ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

『美大受験戦記 アリエネ』第74話――《沼地の王ソルカナー/Sol'kanar the Swamp King》

現役生、ゆめゆめ浪人生(肉食獣)に警戒せよ

(第73話の感想はこちら) ( cakesインタビュー記事 前編後編

 第74話「BAD ROMANCE」(6月10日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)。振り返るに去年、第53話から半年越しに登場した男の多面性。刹那主義だかモラトリアム快楽主義だか。

「やっべ 寝ちった・・・妹に夕飯作ってやんなきゃ。うわっ、卵割れてるっ。オムレツが作れねぇ・・・」

「じゃあさ、あんた・・・人のマネってできる? その「自分は特別」だっていう・・・中二級のプライドを捨てて・・・完全なサルマネができる?
「自分が一番」じゃ技術は身に付かないのよ。ほら・・・これがうちの№1よ。あんた 自分を殺して、これのマネができる?」
「………この・・・№1の人って 誰ですか?」
「あんまりマメに来ないけど・・・喜多川圭介・・・今期はあんたと同じアトリエよ・・・」

「大学なんて、バカの行く所だろ? あんた・・・本当はわかってるよね?
自分には何もないから・・・その言い逃れのために大学に行くんだろ?」

 まったく淀みなく夢をナンパする二浪生・喜多川圭介。バンドとDJの両方、のみならず3つのサークルを仕切りイベントや旅行を企画までする、裏サイトに曰く逆らえる者無き「予備校のボス」。現実を充実した大学生の楽しみを先んじて満喫しているような存在であり、見た目を裏切らぬ軟派であり誘惑の蛇であり、それでいて予備校トップの技術を持つ。同じく二浪の“Tレックス”鳥海かの、期せず彼女の部屋で一緒に寝る(だけ)羽目になった小磯が彼とのプリクラを発見したあたり、同期で因縁ありと思われる。「他人を巻き込んで堕落させまくり」という傍迷惑な共通点の由来や如何に。

 はたして後日断りに行った夢をなおも誘おうとしたタイミング、後から石膏抱えた月岡さん登場。裏サイトで注目されてるあたり彼女も狙われて危ない? 受験するだけして入学する気は無いと宣言した弥生と、喜多川の考えは似ているようで溝があるが……技術はあれど大学を侮り、同輩を引き摺り込む様に浪人を続ける理由への端緒となるか? 有視点では単純に模倣目標の位置で、夢は心配させまいという体であるし。
 今更というか当たり前というか、弥生さんて普通にモテるというか男性と縁が多いよなと。正確には予備校に入ってから急激に増えたのか恋愛経験ゼロガール。有、小磯、戸谷、光河。むしろ同性友達が居ないのでは……男からは尊敬を集めているというのに()。