『美大受験戦記 アリエネ』第33話――《解放/Liberate》
第二のチャンスがあるとは限らないのよ。
――― ハナ
(第32話の感想はこちら)
第33話「告白」(7月2日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)。おいィ? お前、こんなタイミングで背水の陣しちゃって大丈夫な訳……嗚呼、大丈夫とか勝算とか関係ないところでやっちまったのか……。
以前からの予定は未定からするに、「今のコンクールで成果を出したら告白しよう」から告白が先立って「東山に勝ったら付き合ってほしい」と難易度上げてしまったわけだが―――もしかすると、今をおいて他に機会は無かったのかもしらんね。
「このコンクールで俺に勝つって……お前言ったろ?
やってみせてくれよ、埼玉のヒーローなんだろ?」
「5時間もあれば十分だ……お前もさっさと描け」
東山光河の技量。いきなり筆を取り、下書きもアタリも無しで一発描きに入る。前回ラスト登場時は顔に汚れが見えたが、怪我とかじゃなかったのか消えている模様。
すぐにもトップ3に入りそうで、現時点で3位である夢の順位が危うい。実際問題として本当に勝てるのかという疑問はあるが、よしんば東山に勝てたとしてもl夢が戸谷隼人を抜けず4位以下になってしまっては彼女と道を分かつ事になってしまう。勝てと願われ、勝つことで彼女を引っ張る力になろうというのに、勝てばもう会えなくなる……前々回彼女に言われたことを覚えているのか否か、絵に集中できない有。まあいつものことであるが、我武者羅でいてブレブレであるな。ただでさえ時間が限られてるのにそんな調子で午前の部が終了し、
「あたし・・・有くんの邪魔しちゃってるかな・・・」
「気にしてくれるのは嬉しいけど……それって・・・あたしの荷物だから、有くんが持たなくていいんだよ」
人それぞれ、誰しもが事情を抱えている。夢にとりこのコンクールは大きな岐路であるが、他にそういう人が居ないとも限らないし、そうでなくても美大受験生、大変な思いをしている筈。歌川有はこの頃葛飾夢の順位ばかり気にしていたが、彼自身「大学に受からなければ家を出なければならない」。
だから夢は、結果がどうなろうとも気にせず自分の道を進んでほしいと言った。夢の荷物を有が背負う必要は無く、また背負った有の負担になる事を夢は厭うのかもしれない。しかして返答は「イヤです」。
「そっ・・・そんなもん・・・ 好きだからだよ」
心が抑えきれず、言葉は止まらなかった。受験生なのに、実力不足は自覚しているのに、ダメな事を言い出してしまった。東山に勝ったらつきあってほしいと口にしてしまった。ついでにその告白シーンを水菜が見ていた。弥生ェ……。
次回カラーとのこと。告白の返事から午後の部へ、入れるのかな? それとも返事は保留で午後の部か……刻々と話数と時間は過ぎるが、有が猛烈に上昇なんてミラクルは到底起こり得なさそうに思う。
ピースは少しずつ揃ってきて、それらを繋ぎ合わせて「今の歌川有に描ける最高のもの」を見せることはできるかもしれないが……山田玲司の描く『アリエネ』らしい結果とは、如何に。受験戦争期間としたら未だ序盤もいい所だのに、勝負が掛かって告白してしまうし。アニメ『坂道のアポロン』では告白が早期で時間経過も早かったが。
展開の急に打ち切りの危機か、構築済みのプロットを一直線に進んでいるのかと不安を感じるわけで。
(後日付記:34話感想はこちら)