ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

『カードファイト!! ヴァンガード』第56話――《冷静なチャンピオン/Stoic Champion》

『カードファイト!! ヴァンガード』ニコニコチャンネル
(前回感想はこちら)

レン「僕の望む勝利の形を見せてくれたまえ。アイチ君……」

―――来た、見た、勝った。アイチ君が。 

 いや、流石に負けるとは思ってなかったけれども。あの勝ち方は、前回ユリ姉さんが披露した人間力をPSYクオリア使わずに(頼らずに?)再現したとでも言えばよいのか。一方で皇帝陛下の必殺技は一撃入れる為だけに派手にリソースを使っていたが、ダメージ4点の相手に丁度2点で勝つのに過不足無く確実なプレイングとも解釈できるか。「スタンドトリガーゲー」とは言ってはならぬ。運ゲーには違いないが。

 プレイヤーが未来を従え支配するか、プレイヤーに未来が従い引き寄せられるか。言葉遊びの上ではその程度の違いしかないのが二人の道。後者の方が主人公らしいといえばそれまでだが。
 そして「あんな戦い方で僕に勝てると思ってるんですか?」との言葉には結果で返す他あるまい。

 はたして次回予告は……第49話の時点でのイメージが期せず、あるいは漸く実現ということになりそうだと。むしろ何故、これが第51話にならなかったのかと。リハビリ回が不要だったとは言わないが。
 まあ皇帝という最上級のファイターを相手に、自分自身の「強さ」を体現するアイチ君の姿を見届けた事で背中を押され、気合が入ったのかもしれない。だが、だがしかしだ。
―――これで櫂が勝っちゃったら全国大会決勝はどうなるんだ?

 彼には彼の戦場があるだろうとは予想していた。予見される順序――カムイテツミサキアサカ。そして最後にアイチレンさん……その組み合わせに櫂が混ざらないことはほぼ確定した。けれども、これで本懐を遂げてしまった日には決勝戦の内実がナニカおかしく、否、おかしくなくなってしまうのではないかと。

 ウルトラレアのお嬢さん方の言葉からするに、(おそらく)同等にして別種のPSYクオリアを持つ二人が衝突する事にあの御方は意義を見出している。どうにも私は此処に『デュエルファイター刃』的なもの*1を想像してしまうが……その大事な主演であるレンさんを元に戻そうなどという事を看過するだろうか? いやさ、そういう意味では闇落ちしたアイチ君と闘った時にも妨害が無いとおかしいが、それどころか独断とはいえ金髪姉さんの協力さえあった。あの御方が俗世でどういう影響力や耳目を持つのか不明*2だが、敢えて止めなかったとすればそれはその方が都合が良かったのだろう。闇落ちのままだとAL4加入だったらしいし、そこらは「選ばれし者」やらPSYクオリアの真の意味とやらの解を待って解釈するとして。


―――つまるところ、櫂が勝ってきれいなレンさん率いるAL4と爽やかな決勝を戦うことになるか、あの御方の介入有無に関わらず櫂が負けて予定通りの決勝となるかの二択を想定している。しかし後者だと何の為にヒーローが出向いたのかという事にもなるな……。でも『遊戯王GX』の第四部でJOINこと吹雪さんがワカメ藤原を正気に戻そうとした折*3には反則的手口*4にやられてるし、やはり負けるかも……?


 予想された内容が予期しないタイミングに挿入された為に、先の展開が想像できない有り様。それもこれもTHE ヴァンガード。いかなる展開、いかなる結果であろうとも、丸ごと楽しんで受け止めよう。そんな建前で心の下段ガードを固めつつ、来週までっ。

*1:いわゆる「蟲毒壺」の如き昇華、あるいは拡散分散したものを一つに統一する意図。かつて一人の魔法使いが魔力を失い、世界中の子供たちに宿ったそれを取り戻そうとMTGの大会を開催した『刃』。『遊戯王ZEXAL』でも異邦者アストラルの記憶の欠片たるナンバーズを集めるために、いかにもな悪の科学者が大会を開催させている。漫画版『ドラゴンドライブ』第二部でもそういった趣があったし……何より危惧すべきは異能者にして強者同士の戦いそれ自体がナニカの為の触媒なのではないかという事だ。先入観! 「ユルグ」も「渦」も今の所は気配の欠片も無いけども。

*2:ビルを建てて研究員雇ったり、予告では黒服SPまで居るフーファイターの資金源と同じくらい不明。

*3:また視聴者コメントで想い出したが、懐かしき『幽遊白書』の幻海師範対戸愚呂(弟)のそれにも構図が似ている。

*4:負けだか引分だかになりそうな所で時間を巻き戻した挙句、台詞を先取りして動揺を誘い、種の割れた戦術を破って勝つ。イカサマや人質といったやり口を遥かに超える、記憶する限り劇中で最も姑息な手段。SSの転生者・逆行者がよくやる手法と類似しているが、それを言っちゃあおしまいだ。