ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》/『極黒のブリュンヒルデ』第86話

(前回感想はこちら)
(第1〜3話の無料閲覧はこちら)


The Magic Goes Away(魔法の国 が 消えていく) / Not Long Before the End(終末 は 遠くない)



前回の粗筋 に非ず

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―――カズミ&初菜の生死不確定(普通なら死んでる)継続中の上に小鳥を殺すか世界ごと滅ぶかの二択。これが年内最後の合併号だってんだから、なんというドS引き。今更言うのもなんだが、1巻再現2巻再現とかいうレベル、不可逆的な一線を通り越して第一部完状態になりそうで恐々。まさしく、「終わりの始まりの終わり」へと?


"I cannot lose a world for thee,"

「ウソだ・・・ カズミさんが・・・初菜さんが死んだなんて・・・ ウソだ・・・」

「バカな・・・起き上がれるはずがない それとも まさか・・・ ヴァルキュリア 押さえつけろ」「はい」

ブ ン

                ┏━━┓         ヽ
                ┃    ┃      ┏━┓ /  、  メ
                ┃    ┃      ┃  ┃ |   _ス´ /
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                ┃    ┃┃  ┃┃  ┃ r'´l.  f´ヽ./
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                        ロ  \ィ!i| ┗━┓  ┃  ┃  ┃
                              \|  i{ l┃  ┃  ┃  ┃
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!?「……やはり 間違いない・・・」

グラーネが 覚醒したのか?

「私に・・・ こんなことが出来るなんて・・・」
千怜(ちさと)・・・どういうこと? また魔法が使えない!」「……」
「元々……魔女の力は ハーネストに対しては作用しない 内部のドラシルが魔法を打ち消す反作用の結界を発しているからだ
そしてグラーネの結界は 通常のドラシルよりも遥かに広い
原理はイニシャライザーと同じだ ただ 本人が意識しなくても作用するところが違う」*1

「……私は・・・ 人殺しなんて したくありません 誰も傷つけたくありません
そんなことをするくらいなら 自分が死んだ方がマシです」

「だけど・・・ あなたが私の大事な人を殺すのなら 私は躊躇しません
あなたを殺して私も死にます これ以上 私を悲しませないでください」

(……小鳥に・・・ 一体 何が起きてるんだ?)
「村上さん 寧子さん 行きましょう カズミさんと初菜さんを探します」*2フラ・・・
「あ ああ 大丈夫か?」「はい・・・」ハァ・・・ハァ・・・

(1107番の意識は 脳にある鷹鳥小鳥のまま・・・ 脊髄に埋め込まれたグラーネに宿っているはずの怜那(レナ)ではない なぜだ・・・怜那・・・)

「ねぇ お兄さま お兄さまは どうしていつもひとりでいるのですか?」
「………誰かといる必要性を感じないからだ 私にとって 価値のある他人など存在しない」
「人は一人じゃ生きていけませんよ」
「私が価値のある存在になれば 他人の方からよってくる 生きていく程度のことで 人に頼る必要はない」
「でもそれじゃ 寂しいじゃありませんか」
「今まで 寂しいなどという感情を感じたことはない」*3
「……私がいなくなっても?」「………そうだろうな」

「お兄さまの バカ」

「……実際 失わないとわからないものだったとはな」

「これが 寂しさか」

(なのになぜだ? グラーネが覚醒し その力が発現したというのに・・・なぜ怜那の意識はよみがえらない?)

「もし このまま鷹鳥小鳥の中でグラーネが孵卵することになれば・・・私の計画が全て無駄になる……
その前になんとしても・・・鷹鳥小鳥のハーネストからグラーネを取り出し 別の素体へ入れ替える」


(まさか・・・)「!?」ブシュウ
「うわぁあぁあ!!」「小鳥!!」ドサッ ビュルビュルビュル


「小鳥!! 一体どうしたんだ!?」「小鳥ちゃん!!」
「……バカな・・・ もう 手遅れだと・・・言うのか・・・?」「……千怜?」

「……1107番 まもなくお前は孵卵する」「……孵卵?」

「鷹鳥小鳥に入っているドラシルは グラーネと呼ばれる特別製なの
もし孵卵したら・・・ その瞬間 地球上の全生命体の細胞が融解し 地球は一気に無生物の星になる」

「……まさか そんな・・・ 本当に人が滅ぶというのか?」


「……全てが 終わりだ・・・ 怜那はもう・・・ 戻ってこない・・・」「千怜・・・」


「お前たちの 好きにしていい」「は?」

「このまま数分放置すれば ドラシルの孵卵が完了して その瞬間に全生命体が消滅する」ビュルビュル
「だが今イジェクトして宿主の鷹鳥小鳥を殺せば ドラシルは死に 生命体の絶滅を避けられる」


「どちらでもいい お前たちの好きにしろ」


"But would not lose thee for a world"?

 三つ巴は三つ巴として成立せず、最強同士の対峙もまた勝負たりえず、また仮にカズミ初菜の復活が間に合ったとて最早どうにもならない……悉く予想は覆され、まっこと取り返しが付かなくなってゆく。そうかくして、物語冒頭から提示されるだけされながら放置されてきた「命題」が、主演と構図とを違えつつ。あるいはエルフェンリートの終幕、『そして僕は、にゅうを殺した』再演。小鳥という少女の造形が造形だから、尚更に?

 “その日以来、彼の心は欠けたままだった。その理由を埋めるために、九はこの10年彼の持つ全てを費やすことになる”
 “彼は後に『高千穂』の面々に加わり、その研究機関であるヴィンガルフを立ち上げる事になる。『高千穂』の最終的な目標は『神殺し』である。しかし九の目的はその前段階であるソーサリアンの創生にあった”
 “永遠の命を持つ生命体……ソーサリアンを作るために必要なもののうちの一つがグラーネだ。魔女が魔女であるために脊髄へ埋め込まれたドラシル、その中で数千分の一の確率で生み出されるのがグラーネ。それに妹の魂を宿らせれば怜那はソーサリアンとして永遠に生きられる”
 “彼は妹のため他人の命を奪うことに躊躇いはなかった。数百人の魔女の命と引き替えにグラーネの素体を手に入れた。そして冷凍保存した妹の脳でグラーネを培養する。これで妹の意識はグラーネに宿るはずだった”

 一方「悲願」が脆くも潰えたイチジクもまたマリコを喪った蔵間室長状態寸前。ナナポジ真子さんとの未来云々と言ってられる状況でもないが、十年という期間といい魔女への扱いといい、実に良太のポジネガ存在。知能指数身体能力戦闘技術にクソ度胸、ひいては研究者としての適性グロ耐性実験など等、良太に土屋女史ウォッチャー黒服に小五郎のいずれをも凌駕する天賦なれど……一人の天才だけで掌握しうる「相手」ではなかったということなのか、それとも散々手抜かり油断と見られた高千穂の歴々が情報を絞っていた? 彼らの側からするとイチジクの目的を知らないわけもないし自分達も似たような考えだし、それでいて互いが互いを利用し潰す積もり満々ゆえの必然、「何をしようと 所詮 我々の手の上だ」という言葉に偽りは無かった、のか。精神的経過を「巻いた」こともあって計画頓挫は間違いなく……良太らが小鳥を殺さなければ諸共に滅亡、殺して生き永らえても最早妹には逢えない……と判断した根拠もイマイチ判然としないのだが。

 ところで、上記独白を眺めるにだ。地球上生命滅亡のスイッチ【グラーネ】は、小鳥に宿っているのが現状唯一であっても空前絶後「というわけではない」ように取れる。現行世界は既にグラーネ起爆を経験済み、なる可能性は以前界隈の何処かで提言されていた気がするのだが……まず「グラーネの危険性を誰が何故に知り得る」か、次いで(ドラシル生産再生の数量限界次第ではあるものの)魔女・ソーサリアン開発過程で極僅かでも発生し得る「致命的爆弾を承知の上で、どころかそれを利用さえして目的に邁進する理由」(そもそもドラシルを再生しなければ被造されし証の如き滅亡機構に抗う為に不死を目指す必要は無い)……単に神の座に成り代わりたいだけかな、後者は。前者に関しては「遺跡」発見以降、順次小五郎みたくナニカサレタ影響で知識を得たのか、もしくは時間遡行型かで劇中における時間構造が「直線的」か「循環的」のいずれか……なんて気にしたところで早々判る日は来ないだろうが。そして来年一発目で世界滅亡ENDで巻き戻しリスタート展開だった日にはエロゲー化待ったナシ。


一瞬だけ。本当に一瞬だけだが、小鳥が、世界最強の魔女になったw
危惧されていた感情の高ぶりからくる暴走もなく、小鳥人格を宿したまま、圧倒的なスペックを保持して、場をひっくり返すまでは良かったが……
Sランク覚醒だけでは足りない!! 孵卵もだ!!と、伏線回収、全部乗せモードで、巣から出た人外の何かに捕食される非常食ェ……(死

描写的には、ほぼ所長の回想が半数以上占めていて、設定面で意外なことが明らかになってますけども、ひとまずこの状況。
良太の信念と小鳥の性格からしたら、答えは出てるんだよな、どういう結末を迎えるかに関しては…(遠い目

 てか、小鳥に関してはもう9割方助からない雰囲気なのですが、初菜ちゃんとカズミの放置っぷりもなんかなぁ。今週のグラーネ孵卵のビュルリと飛び出る感じが、初菜ちゃんのハーネストから謎の細胞ビュルリとよく似た描写でありまして、ここがまた、非常に不吉。
あれ、一応、再生描写だよね?? まさかとは思うが、初菜ちゃんも孵卵してるの??だったら、地下に人喰い生物が二匹で、イロイロと最悪の惨劇の予感しかしないんだが(滝汗

でも、この「人は一人じゃあ生きていけませんよ」って、エルフェンリートのルーシーなんかもそうだったよなあ。暴走とともに朽ち果てていくルーシーが「どんなに嫌われても どんなにいじめられても どんなに虐げられても それでもやっぱり一人じゃさびしいんだ」となんて言ってたな。まあ、どうにもならないほどに罪を重ねてきたし、ルーシー自体滅びゆくのみだったから、気づくにはあまりにも遅すぎたけどさ。それに対して、九所長の場合は失ってから気付き、怜那(の人格)を復活させようとして転がり落ちているという感じだな。両方とももっと早く気付こうよ。

恐れていたことが…。
正直予想はしていた。小鳥を選ぶか、世界を選ぶか。

孵卵したら、すべての生物が滅ぶ。
それを回避するためには小鳥を殺さねばならない…。

どうしたらいいんだよ…

私が良太だったらこんな展開になった時点で気絶してもおかしくはない。
客観的にみれば小鳥を殺すのが最善だが、良太がそんなことをするとは思えない。
良太の決断は…?


――――――何故か発動した佳奈の予知、「みんな死んでしまう」ってさ……それに良太が現場に間に合った経緯不明で佳奈と話せたかもわからんしさ……トランシーバーはともかく良太確か携帯持ってないし端末で魔女狩りと連絡付けてないのは確定だしで……予知情報から改変に動けるヤツが居ないっぽいよね……。
 そんな風に悪い方悪い方に考えるのはだ、なんとなれば、一度徹底的にどうしようもなくなればこそ使えるカード(リセット)があるのではないかという後ろ向きな希望的観測に縋ってのことなれば。正味、順当の順当にカズミも初菜も小鳥も助からず(殺してしまって)存続した世界を寧子佳奈と生きる良太……そんなの想像するだけで胸が痛くて仕方ないだろう、と逃避徒然。絶望を断つ救いは、何処より来たるか、見出し掴み得るか?

*1:自分で使えるようになった魔法がどれほどのものだったかはさておき、無効化と両方合わさり最強に見えた状態。あの実年齢不詳ショタがどのように生まれ造られたのか益々謎になりつつ微妙に存在意義を疑われそうになりかけて、ならずに済んで良くなかったり。

*2:状況的に二人の死体遺体を探す、と言ってることになるのか。真子に嘘をつく理由は無いし、初菜⇒カズミの順に蘇生できている可能性に関してはそもそも初菜が他者を治療できることを知る前に誘拐されている。逆に彼女の視点からすると、攫われる直前の時点では死ぬ寸前だった良太が生きて自分を助けに来たということは何らかの治療手段があった証左たりえるが、そういった要素から判断し微かな希望を見出すなんてのは若干鷹取小鳥らしからぬとも。しかし現状の彼女が十全と自己を保っているかは微妙に怪しくもあり。かといって九怜那の片鱗を見せるわけでもなかったが。

*3:そこで「お前がいるからな」とでも言える人間なら、まだしも真子に優しくしてやれたろうに。いやそもそもここまでの魔道外道に踏み入る事もなかったか? もしくは同じ道でも「ヴァルキュリアしかいない」と言われるような状況にはならず……信奉者ダメンズ魔女が増えて逆に厄介だったかもわからんね。