ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

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『美大受験戦記 アリエネ』第77話――《変化+点火/Turn+Burn》

◎ 「月は優しい絵描きになりたいようです」 ( やる夫板Ⅱまとめ

(第76話の感想はこちら)

 第77話「ユメノオワリ」(7月1日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)。とうとう、とーとーっ! 修羅場モード!?

「恋に浮かれんのもいいけど・・・このままだと あんた達も喜多川みたいになるわよ・・・」

「だからあたしさ・・・頑張ってない人が嫌いなの・・・ ごめんね小磯・・・もう・・・ここには来ないで・・・」

 有と小磯、揃って浅田先生に呼び出し喰らって他生徒クレームと成績ワースト2の苦言を貰い、加えて小磯が鳥海かのに振らるる。いつか青木先生の言ってた、「彼女がいれば他に何もいらない」≒「彼女以外に何も無い」男なんていらないという落とし穴の実例? 一面、かの嬢の方から気まぐれにナンパされた結果と見れば傍迷惑、反面夢中になって絵が手につかない男というのは、静岡の家具職人を父に持つ彼女の好みに合わないという自家撞着? 彼女の色香に釣られず邁進する男こそ応援対象だとして……今現在の喜多川は彼女から見てどうよ。先生視点だと、「受験をバカにするクセ、学歴の保証書無しに生きる気も無い」……本当にそれだけなのかどうか。それだけだったのかどうか、なんて疑問もあるにはあるんだけども―――

「こないだ・・・思ったんだけどさ・・・光河と・・・もっと仲良くしてやんなよ・・・
光河には あんたが必要だと思う・・・」
「ははっ・・・ 初めは俺もそう思ってんだけどさ・・・あの夜 思い知ったよ。
俺なんかに……あいつと関わる資格なんか無い・・・って・・・」

「いよいよわかってきちゃってさ・・・
浪人生と合流したり 光河のこと知ったりしたり・・・
何か・・・今まで自分の描いてきた絵が・・・ただのうぬぼれ屋の落書きに見えちゃってさ・・・
僕はその……みんなに天才だって言われて甘やかされて育ったから・・・
自分の絵が特別なものだって思い込んでて・・・ちゃんと見られてなかったんだよね・・・
だけど・・・よくわかったよ・・・僕は・・・特別(・・)なんかじゃない……
だから地道に描くしかないのに・・・いくら描いても・・・」

 あからさまに小細工を重ねている今現在の彼はどうにも好意的には見難い事実があるわけでして。月岡父に貰った面相筆を夢が見つけてしまうよう仕向けて、ことによるとラストカットの「浮気現場」目撃にも何かしら。ただ彼にとって夢を落とす事は娯楽でありその為に力は惜しまないが、夢自身に執着してようには見えないし……かの嬢の矛盾に似る?
 その辺りはさておき。彼の彼たらしめる気質、速水遼平を激励したその原体験さえも自己否定しかかっている有に、寄り添う弥生。彼女は彼女で、父に「そいつがつまんない絵を描いてたら蹴っ飛ばせ」と言われてるのだが……コンペの時みたく性根を叩き直して貰える状況では無さげ。加速度つけて有のコンディションが転げ落ちる予感。どっちを取ってもどう説明しても、有を此処まで成長させた片輪を失いそうで。