ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《放埒/Live Fast》/岡本倫『パラレルパラダイス』第66話





パラレルパラダイス(1) 特装版: プレミアムKC (10Pの描き下ろし漫画、設定資料などを収録した36ページの小冊子が付属)←電子版もあるでよ

生と死の横断: 続・黒のノエル

―――のったりくったりと今年ラス感想記事。レジスタンスの推定二本柱の相方があからさまに頭脳労働担当かつ怪しく見えたのはさておき、黒髪の女戦士(扉絵によればムチ使い。対人はともかく怪物とどう戦うんだ?)ことメアリも結構考えてるというか、考えなしでサンドリオに敵対する組織の幹部なんて出来るわけがないというか。やはりマヤ氏があからさまに怪しいために(大事なことだから二度言った)比較対象で悪人ではなさそうに見えるが、組織の行動指針に沿って損得でルーミを織り込んではいるらしい。かといって今後しばらくは留守番なわけだが。

 一方でマヤ。既にルーミがはっきりそう口にしたシーンは多分ないにも関わらず「ヨータ」が彼女と一緒に来た男性と理解し、彼を助けるためにはサンドリオのガーディアンと接触する必要があると誘導している。そして今回の言からするに道連れになったアルル、つまりレジスタンス所属の人員の共通認識として「崩月を免れる術を持つサンドリオ」「男を捕まえてきたガーディアン」「〈黒き夜明け〉教団」「魔女ガリア」という四要素……ルーミから見て敵ないし味方とは言えない勢力をごたまぜに見せてる感が拭えぬ。先入観が強すぎるといえばそれまでだし、魔女と教団は合流してないともいう。はたしてサンドリオの前に旧市街で地縛神(掲載では自縛神と誤字りがち?)と接触と……情報の補強、読者にとりルーミにとり。しかしそこで聞かされること自体がどこまで信用できるのか、って嘘つきイルカの直後だとな。いやまあ本来の地縛神リルドール母様にしたって見た目怪しいと思ってしまったんで堂々巡りな向きはある。置き去り地縛神も会ってみれば信じたくなるような見た目と話ぶりでくる可能性は高い。

 そしてやっぱりついてきた道化師アルル。ルーミが認めた「死ぬ覚悟」とやらは本物かどうか……とはいえこの世界の一般的死生観からするに、むしろ本作で一番甘い考えなのは陽太かもしれんので本当に死ぬ気で実際死ぬ見込み強まる。何がどうしてそこまで「ガーディアン」のありかたが見たいかはわからんけれど、命短し儚し異世界人類の先駆けへの憧れとか、更になんかしらありそうに思う(それが回想されるシーンこそ死ぬ寸前じゃないかという危惧)。
 転じてサンドリオのガーディアンことエルザの「あんたの一生は長いんでしょ?」という煽りは、これから陽太と交尾することにより寿命としては同じくらい生きれるようになる、既に住人を何人もそうさせていることの意識自覚があるのかないのか。まあ本作で最初に交尾したミース組ですら、「崩月を迎える年齢を過ぎても生きている」確証がはっきり出たわけでもない。この件ではジーニアスやリルドールの言葉だけが(カイのような「魔女」は延命に邪神との盟約が加わるらしいんで除外)傍証である、ためにどうしてもリリアやハナハナのような「首にアザが浮かばない」勢が心配になるわけで、過日テルテル坊主の正体が明らかになって更に倍ドン。脱線脱線。ともあれ、自分は伸びた寿命を謳歌させてもらうがお前はずっと閉じ込められたままだ、NDKNDK? といったところかもしれない。

―――そういうヤツが負けて堕ちるのも醍醐味。そういやバニーユはどうなったんだろうか、というかサンドリオの規模とやりようからしてガーディアンが二人だけって少なくないだろうか。砂嵐に守られた城塞にどう出入りするか知らないが、二人だけの守護者が揃って陽太を拾いに行って……砂嵐に守られてるから不在にできるとも捉えられるか。あとメアリが「男を連れて戻った」のを確認できる程度には町に入った瞬間なり方法なりを外部から覗けるんじゃないかと当て推量してしまうが……なんにせよ次話、来年来月の7日以降のこと。良い年末、良い新年を迎えられますように。