ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《神送り/Godsend》/岡本倫『パラレルパラダイス』第119・120話





(前回の感想はこちら) (感想記録モーメント2

死闘の行方: 続・黒のノエル

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―――死出の旅への見送り(ダブルミーニング)。さかのぼること、実に70話ほど。第49話(リールでカイ=ケートスに一度殺されたら地球で意識が戻る)「時点」で出張中だった陽太父が「明日」戻るところだったのが、第50話で再び息子が飛び降りてしまった(看護していた幼馴染と一緒に)。そのうえ更にもう一回飛び降りた(第61話)。実際には陽太が自分の意思で世を儚んだわけではないのだけど、最初の一回目からしてクラスメイト達の目に実行犯テルテル坊主ことリリアの姿が見えないものだから【陽太父が未来の出来事についてまったく関係知識がないと仮定】するとそう思われるのも致し方なくはある。逆に(前作から父親キャラへの予断でもって)何某かを知っていると仮定して、現世で陽太の肉体を死なせることに特別意味がある……? そもそもこっちで本当に死んだらあっちはどうなる? いつなる?

 たとえば既に「もう死に戻りが出来そうにない」と判断されているのにダメ押しをする……いや可不可については未来リリアが判断することで陽太父がどうしてそれを知り得るだろうか。大体それじゃあ父親が敵の側のようではないか。たとい敵ではないとしても、「息子がどこかで活きている」知った上で息子の肉体を葬ることも容易なことではない。
 また気になるのは陽太の「2回目」に巻き込まれた仁科の現世現代の肉体はどうなっているかだ。もし異世界未来と時系列が直結しているとすればこちらは延命措置が続けられ、未来人の手で「封印」されるまでに一度は目覚めていると思われるが。付け加えるなら陽太に父が来ているように、仁科側の家族も……こっちもこっちで地獄のような気分だろうなと。普通に両家の親が「未来の事情」に無関係であれば尚の事。


 扉絵幕間で鍛えられたと思しいサイバーかつオーガニック感ある新しい武器。
 それを贈るカヅチのヒロインみ(加えて仁科に妬くルーミへの目線)。
 アマネが二話連続でポンコツっぷりを見せたのと比べると、バニーユさんを普通とすら感じる麻痺み。
 また陽太に通じたかどうか疑わしいけども、趣味そのままにああ言うってことはペコからしたら最大限の賛辞じゃないかと思う。
 そして陽太に「慈悲」を与えるナクタは最後何を伝えたか。

 そんなあれやこれやで、見送られる旅立ち。今までも結構修羅場くぐってはいるものの、実際最も危険だろう陽太が一番危険度を把握してない気はする(残る組は「陽太を信じている・信じたいけけど、いつ死んでもおかしくないくらい危険」と理解している)。それは危機感が薄いというばかりでなく、物の見方・尺度が違うというのと、「わかっていても彼のやるべきことに変わりがない」側面。いや他の選択肢もあるにはあるか……仁科の記憶を取り戻すのを諦め、国母様の兵隊から一応守られているサンドリオに籠もって交尾三昧で暮らす。その場合は場合で陽太の目が死んだままというドン詰まり(下手をすると三千年前の男の再来まである)。

 そういうところを含めても「保険」が、リリアがもう無理だと言っていても残ってればと思うのだがな。かくして明日で二周遅れ。