ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

『美大受験戦記 アリエネ』第63話――《トロールの苦行者/Troll Ascetic》

一方通行の“好き”を抱えて―――

(第62話の感想はこちら)

 第63話「夢のチョコレート」(3月11日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)。恋愛戦線、異状の兆し?

(な……なんつーベタな夢を・・・あたし、こんなじゃないのに・・・
あいつのブログのせいで、どんどんバカ女になってく気がする・・・)

 冒頭弥生夢オチ。加速度つけて片恋に嵌ってキャラを持ち崩す彼女といい、特待生にして苦学生・東山光河の葛飾夢への想いといい……表面的に見えていた部分、見せている部分と内実は往々にして異なる、というのが裏テーマかなと。圧倒的実力・技術力に裏付けられた自信と優位に見えて、経済的にも恋愛的にも苦労を重ねていると。有とは対照的、という程でもないが……貧乏とか美形の弊害とか父親との確執とか、およそ歌川有には無い経験ではある。
 ともあれ今回のことで、コンクール直前で夢に相談を受けた際の「俺のサポートしてくれ」という誘いは割と本気だったことが判った。彼なりに「助けになりたい」「傍に居たい」気持ちに則った提案で、それ自体は有に勝るや劣らぬや。何が二人の男の差だったのか……いやさ、色々な意味で差のあり過ぎる二人であるけれど。

 はてさて、(主観的)告白タイム後も有が何も言ってこないので痺れを切らした弥生、彼女が夜間特訓に励む有を見つめる図に居合わす東山。これは、片想い男女がお互いの成就のため協力するフラグか? また「取れば30万」のコンペは二日後……今暫くは東山主軸で話が進むのやも。