ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

「Dive into the Mirror」⇔「Alive A Life」(第47・48話)

◎ 仮面ライダー龍騎 - YouTube重甲ビーファイター東映特撮 YouTube Official


 シュヴァルツ兄貴回、ギガロ熊回を挟み次週セントパピリア云々を再開……そして遂に驚愕の真実()が……というのはさておき。大体半年弱を経て、とうとう『龍騎』ラスト2週で、次週が終わり。思えば遠くに来たものだ……。

 最早願いの為に戦うのか、戦う為に戦うのか、戦いの為に戦うのか。
 冒頭からサバイヴ同士でぶつかりあったものの、ファイナルベントをベントインできずカードを取り落としてしまう真司……ドラゴンナイトでもキットがアックス(タイガ)にトドメを刺せなくて結果的にスティング(ライア)がベントされたのを想起。まあ向こうは戻ってこれない設定と戻せる人の復活でなんとかなるのだけど。戦意を喪失(己に失望)して叫ぶ姿は、形こそ最強のサバイヴでも只の人間だった。
 人を襲うモンスターと戦いはしても、ライダーは人間で、ライダー同士は人間同士の戦いで、その命題に只管悩み迷い続けた男と、それに影響を受けたり受けなかったした者たちの軌跡。その全てが、もうすぐ終わろうとしている。

「決めたのに……優衣ちゃんの為に戦うって、決めたのに……! 結局俺、また迷ってんのか……ッ」

「……まずい! 城戸。立て、ここから出るんだ!」
「……いいから、お前逃げろよ」
「―――馬鹿か! 立て! 走れっ!!」


「なんでっ……俺……っ」
「しかた、ないだろう」
「余裕ないんだよ! 優衣ちゃんの誕生日まで! ……これじゃあ、何もしないのと同じだ……」

「―――考えるからダメなんだ。何も考えなければ……」

「……正直に答えてくれるかな。車の仕掛け、吾郎ちゃんがやったんじゃないの?」
「違います。俺が行った時はもう……すいません」
「謝らないでよ。助けてもらったのは、俺なんだからさ」
「でも俺、勝手に先生の後をつけて……」
「俺が頼りないってことだよ」「違います。先生が浅倉に負けるなんて思ってません」

「……ただ、黙ってみてるしかできない自分が」
「できなくていいんだって。なんかもうさ……ホント、できなくていいよ」

「真司君、どうしたの?」「え? どうもしないけど」
「嘘、おかしいよ。なんか、無理やり元気になったみたい」
「そんなことないって。たださ、もう考えんのやめたっちゅうかね」「え?」

「今まで俺らしくなかったんだよ。あほら、頭使うタイプじゃないのにあれこれ考えちゃって、時間の無駄っていうかね」

「……真司君、本気じゃないよね」
「ヤツなりに考えてるんだろう」「あたしのせいだよね……」

「おい、あまり度を越すなよ。優衣が心配する」
「別にフツーだよ。もう難しいこと考えないで、バンバン戦ってくよ俺は。蓮も覚悟しとけよ」

「何よ、人が機嫌よくパーティーしてるってのに」「悪いね」
「で、何のよう?」「……実はさ、戦いに来たんだ」「は?」
「ほら、いつもの。ライダー同士のタタカイ」「……本気かぁ? お前、いつ宗旨替えしたわ

「ん、昨日。やっぱライダーだから戦えばいいって気づいたって言うかね。皆ほら戦いたくって戦ってるわけだし? 止めようとした俺が馬鹿でした―――だからはい、ミラーワールド行こうミラーワールド」
「……折角だけど、遠慮しとくよ」「なんで」
「一つは今ちょっとそういう気分になれないってのと、もう一つは」「なんだよ」
「お前、何があったか知らないけど……見てらんないよ……そういうの、ウザいからさ」

「おう令子か。どうなった?」「連絡できなくてすいません。でも、大ネタ拾いました」
「ホントかよ」「はい、神崎士郎の」

「あんたは忘れてるかもしれないけど、あんたと士郎、この家で半分閉じ込められるような生活してたのよ。あの事故があるまで、あんた達が両親にあんな酷い扱いを受けてたなんて、知らなかった」

「……信じられない。家族で一緒に、楽しく暮らしてた筈なのに……この絵だって、私が描いたんだよ? 家族旅行の思い出」「話が合わないな。一体どういうことだ」

「―――この絵……思い出した、お兄ちゃんとずっと一緒にいられるようにって、二人で描いた……」

「優衣。家族旅行なのに、なんで家族が描いていない」
「それは……私、家族の事は切れ切れにしか覚えてない。お兄ちゃんとの事はよく覚えてるんだけど」

「この間の借り返しておこうと思ってさ、ご注進。……城戸真司、ちょっとヤバイかもよ」

「……なんでだよ……俺がやめろって言ったときはやめないクセに、なんで俺が戦おうとすると、誰も戦わないんだよ……」

「編集長、スクープです。神崎士郎の研究資料を手に入れました。あの怪物の事も書いてありますけど、一番はこれ……彼の死亡診断書のコピーです」
「ちょっと……こんなものどうして!? 困るのよ! こんなもの優衣に見られたら! 出てって、出てってちょうだい!!」

「真司君、蓮もやめて! お願い、やめて……! 私消えたっていい! だから……!!」
「決めたんだ……迷わない……何も考えない……」

「真司君! 私、そんな風に真司君に助けてもらっても、嬉しくないよ……っ!!」

「修一? 寝てるの……?」「北岡さん!?」「先生……っ」
「せんせぇ! せんせぃ……返事してくれよ……先生!」

「……同じかよ……どうやっても、結局俺は……」
「優衣ちゃん……ごめん……」「ごめんね……真司君……あたしのせいで」
「……おれは、俺は一体、どうしたら……」

『―ー―タイムリミットだ』

 真司と蓮はどちらが欠けても長生きできなかっただろう、というのは今更としても。あの4人。真司と北岡、北岡と蓮。果ては北岡と浅倉においてさえ、戦い殺し合う関係でありながら、お互いをどこかで気にかけていた。それは馴れ合いと呼べるほど温くはなく、しかし時に笑みさえ交わすような、死線を潜る内に培われた共感か、なにか。いつか、相手を倒すことによって終わる関係、けれど戦いが無ければ育まれることのなかった、友情とも仲間意識とも呼べない「繋がり」。

“大人になったら消えちゃうよ。二十回目の誕生日に消えちゃうよ”
『消させない。優衣、お前は必ず』

「お兄ちゃん! 居るんでしょ!? 聞こえる!? もう、これ以上誰も戦わせないで!! ミラーワールドを閉じてっ!! 返事してっ、お兄ちゃんなら、止められる筈でしょ!?」

「お願い……あたしもう……誰かが傷つけ合うの、見たくない……」

「また香川の資料か。お前に理解できるはずないだろう」「放っとけよ」
「とりあえず何かやってたいんだよ。何も出来ないのに時間が過ぎるの待ってるなんて……」
「戦う事は出来る」「戦っただろあんなに! ……でも俺にはお前を……ライダーを倒せないってわかっただけだった。お前だって、同じじゃないのか?」
「俺が?」「こないだの戦い、俺の方が勝ってた。お前本気出せてないんだよそうだろ?!」
「……イエスでもノーでも、俺の分が悪すぎる。どっちにしろ、戦いは続けるがな」

「そうお? そうかじゃあひとつ気合いれてねえ、すごいやつこう選んでやろうかなー期待しなさい」
「ホントにぃ?」「だいじょーぶ。アタシの勘に、間違いはないわ」

『―――来い。ライダーの戦いに決着をつける』

「タイムリミット? なんだそれは」
『ライダーの戦いは、この三日の内に決着がつかなければ、すべて終わるということだ。お前達は願いを叶える事が出来ない』
「……願いねぇ……」『残ったライダーは、オーディンを除いて、お前達三人だ』
「えっ、三人……?」「待てよ、北岡はどうした」
『此処に来なければ、脱落と見なす』「まさか……」

『三人居れば十分だろう……始めろ。最後の一人を決めろ』

「……やるか……戦いが終わるのは詰まらんが、勝ち残って“戦いが続く”ように、願うのもいい」
「相変わらず下らんヤツだな」「蓮……」

「―――やめて! もうやめて。お兄ちゃん、今すぐ全部終わらせて」

『帰るんだ、優衣』「お願い。これ以上あたしのために」『帰れ』
「……お兄ちゃん。お兄ちゃんが終わらせないなら、あたしが終わらせる」

「……下らん……北岡……脱落だと……させるかよ……」

『優衣、馬鹿な真似はするな』
「馬鹿なのは、お兄ちゃんだよ。あたしなんかのために、自分まで滅茶滅茶になって」

『優衣。お前はわかっていない。消えてしまう事が、死んでしまう事が、どれほど苦しい事か』
「わかってるよぉ……怖いよ。でも、蓮や真司君や、沢山の人が犠牲になるのは、もっと嫌」

「……そうやって手に入れた命なら……あたしはいらない」

『……わかった。お前の言う通りにしよう……』

『優衣は俺が預かる。戦いが終わるまで、二度とこんな真似はさせない』
「おい! 優衣ちゃん何処に……」
「待て、優衣は……この方がいい。これ以上優衣を苦しませないためにな」

「単なる疲労だって言ってあります。令子さんにも、言わないように」
「サンキュ。令子さんは同情で落としたくないもんな……」

「気になる……北岡さんの事……」
“不思議な人よね。もうすぐ死ぬっていうのに、全然普通で……”

「ああそうだ。お前が見っけてきた神崎士郎の研究資料。あれ読んでみたんだがな……さっぱりわからねぇな……」
「そうなんですよね……内容が専門的過ぎて。ただ結論として、例のガラスの中に居た怪物。神崎は“ミラーワールドのモンスター”と呼んでいますが、それが人間を襲っているという事ははっきりしたと思います」
「行方不明事件の真相が、こんなトンでもねぇもんだったとはな。わっからねぇ筈だよ……」
「問題は、彼の目的と、この資料に頻繁に出てくる“仮面ライダー”とは何かですね」
「ミラーワールドに入れる特定の人間の事らしいが、それもよくわかんねぇんだよな」

「―――そういえば、前から気になってたんですけど。城戸君の下宿先って、神崎の親戚の家ですよね。神崎について調べている様子もありましたし、もしかしたら何か……」

「……蓮。やっぱり、優衣ちゃんを連れ戻そう」「何故」
「優衣ちゃんは答えを出したんだ! 他人の命なんていらないって」
「お前……っ、それを認めるのか!?」「それが、優衣ちゃんの選択なら」
「本人が望めばなんでもいいってもんじゃないだろう!? 連れ戻して、自由に飛び降りろとでも言うつもりか」
「そうじゃない! けど、無理やり黙らせて、新しい命を与えれば、それでいいのかよ!?」
「無理やりでも生きている方がいい! 生きてさえいれば……新しい道もある」
「そうだけど……でも、やっぱり決めるのは自分だって! 優衣ちゃん見てそう思った。優衣ちゃん……このままじゃ可愛そうだ。本当は、神崎相手だし手伝ってもらいたいんだけどさ」
「力ずくで止めないだけでも有難いと思え」
「言ってる事はわかるよ。だからお前は、恵里さんを助けようとしてるわけだし。俺、それを否定するつもりはないから」
「お前はそうやって! 何でも呑み込もうとするから迷うんだ……」

「お兄ちゃんあけて! 此処から出して!」
『お前はただ待っていればいい。誕生日には何もかも終わっている』
「やめてぇ! どうしてわかってくれないの!?」
『優衣。其処に居るんだ……居てくれ』

“優衣! ダメだ! 優衣ダメだ! 俺を一人にしないで!!”

「見舞いなら間に合ってるけど?」
「神崎が……お前は脱落したって言うんでな。くたばったかと思ったんだが、違うらしい」
「それは期待させて悪かったな」「ああ……ガッカリだ。邪魔したな」
「おい……城戸のヤツ、どうなったのよ」
「……まぁ、元通り、といったところか」
「へぇ〜、やっぱり馬鹿は立ち直り早いね」「確かにヤツは馬鹿だが」
「“俺やお前よりマシな人間”、でしょ?」

「ま、ちょっとは認めてやってもいいけどさ。ヤツがライダーだったのは、俺達にとって、良かったのか悪かったのか……」
「……さぁな……」

「……はぁあ。驚いたね吾郎ちゃん。脱落だってさ、俺」

「足りないんだよコレじゃあ……もっと戦えぇ! 北岡ぁっ!!」

『優衣に構うな』
「神崎! こんなことしたって優衣ちゃんの気持ちは変わんないんだよ! それより、何が一番いい方法なのか」『構うなと言っている』

「……どうしても優衣ちゃんは返してもらうからな……変身っ!」
「……なに……今の……」

“優衣……泣くな。ほら”
“このモンスターたちは強いんだ。俺達を助けてくれる。このミラーワールドには、俺と優衣しかいないんだよ。楽しい事しかないんだ”
(ミラーワールドも、モンスターも。全部、わたしとお兄ちゃんが)

“お父さん! お母さん! 開けてよ! 優衣が大変なんだ!!”
(なに……?! わたし、どうなったの?!)

「蓮!? お前……」「勘違いするな……俺は戦いに来ただけだ」

「まさか……これが、仮面ライダー? 城戸君が?」

……正直を言って、龍騎・ナイト両サバイヴのファイナルベントはあまり気に入ってなかった。グラフィック演出は秀逸で格好いいのは確かだが、ドラゴンライダーキックや疾風斬の上位、パワーアップ必殺技としては微妙に違和感があった為である。
 しかして今回ラスト。真司と蓮が強化版契約モンスターの変形バイクを駆ってオーディンに突撃し、このとき初めてライダーの変身と戦いを目撃した令子さんの言葉で、「このシーンの為だったのか」と妙に腑に落ちた。多種多様なスタイルや技を繰り広げたカードバトルアクションのクライマックスにおいてそれはまさしく、「仮面ライダー」の姿である。まあオルタナティブなんてのもいたが。
 ミラーワールドと神崎兄妹について大雑把かつ怒涛の開陳もありつつ、なんにしても来週で最後。何度と無くエラーに悩まされてきてが、泣いても笑っても最後。さあ、刮目して見よ、と。