ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《死の重み/Dead Weight》/『極黒のブリュンヒルデ』第63話

(前回感想はこちら)
(第1〜3話の無料閲覧はこちら)


その想い重みを知ればこそ

前回の粗筋

          ,.. ...."´ .: .: .: .: .: .: .:.:.:.:.:.:`ヽ
        ,. . . . .: .: .: .:`ー--‐‐…‐-:.:.:.:.:、:.:.\       ,.._-
      _,.....: .: .: .: .: .: : : :/:>-‐ ´:.:.:.:.:.:.:.:.`:.:.:.:. \    //
   ,.´ ア .:.:.:.:/ :.:.: _..r∠:r‐,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,ヽ:.:.:ヽ___/:∠_
  /  , .: .: :,.':. :.: `ー-{{__/....}___.: __:.:_--‐‐ァ.イ:.:.:i:.:.:.:∨}:.:.:.:.:.:.:.`
/   /.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.厶__`¨´       ノ  |:.:.i:.:.:.:.:V´ ̄`ヽ:.:
.    /.:.:.::/:..:.:.:.:.: ㌻¨, -ミ、.< ヽ      ⌒ヽ.、 |:.:.:.i:.:.:.:.:.:,
 _,. -‐‐‐==ミ:.:.:.:.:/ 〃r':::::::} i}             |:.:.::i:.:.:.:.:.:.,
´         、 V:.: { 乂...:_ツ       ァ=ミ、.   |:.:.,':.:.:.:..人,
       、  i} V:i| ,.、、        , -=ミ ヽ  !/:.:.:.:.:,':.:.:.:\
.   ヽ  } .ムィ: 八       ,   〃r'::::::} } /:/:.:.:./:.:.:.:. :. :` ,
.,__ヽ  ', .}イ ノ'             乂...:_ツ ノ., '}ハ:.:.:Λ:.:.::. :. :. :. .
  ,弋.ノ`¨:.¨:. ハ         -,    、、   / / }:/:.:.:',:.:.:.:. :. : :. :.
. Λ.:.:.:.:.:.:.:.:.:,'.:.: ::..     (_ノ      `   / }/′:.:.::,:.:: :. :. :. :. .
. /:.:./}:/}/i:.{ .:.:.:.: ::..                ∠__,,..イ :!:.:.:.:.:.:.::,:.:. :. :. : :...
Λ:/⌒`<:.:!:.:_,..-、/.> ..        ,,.. イ.:.:.:.:.:.:.:/:.:.|:.:.:.:.:.:.: i:.:.: :. :. .: :.
 / /     ` <.        ¨¨/ ̄:. :. ::.:.:.:.:.:.: / : /|:.:.:.:.::.:.:.i:.:.: :. :. :. :
.r∨ ./      `.、   ,.≦. ¨ ̄`冖¬ミiト.:.:.:/ ,'Λ:.:.:.:.: i :.ト、:. :..
.し{、/ /     .}≦         ./     ヽ. /´ }Λ:.:.:i:.:}  :. :.
  ¨し' ∠...__.. 、 }      ,..==-       ¨:}  ノ } ::.::. !  .,:..
  / /`ー┬´    Λ___,,.. /            }    ノ  !:.  ノ
. 〈 /   /      ,    {.             }       jノ
 { \__/       ,   /⌒¨¨`ヽ=‐‐-..      }
 { . V       Λ.∠       \  \   ,'
__! V      Λ{{/¨¨ ヽ    C\   _,.
  .         !_./     \    Λ,_ノ
  {      {         `ー- ' /

―――ある意味「予想通りの見たまんま」、ある意味「予想外に平和」。言い換えれば「何も解説したり新たに妄想を巡らす所が無い」とも? ページを捲ればロクでもない兆しが顔をのぞかせるんじゃないかと恐々としてたせいで拍子抜け……とまでは言わないが、一歩間違えば死ぬ所だった一方で先頃の海水浴並に呑気なラブコメ態勢。良太は大変なものを盗んでしまいました、初菜の心です。初菜は大変なものを盗んでいきました、良太の初チューです。そして最早お約束の域に達せんばかりの寧子さん暴発。こんな調子で使うには代償が重過ぎるとも思うが……まあ感情的にも演出上も仕方ないね。カズミの宣戦布告に加え、(佳奈以外)皆が見てる前で初菜先制攻撃。これによりメインヒロインさんが自覚的になれば、いよいよ三つ巴……なんて余裕があるのかと。やっていられるからこそ余裕が保てるのかと? お父さんからすれば、否さ魔女達にとっても寿命を繋ぐ鎮死剤の精製は待った無しの段階まで来てるのだけども。

          /``ー-、___
      / ̄/          `` ‐-、
     /  /    | | | ヽ  \___ \
  _,、-/  / /     | | |   ヽ   ヽ:::::::::``ー‐
 ::::::/  / | |   | ! |   ヽ    ヽ:::::::::::::::
 :::/  /   | |   | | ',    ヽ   ',___::
 :/  /   | |   |. | ヽ   ヽ   ',::::::\
 !|  |   | ト、   |! |ヽ _ヽ_  \   ゙、:::::::
 :|  |   ト、 L!   || ', \ヽ\''‐ \ \::::
 :|  |   ,ィヽ| \ '、ヽ|  ______ `ヽ、 \Vヽ
 :ハ |   | ,.== \ヽヽ!´   ` | |``/ ハ
  ヽ|ヽ  |'"     `` /// | | / ∧
      |\∧// _'____..,    /! |/ /| ||
     | ト、 ヽ、  i/     | / /// / ||! |
     | | ヽヽ`iヽ、ヽ、 ___ノ/  //  ∧||ヽ|
      | |\ ヾV//川|`` '"   //  /\⊥L
      | |\ヽ_,ィTl´| \   ///  // /:::::::::
     | レ'´:::::| | | |   >く /〃/,//::::::::::::
    /:::::::::::::::| | | | / | メ//////:::::::::::::
  r'´::::::::::::::::::::::| | | レ'′// ∨///::::::::::::::::
  ハ:::::::::::::::::::::::::| | | |   |  ///ノ::::::::::::::::::

「私私!! 私の魔法のおかげですよ!!
私のおかげで2人とも無事だったんです!! 私に感謝してください!!」

 あと予想云々を言えば、こちらもか。予知による警報も最終安全弁も期待された通りの働き……むしろ2巻以降、彼女の【転位】が役立ってない事の方が少なく*1、振り返れば事実上「魔法使い」の救命現場におけるMVPといって差し支えない……しかしあのドヤ顔である。しかしそれなくしては問題が「無さ過ぎる」()。ウザ可愛さとは即ち、ウザさ≒可愛げである。異論は認める。が、思わず素気無くスルーしたり、甘味禁止を言いつけて涙目にしたくなる……クククク。愛かな? これは(革新)。いや一番はカズミちゃん様だけども。


助けた者≒助けられた者

「きっ・・・キミ考えすぎだって!! ホントなんだから!!
私はここから落ちた位じゃ死なないから!!」
「確かに・・・」
「お前の魔法が死なない能力なら さっきからの不可解な行動にも筋が通る
おれが本当に信用できる人間かどうか試していたと」

「その通りだよ!! だから手を離して!!」「だからって・・・」
「ひょっとしたらお前がおれを助けるために死なないとウソをついているかも知れない」
「えっ!?」

「そうなったらもう取り返しが付かないだろ お前の言うことを真に受けて死なせてしまったら
おれはこの手を離したことを一生後悔する この手は絶対離さない」
「……」
「それじゃ どうするっての? このままじゃ二人とも・・・」

「見ろ そこに小さな足場があるだろ? そこへお前を投げ飛ばす
届かないかもしれないし着地に失敗するかも知れない でもこのままお前を落とすよりかは100倍マシだ
そして両手が空いたらおれはこのパイプを伝って戻る」

「……私を投げ飛ばした反動でパイプが壊れたらどうするの?」「知るか」
「もうおれの腕の力も限界だ 考える時間は無い」

1回・・・ 2回・・・ 3……回!!

「あっぶねぇ・・・死ぬかと思った・・・いや別に落ちても死なないんだけど・・・ ありがとう!! キミも・・・」

│|‖┃│┃┃‖┃│┃‖││ _」L...
│|‖┃│┃┃‖┃│┃‖││ ,コ lニn
│|‖┃│┃┃‖┃│┃‖|│.〈<l ワ/))
│|‖┃│┃┃‖┃│┃‖││ ``'´ ´
│|‖┃│┃┃‖┃│┃‖││ _」L...
│|‖┃│┃┃‖┃│┃‖││ ,コ lニn
│|‖┃│┃│‖  │┃‖││.〈<l ワ/))
│|‖┃│            ‖││ ``'´ ´
│|‖  │  .、))l.      ‖││  /7
|       | |.   n.     ││  .〉〉
         | |-―L!     ││  〈〈
 =‐1   _.、_/-|__i'"      ││  .〉〉
 ~ヽヽ__...ミミミミ::::ノ::::| ̄ヽ     │  〈〈
.   `ー┴`ー――''"\ ヽ_  |  .〉〉
                 ヽニ-┘ |   V
|                  │  、_...、
│|            ┃  ││││   つノ
│|‖        │┃  ┃│││  o  _
│|‖┃│  │‖┃│┃‖││  o //
│|‖┃││┃‖┃│┃‖││  </
│|‖┃│┃┃‖┃│┃‖││ <>

「……ウソ……私・・・人を 殺してしまったの・・・?」

(事故の瞬間とかスローに見えるって言うけど・・・確かにゆっくり落ちてる
たぶん おれの頭は今猛烈な速度で動いてるんだろうな
もう考えたって・・・どうにもならないのに
くそ・・・悔しいな・・・ 黒羽達を・・・救えなかった・・・)
パキン

「よっと セーフ!」

ドサッ「いて!!」「村上くん!!」「大丈夫か!?」
「つっ………なんだ? なんでおれ 生きてるんだ?」
「小鳥ちゃんが・・・村上くんと入れ替わったの 村上くんが地面に落ちる瞬間に・・・」

「はっははは〜!! 見ましたか 私の魔法の威力!!」

「佳奈ちゃんが 村上くんが落ちて死ぬ予知を見たから慌てて来たの 間に合って良かった」*2
「……小鳥の魔法で入れ替わったら 運動エネルギーがリセットされるんだな?
そうじゃなきゃ おれか小鳥のどっちかが潰れてる」

「えっ? どういう意味ですか?」
「……あぶねー・・・分かってなかったのか・・・」

「死んでない・・・一体どういうこと? 寧子でもカズミでも佳奈でもない・・・それじゃ あの巨乳の魔法なのか・・・
ふぅ・・・それにしても信じらんない・・・あんな人間がいるなんて・・・」

「良かった・・・こんなとこで うっかり殺しちゃうところだった・・・
はぁ〜 ホントに良かった・・・」

 先週段階での予想は「二人まとめて*3地上から小鳥に入れ替えられて小鳥が自力で降りる」というものだったが、その救助を待たず/待てず初菜をなんとか助けたが良太が落下⇒グロ展開寸前で小鳥が入れ替わりという顛末。初菜の【再生】を信じない、という弁の補足はほぼ予想通り。脱走魔女達の死生観・自己犠牲衝動に散々振り回されてきた良太が言うと感慨深いというかなんというか。落下中などは“常人を超える鮮明度の走馬灯”とか過ぎってもおかしくなかったが、最後まで考えていたのは寧子達の未来のこと。愛だな、これは(確信)。いやま、カズミに初菜、また寧子が求めるものとは微妙に異なるものであるかもしれないわけだが、そこは頑張ってくれとしか言いようが無い。

 また良太が落下した時、また無事を確認した時の初菜。人間を信じていない、信じられない(それでも信じてみたい? 信じていたい?)と良太を試し、経過内心の擦れ違いはどうあれ信用に至った人間を死なせずに済んだ事への安堵。あるいは人殺しになりたくなかったか、ヒトと隔絶し拒絶されながら決定的訣別をしたくなかったか……これを見るに、つくづく同期登場の【ヴァルキュリア】こと藤崎真子と対照的な存在だと。人間も、同胞すらも殺すことに躊躇無く、「うっかり」で気にする部分が懸け離れている魔女の頂点とは。戦闘能力では比較にならないことは既に明らかで、因縁としても同じく【ヴァルキュリア】で旧知だった過去を持つ“忘れている”寧子あるいは佳奈の方が重い。しかして推定第5章、何時になるやも如何なる描かれ方かも予想がつかないけれども、二人の在り様が場所を違えど更に相克する展開を憶測する次第。


新たなる/別種の火種投下

「なぁ あの子の魔法は何なんだ」
「「再生」や 殺しても死なへん 頭が潰れても大丈夫なんやと」
「……やれやれ あいつ 本当のことを言っていたのか」
(だとしても・・・あそこで手を離すことは出来ない おれは間違ってない)

「ごめん 試すようなことをして本当に悪かった 本当にごめん」
「……まぁ お前に言いたいことは色々あるけど・・・お互い生きてる別にいいよ」

「……私 キミのこと 好きかも」「はぁ!?」
「キミ彼女いないの? だったら私 キミと付き合うわ」

えーーーーーーー!!

「アホかあんた!! 私の頭越しに何を言うてんのや!?」
「だって好きになったんだもん だから・・・」チュッ
「まあキスぐらい当然するよね」
「……」「……」ド ン ド ン
「うわーーーーーー!!」

「ねねね寧子さん それはダメです!! 堪えてください!!」「知らない!! 私じゃない!!」ド ン ド ン グ ラ グ ラ
「寧子さんダメーーー!!」「誰か黒羽のハーネストを押せ!!」

 おあとがよろしいようで(棒)。カズミからしたら恋敵は寧子、せいぜい結花くらいだと思って寧子に宣戦布告*4したのだから今まで以上に押すつもりだったのに、テストで寧子に負けるわ海ではナンパ作戦が不発だわ帰ったら直ぐヴァルキュリアが来襲するわ(挙句に混浴したのに男の頭は寧子のことで一杯)……2巻分にわたる瑞花編ヒロイン分の揺り戻しっぷりったら無いわけで。おまけにこれである。

……あ、ありのまま今起こった事を話すぜ! 惚れた男に見蕩れさせホッペチューして先行してると思っていたら、旧知の同胞に初キスが奪われた。な……何を言ってるのかわからねーと思うが……私も何をされたのかわからなかった……チョロインだとかニコポナデポだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……

 慢心も油断も多分してないと思うのだが運の上下と、胸囲の格差と……我らが村上良太がいい男ぶりを成長させ過ぎてるのが原因かな。あれは惚れるね。だから当方がエロゲー化を推進するのも仕方ないね。

*1:千絵姉さんの遺言を曲解して誤解を招いたり、小五郎に魔法を証明しようという日に無駄撃ちをしてたり、奈波に記憶操作された寧子に銃を速攻破壊されたりとポカも色々あるが。

*2:これも振り返ると幾つか先例のあること。何度となく言ってきた気がするが、身内の危機に焦点を絞ってるのじゃあないかと繰り返し疑問。2巻で説明した以上の能力を実は備えているか、はたまた成長したか。経過的不透明からすると前者がより怪しいか?

*3:寧子の手を取った状態から一緒に【転位】することは出来たが、(接触状態にあるとはいえ)入れ替わる対象を複数取れるかは不明。

*4:順番的には宣戦布告のあとで結花と知り合ったわけだが。