリエネ』第66話――《留まらぬ発想/Ideas Unbound》

「ふっ。選ばれるのは 俺だな」「中二はだまってろ」
「オレは高三だっ」「一生 中二だろうな」

(第65話の感想はこちら)

 第66話「中二星人」(4月1日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)。コンクール⇒恋愛パート⇒再戦コンペティション

「ふっ、ようするに葛飾はお前の恩人みたいな存在ってコトだな……」
「そうだよ、だからお前なんかにジャマさせね――」
「カンケーねーな。お前の人生がどうだろうが 俺は葛飾とつきあうね」
「や・・・やろー・・・男はその辺ゆずり合うもんだろが!! 合コンの時男子トイレで会議するって言うだろが!!」
「やっぱ合コンノリじゃねーか。死ねよ、チャラ星人」
「違うしっ。合コンなんかしてねーしっ!!」

「だいたい学校なんかで「漫画家になる」とかほざいたって、同級生が本気にしてくれるわけねーだろ。
それをちょっと女が信じてくれたからって、自分(てめー)の無謀な夢が叶うってか? 信じていれば夢は叶うってか?
中二だな。自意識パンパンの誇大妄想だな」

―――お互いを明確に恋敵だと認識したというのに、逆に「仲良く」なってるのは気のせいか? 気安くなったというか、対等に口喧嘩できる間柄というか……もちろん実力・技巧的には隔絶した差があるのだろうが。
 はたして、弥生とのツーショット写メを消すの消さないので本当にコンペ勝負することに。追加条件で負けたら何でも一つ言う事を聞かなければならなくなったが、夢に「誤解」されたくないのと光河への負けん気と故に退けず……負けん気では相手も同じ事だが。
 
「なる程ね。光河―――それボツだ。
つまんねぇんだよ……誰かが言ってそうなことすぎる・・・
光河・・・俺ら「じじい」はさ・・・ お 前 の 絵 が見たいんだ」
「……………はい」

 スカイプ繋いだ先の事務所チーフが容赦無き駄目出し。ちょっと前にも似たような事を言われていたか……技巧的には現役内で突出しながらも、その弊害とも言い切れないが……ただ、彼にも芸大合格後に解放すべき「情熱」が燻っているはず。有の発想を光河が描出するという共同作業を考えなくもないが、それはチーフが求める所ではない、かな。
 はたして有も描き直しを宣言し、締め切りまで残り二十四時間。受験戦記らしさとらしくなさが交互に来て、今は実践にして競争の場面。