ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《処刑人の一振り/Executioner's Swing》/岡本倫『パラレルパラダイス』第68話






パラレルパラダイス(1) 特装版: プレミアムKC (10Pの描き下ろし漫画、設定資料などを収録した36ページの小冊子が付属)←電子版もあるでよ

第6巻は特装版アリで2月6日発売とのこと

生と死の横断: 続・黒のノエル

―――ここで「お前の意志なんて知ったことか、俺は俺の好きにヤラせてもらう!」と言えたらなあと思って……思って……(落涙


 幸か、不幸か。エルザについて本当の悲しみがやってくるのは次話なんで、今のうちに遺跡の「財宝」について。元より「崩月を防ぐ方法がある」とか捕まえた男子を早速交尾用に監禁するとか、ガーディアンの一人が衰退期にオーバーテクノロジーな銃を持ってるとか情報アドバンテージがあることは確かで、さりとて今回「貴重な」陽太を捕まえておかないことには「一生交尾できない」はずだったともガーディアンが崩月する→近年他に男がいなかった為に二十台寿命を迎えたり。邪神が目覚めたら人類滅ぶ云々も含めてチグハグというか、外部で聞く情報と内情とが合致したりしなかったりするところがある。もちろん地縛神ヴァルカンとレジスタンス・マヤ*1がルーミを謀っている可能性もまだ残っているけれど、サンドリオ内部(これが「教団」と一致するのかどうかも不鮮明)における〈嫉妬深い神〉に関する認識およびその情報はどこから来ているのかもなかなかに謎。脱線脱線。

 そもそも「財宝を守るために砂嵐を恒常的に引き起こして要塞化する」というのが本作稀に見る人為的なファンタジーパワーである。これまで街と外を隔てる門に魔法陣的なものが浮かんでるとか、対モンスター戦においてにわかに重要とわかった武器の「色属性」加護とかに比べても段違い。さりとて砂嵐を発生させる「装置」そのものが財宝というのは筋悪めに感じる。ならいかにもいかにも「珍宝」「秘宝」的な物体かとなると違和感が残る。それならバニーユが交尾したかったのはともかくエルザが死ぬ必要がない。というか、そういう代物があるのではと前から憶測されてたのは皇女(ひめみこ)おわす「王城」の方である。こっちにもあって人口生産手段の独占を崩すというのも一つの展開であろうが、まずもって王城についてまったく情報が出てない今は必要性が薄いあるいは「ガリアが邪神を復活させたら人類滅亡」が差し迫りすぎな向き。それが本当かどうかも判然としないor実際そこまでいかないとわからない……かもしれないのにどうして断言できるのか。

 たとえば前作極黒において、「グラーネが孵卵することによるアインソフオウルの光の下に地球上あらゆる生物は滅亡しリセットされる」という情報。それは一度現実に起こっていなければ・誰か(その影響を受けない何者か≒ソーサリアン)が確かめてみなければ確定できない情報か否か。そもそもグラーネ含めたドラシルが何の為に作ったのかという疑問は置いて、「エッダ」という旧支配者ソーサリアンの記憶データバンクにアクセスし「そういう」情報を首魁こと神祇官はじめ高千穂→ヴィンガルフ(もしくはイニシャライザー・レン)→ヘクセンヤクトと流れていったんだろうが……これらを信じるにはまずソーサリアンという桁外れの存在かつ不在を呑み込まなければならない。
 転じて本作パラパラ。書物は何故か残っているが識字が失伝。しかし神様、いる。ゴッド、オーバーロードよりかヤオヨロズないしエレメンタル的な。長命種と思しい人外種族もいる。というか女神と人魚が婚姻したこともある。その証言を疑うすべを、人類側はあんまり持たない。寿命が二十歳前後に制限されているのでなおのこと、いつのまにか地縛神が封印され摩り替えられ人喰いの怪物が跋扈してしまうくらいには。はたして今回そして次回ラストと、身近直近の長命存在からの情報を疑いにくいとしてもあっちとこっちで言うことが違う場合……かつ、あっちもこっちも微妙に怪しく思えてしまう場合、

―――神もそれ以外も、その言葉を信じる人間もどう信じたらいいのかわからない。それは陽太ルーミからサンドリオやレジスタンスを見てのことでもあり、またその逆でもあるのかもしれない。そりゃあの娘も「面倒」が口癖になるわ。

*1:扉絵に見るマント下の服がえちえち。あと得物が相方と同じようで違う「鞭」。馬上用っぽくメアリに輪をかけて武器に見えない。