ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《記憶への消失/Vanish into Memory》/岡本倫『パラレルパラダイス』第69話










パラレルパラダイス(1) 特装版: プレミアムKC (10Pの描き下ろし漫画、設定資料などを収録した36ページの小冊子が付属)←電子版も

生と死の横断: 続・黒のノエル

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―――あの日、あの時にしなかったこと、できなかったことをした、できた。しかしそれでも、助けられなかった……そしてその悲しみに、浸ることすらできない。




 それを目の当りにするのは、ハルに次いで二度目。人の死、という意味ではカルに毒殺されたユウリ嬢やリールのカイ犠牲者とかもいるが、崩月による「死」は殊に重く刻み込まれて、ついと思い出されたのも無理からぬこと。あの日に感じた死生観の隔たり、さりとて痛みはそう変わらずあること。ある、はず。

 崩月開始タイミングで交尾しても引き止めることがかなわない。その事実、実例が出てしまって頭をよぎらずにいれないひとつは……リリア、ハナハナといった首にアザが浮かばない組への危惧である。浮かばない組が崩月を迎えたらどうなるか(もっと言えばルーミはじめ首輪組が本当に呪いによる死を免れるかも「実証」されたわけではないのだが)、交尾したにも関わらず知らない所で既に死んでいた……当分戻れないだろうミースないしリールに再訪した際には「いなくなって」いる可能性を思わずにいれない。本作物語の始まりにも関わる謎キーパーソンだったテルテル坊主の正体中身がリリアだったという更に謎を呼ぶ懸案もあり、アザが浮かばないことの意味、転じてアザ自体の意味(魔女カイも模様らしき首輪があった)も気にかかるところ。

 ことエルザに関し次話で解釈される分には「単純に間に合わなかった」風に言われているが―――エルザもまた「首輪が出ない組」だった可能性、それが崩月を迎えた後にどうなりうるか。そんなところに一片の可能性(ゆめ)を見る二周三周遅れ。おまけに来週月曜日が祝日なんで次々次話(センターカラー)が土曜発刊ときている。