ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

「Dive into the Mirror」⇔「Alive A Life」(第45・46話)

◎ 仮面ライダー龍騎 - YouTube重甲ビーファイター東映特撮 YouTube Official


 今週2話はギガロの用意した老怪獣をシュヴァルツの科学で若返らそうとしたり、ジェラとブラックビートが協同したりと。思うにジャマール幹部達が一度に一人一匹一体しか用意しないのは、同時投入しても制御できないからでは、という振り回され加減。合成獣系のネタ回などは特にそう。
 そしてセントパピリア云々で新章突入と言いつつ、次回「兄貴はムキムキ」って……。

 インぺラー退場を経て続くサバイバルのようでいてそうでもない空気。今週目立ったのは自由だったり空気読まなかったりな面子。東條、浅倉、編集長あたり。特に再戦に来た東條をすげなくあしらう浅倉には笑った。

「なんだよアイツ!? 何考えてるんだよ!!」
『……一人倒れたか』

『優衣……どうした? 泣くな……優衣』

「あいつ……やっぱり……」「で、落ち込んでるわけか」
「気分良いわけけないだろ。あの時、もっと話を聞いてやればもしかして……」
「ヤツは自業自得だ。お前も二度と顔も見たくないとか、言ってたんじゃないのか」
「それと死んでもいいってのとは、違うだろ」

「はぁ……東條のやつ……浅倉の方がまだわかりやすいっつぅんだだよ……」

「相変わらずだな。東條のようなヤツでも、倒すのは反対ってわけだ」
「いや反対っていうか……抵抗はあるっつぅか……」
「ヤツが何人の命を奪ったと思ってる?」
「でもやっぱひっかかんだよ。戦って倒してって、浅倉にしたってそうだし……あぁ、わっかんねぇ……もっとアタマ良くなりたいよ!」
「……お前は……ハゲるぞ」

「……なワケないか……」

「……うるせぇなあ……」
「―――乗れば?」
「なんのつもりだ?」「ライダー同士の用事って言ったら、ひとつじゃない?」
「また逃げ出すんじゃないのか……?」
「大丈夫。僕、前より強くなってるんじゃないかな」「何故わかる?」
「また一人、倒してみたから」

「……だからちょっと、君で試してみたいかなって思って」
「……まぁいい。やっと少し ねむれる……」

「いやぁ〜OREジャーナルなあ……差し押さえられちまった」

「俺とパソコンが一台ありゃ、いつだってどこだってそこがOREジャーナルだ」

「あのネタは諦めねぇぞ。令子も取材続けてるし、島田とめぐみも潜入取材してるらしいからな」

「……先生……帰ってもらいましょうか?」
「いいよ吾郎ちゃん。俺もうゴタゴタには飽き飽きしてんのよ……あれ、珍しいクリスマスの飾りモンだと、思えばさ」

「蓮、お願い……迎えに来て……早く。変なの……なんだかわからないけど……体が……」

「なに……? 何なのこれ……!?」

“オトウサーンオカアサーンオニイチャーン・・・・”

『きえちゃうよ。にじゅっかいめのたんじょうびがきたら、きえちゃうよ』

「なんだよこれ……ウソだろ!?」「優衣!」
「止まれ止まれ……とまれって!」

「おい……今のどういうことだ……?」「―――まさか……!?」

「……ねぇ、起きてくれないかな。ねぇってば……戦いたいんだけど」「ねむい」
「それじゃあここまで連れてきた意味が無いよ!」「しるか」

「じゃあいいよ……勝手に戦うから」
「……おい。インペラーをやったのは俺だぞ……」
「……なにいってんの? 彼は、僕がこの手で……!」
「ヤツの最後を見たのか?」「でも……」
「俺だよ。トドメを刺したのは……ハァッ」
「そんな……そんなはずない! 彼は……僕が倒さなきゃいけなかった人なんだから……僕は、英雄になるために……!」

「諦めろ……この車は置いていけ……気に入った……」

「わたし……もうすぐ消える……」

「誕生日って……来月だろ。そんな馬鹿な……」
「さっき……見たでしょ? 消えるんだよ。わたし」
「どうしてお前が……」「たぶん、ミラーワールドと関係があるんだと思う」

「わたしね……あんまり、昔の記憶が無いんだけど、家族4人であちこち遊びに行って、すごく楽しかったことは覚えてる。でも最近思い出すのは、わたしとお兄ちゃんとのことだけ……二人しかいないの。二人とも、家に閉じこもって、ただずっと絵を描いているだけ」

「絵を? それなら別に……」「モンスターの絵だよ」

「何かあると思う。モンスターも、ミラーワールドも、ライダーの戦いもみんなわたしに関係してて……」

「優衣の話……多分本当だろうな」「えっ?」
「神崎が仕組んだ事は……全て優衣のためだと言われてきた。ヤツの目的が、“優衣を消さない”事だとすれば―――話は合う」

「先生……また戦いですか」
「モンスター相手だから心配ないって。ああそれより、飾りモンが動いてるから、戻しといて」

「ったく令子さんも変なの送り込んでくれたよ……」

「 仕 事 っ す 」ド ン ッ

「お前……! 懲りないヤツだねぇっ」
「ねぇ……聞きたいんだけど。やっぱりトドメ刺さなきゃ、倒した事にならないのかな?」「は?」
「香川先生なら教えてくれるんだろうけど……もう倒しちゃったし。佐野君を倒したのは、僕でなきゃいけないはずなんだ。僕が、英雄になるためには」

「……なんかさぁ……お前とか浅倉見てると、この戦いに勝ち残ったやつは最強かもしれないけど、最悪って気がするよ」
「あんなヤツと一緒にしてほしくないかも」

「……神崎……」

『優衣、心配するな。お前は絶対に消えない。そのためだけに俺は存在している』
「……お兄ちゃん?」

 ちょ、オーディンさん妹の為とはいえ何故トラックを弾き飛ばすのかと。普通に掬い上げるなり受け止めるなり、アンタなら自由自在でしょうに。誰かを守るのはそういうことだ、という蓮の言い分をも超越したやり口に見えるのは、GM権限を握りつつ己の願いを持つ参加者でもあるというチートパワーゆえ。例えば力が足りなくてやむを得ずという風だったら違うだろうが、神崎士郎は超然とし過ぎオーディンのスピードもパワーも隔絶し過ぎている。

「なぁ、お前さ。絶対英雄になれない条件がひとつあるんだけど、教えてやろうか?」
「へぇ〜そんなのあるんだ」
「英雄ってのはさ、英雄になろうとした瞬間に、失格なのよ。お前、いきなりアウトってわけ」

「優衣ちゃんが消えるのは、間違いないってことか……神崎がやってることは、全部それを止めるためで」「ああ」
「でも……どういう関係があんだ? 優衣ちゃんが消えることと、ライダーの戦いと」
「さぁな……とにかく俺は、今まで通り戦いを続けるだけだ。それで優衣が助かるというなら、尚更だ」
「……そりゃ、お前はそうかもしれないけど……」
「優衣のためでも、戦いには反対か」
「俺だって……優衣ちゃんは助けたい! ……けど!」
「……悩むのもいいが、時間は無いぞ。優衣の誕生日は来月だからな」

「それともう一つ。今日優衣を助けたのは俺でもお前でもない……神崎だ」
「……でも……あれは酷すぎるだろ……」
「誰かを守るというのは、究極はああいうことなんだ」

「……うん、吾郎ちゃん。なんかもうプロ以上じゃない? これなら、いつ秘書辞めても大丈夫」
「先生……俺は」「たとえばよたとえば」

「聞きたいことがあるんだよ、香川先生の研究。先生は優衣ちゃんがミラーワールドに関係してたってわかってたんだよな。もっと、詳しい事言ってなかったか。優衣ちゃんについて」
「さあ……だったら先生の資料、見れば」「そんなのあんのかよ」
「ここに」「お前……っ! なんでこんなことっ」
「次に何をすればいいかわかんなくなっちゃったから、全部なくしてしまえばどーかな、って」
「へ?」「香川先生が居れば、教えてくれたのかもしれないけど」

「ボディーガード? 吾郎ちゃん。それ、吾郎ちゃんが言いだしっぺじゃないの? 俺が怪我なんかしてくるから」
「そんなことないです。俺、先生のこと心配してないですから」

「やっぱり……ライダーの戦いは……!」
『―――そうだ、全ては優衣のためにある』
『お前は優衣を助けたいと思うか』「当たり前だろ! 優衣ちゃんが、消えるなんて」
『ならば戦え。最後の一人になるまで。それが優衣を救う、たった一つの方法だ』
「たった……ひとつ……」『それ以外、優衣を助ける方法は無い』

『これでようやくお前の望みが決まったな。お前も本当の意味で、仮面ライダーとして戦え』

「東條が戦いを仕掛けてきた。何様のつもりか知らないが、呼び出しだ。多分浅倉と北岡も来る」
「戦うのか」「当然だろう。お前はどうする。答えは出たのか」
「……優衣ちゃんを助けるには、最後の一人まで戦うしかないってことは……」「だからそれで」
「わかんないんだよ! 優衣ちゃんは助けたいけど、そのために他の人間を犠牲にするなんて、人を傷つけるなんてさ……どうしても、どっちが正しいのかわからない……」

「お前は今までずっとそうやって迷ってきた……それで、誰か一人でも救えたのか?」

「俺は恵里のために戦うことに決めた」
「でも蓮。この戦いは、神崎が優衣ちゃんのために仕組んだんだぞ。もし、もし騙されてたらどうすんだよ」
「どうもしない。どっちにしろ恵里か優衣が助かる」

「ちょっと。なんでボディーガード置いてくのよ」「仕事っす」「でも」「仕事っすから」「……心配なくせに」

「おぉー、真司。踏み台として、お役に立ってるぞー。椅子が、あるのにな。椅子が、こんなに……」

「……これだけ? 城戸はどうしたのよ」「多分来ない。それより肝心な呼び出し主はどうした」
「知るかよ。三人でも十分愉しめるぜ、俺は」
「ある意味これがベストメンバーかもね……やりますか」

「ライダー、なんてっ、最低なヤツばっっかりだよっ。あんなヤツらに何言われても、気にする必要なかったかも」

「はぁ……やっと戦える……」「お前とは早いこと決着着けて、永久にお別れしたいよ」

「お前の遊びは、あんまり面白くないな……来いよ……遊び方を教えてやる」

「今ごろ、キーを回して、ドカン! 先生、僕、また英雄に近づいたかもしれません……」
“東條君。私は君に、もっと多くのことを学んでほしいんですよ。君ならきっと素晴らしい英雄になれるでしょう”
「僕も、そう思います」

「……城戸。お前……」
「蓮。俺やっと答えを出した―――戦うよ」

「優衣ちゃんを助けたい。お前の言う通り、迷っていても誰一人救えないなら、きっと戦った方がいい。戦いの……辛さとか、重さとか……そんなの自分が背負えばいいことなんだ。自分の手を汚さないで誰かを守ろうなんて、甘いんだ」
「……お前がそう決めたんなら、俺も俺のために戦うだけだ」

“英雄ってのはさ、英雄になろうとした瞬間に、失格なのよ”
(じゃあ、どうやって……英雄になるのかな)

(香川先生……次は、ぼく、だれ、を)

……東條って英雄的「親殺し」に完全に失敗してたよねという話。殺せばいいってものではないが、殺せたけど、超えられてない。戦闘後に不意打ちするのが大好きな彼は二段構え罠(火計)を張って戦いだした三人をハメようとするが、十全と果たせず(てか油塗れの車のエンジン点けて爆発に巻き込まれて生きてた、特に車内の浅倉は普通に人間じゃない)。しかしてその結末は。つくづくクリスタルブレイクはうつ伏せに引き摺らないと不完全な技なのな。モンハンだって飛竜夫妻やイビルジョーに背中踏まれたらこやし玉を喰らわすどころじゃないだろうけど。

 ともあれ事態を引っ掻き回した虎の仔は、一組の親子を救った「英雄」として人々の記憶を行き過ぎた。そして覚悟を決めた真司に対する蓮、烈火と疾風、サバイヴ対サバイヴが、再び。戦わなければ生き残れない、ではなく、戦って願いを叶える、でもなく。戦うことで救われる命の為に?