ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《意味の渇望/Thirst for Meaning》/岡本倫『パラレルパラダイス』第114・115話






(前回の感想はこちら) (感想記録モーメント2

迫り来る危機。: 続・黒のノエル

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―――前作にて覚えのある因子、覚えのある言葉。思えば陽太が「動機」を問われたことはこれまでほとんど無かったんじゃないかな。ルーミからするとハルの崩月を目の当たりにしたことがより行動を促したように思えていたかもしれないし、実際それも含まれてはいるのだろうけど。出発以降、出会う相手に特に目的を隠したりしないし、そういう役目を背負った人間であると認識されてきたにしろ……かつてないほどに弱音が表に出て、聞かせた相手が一昨日あたり殺される寸前だったナクタというのも不思議か皮肉か。そんな彼女が不穏とはいえ縋りうる情報を持っていて、陽太に教えてくれたことも。

 報酬云々はさておいて。読み出したり、書き込んだり。そんな「データ」が干渉できる範囲に残っていればいいのだが。刎ねられた首が再生したり思い出しちゃいけないと認識したりする時点で常識で可否が予測できない……少なくとも丸っきり演技という線は無い気はする。人格が分裂か記憶が分割されて別のところにある可能性も……そして施術者が「魔女」で患者が「邪神」当人というのもなかなかマズい。それと知って行ってもヤバげで、知らせずに行っても施術中にわかりそうでヤバげ。ナクタやバニーユの伝聞だけでは危険しか感じない……と思ったら当人はそうでもないかもしれないし、そう見せてガリア=アルルのような擬態かもしれないと今回示唆されたばかりだ。疑り深くなって話がややこしくなる伏線とも取れる。あな堂々巡り。
 というかだ。王国各地の街を守るガーディアン、その教育のため「師範」を派遣する「国母直轄」のアルスレイヤに「記憶を司る」魔女が居るかも、というのはシーザー王国自体が上の上の上の方で魔女、ややもすると「教団」とズブズブの関係にある可能性があるのでは? 陽太が出現するまでの是非はともかく、ボブは訝しんだ。


 はたして「すべてを捧げる」なんて告白めいたセリフで主人公を赤面に至らしめた(居合わせたサンドリオ組の前で二人の世界作った)ルーミはさすがのヒロイン力だが、次話次々話の段で曇りそうな予感がビンビンであるね……そもそもルーミは陽太に告白っぽいことは何度も言ってるし交尾もしてるし、なんなら陽太も求婚めいた言葉を伝えたこともあるんだが……「何を」「どこまで」すれば「いつまで」一緒にいられるか? なんて命題を、ほのかに。