ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《掛け金探し/Latch Seeker》/『極黒のブリュンヒルデ』第79話

(前回感想はこちら)
(第1〜3話の無料閲覧はこちら)


三つ巴 電脳捜査網


前回の粗筋

                        ,斗'¨¨¨¨¨¨¨¨¨`ヽ、_
                          r‐'”ヽf^Y⌒^^⌒ー^ー^Y、廴
                      r'\\ {ト、丶 丶 丶丶 ゙込
                    ,イヽ、 ヽ八Ⅷ、 \ \ \ヽ 、 ゙Y     化物を構築し、化物を兵装し(中略)
                     /-‐   、、州拆 Ⅶ、 ヽ  ヽ、  }
                     } / ̄シ´    Ⅵ\\Ⅶ、ト、i、iハ      我らこそ遂に化物すら指揮する「最後の大隊」
                      { / ノ      l|lハiト、i、ヽi|i|i|l|l|_}
                    Ⅶ,イ       リ|| l|ヽト、l||l|l|l|ノリ
                    fヽ{,,ィ竺ミー-、__j ゙リ、l|_l|斗l|刈リr |
                    { トヽf´ ̄ ̄ ̄ヽ___f´,ィモチア }}l) }( ̄ ー──‐- 、____
                      八.ヾト{      }ニニ{ ゛`゙゙゙´ ノ |‐':: \ー──‐-ミ   \\__
                ,斗'”ヽ/゙ヽ{ 乂___ノ ̄i⌒ー─‐'┐}:i:i:  \ :i:i:i:   :i゙ー‐┴┘}⌒ー-、
             ,斗'”(:::::)ノ/:i:i:i八   、___ ‐、j_r‐' ___ノ ノ/l:i: :i   \ :i:i:  :i:i:  :i:i } :i:i:i }
             _,斗'”   .>'” ./:i:i:i:/:i会。  `ー-ミー─彡'´ ,イ :}、:i: i.   ∨ :i:  :i:   :i:l  :i: j、
     r─< ̄    >'”:i:i:i: /:i:i:i:/:i:i∧:::≧s。  `¨¨¨´ .,イ . :.|::}:i:  i:   ∨i:.   :i:   |i:i:  /i: \
   ,イ⌒ヽ、 \>'”i:i:  :i:i: /:i:i:i:/ :/:::ト、::::::::..` ー─=≦  . : :.} Ⅵi:  i.   ∨i:.      |i:i:  /i:   \
   / :i:i:i:i:i:i:i:゙寸’   i:  .:i:ノ:i:i:i:i{  {:::::{::Ⅵ:゙": : : /Y⌒Y、. : : : :/ :Ⅵi.  :i.    ∨i:. 丶  :}i:i:ノ/i:.     \
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 / :i:i:i:i:i:     ヽ  /:i:i:i:i:  /:  ハ::. {::::\/:::::  〉::〈  :: ゙´,イ :::. Ⅵi:i.  :i:i.  \:i:i:i:i:i.ヽj:/:i: .:i:'´ /
./.:i:i:i:i:i:       ∨:i:i:i:i   /:i.  j::}::.ム::::ヽ:  ゙rイ(0)ト、  :/ j  ::::: Ⅵi:i:i  i:i:i:i.  \:i:i:i:i:}':i:i:i:i:i:iレ'”

―――周回遅れこそ免れたものの、著しく更新力が減衰しておるな、と。ともあれ前回気になった“ミッシングリンク”を直ぐ埋めてくる、とは思わなかった。これまでの伏線生殺しぶりからして。実際まるまる開陳したわけでもなく。あと読者視点からすればヴァルキュリア解放以前から叛意は明らかに見えたのに今回ようやく高千穂が、というのは「真面目に仕事するフリ」が効いてたのか高千穂メンバーらの余裕だか油断だか。小五郎と潜伏志向が似てるなと思った傍からこれで、先を読ませないで驚かせてくれるものだ。良くも悪くも。


Experts

(いちじく)との連絡が途絶えただと? まさか……我々を裏切ったのか?」

「まずいぞこれは・・・ヴァルキュリアも1107番も奴の手の内だ・・・
あとひとつ揃えばソーサリアンが生成されてしまう そうなれば・・・」

「つまり奴は人類を滅ぼすことも再生することも出来る それはまさに・・・神に最も近い存在と言うことだ」
「……くだらん 九が何をしようと 所詮 我々の手の上だ」

フレイヤを呼べ」


ダメですね 九所長の個人データはダミーに置き換えられていて 3親等以内にも疑わしい不動産はありません
操網の魔女が関与している確率は97パーセント 人間によるハッキングは不可能です

「……ちっ! やっぱ 抜け目ないか・・・ まずいな・・・このままじゃ 高千穂のおっさん共に出し抜かれる・・・」
「人間に無理なら 外に操網の魔女がいるじゃねーか」
「Bクラスの魔女なんかで対抗できるわけないでしょ? 向こうは100パーセントAクラス以上なのに」

「私たちの目的は魔女の抹殺よ? ちょっと困ったからって奴らの手を借りるわけなんていかないの
私たちは あの汚らわしい魔女の力を使わないで目的をやり遂げないと意味がないのよ」

「だが 今はもう手段を選んでる時間なんてねーぞ お前だってあそこじゃつまらんプライドのために命を落とした連中を
山ほど見てんだろ 使えるものがあるなら なりふり構わず使う方が利口だと思うがね」
「……」

「……特に動きはないね」
「なぁ 初菜 確認しておきたいんだけど・・・お前はハングアップ状態でケガするとどうなるんだ?」「えっ?」
「……さぁ・・・ ハングアップしたのって今回が初めてだから・・・」

「だったら治るかどうか 試しにちょっと切ってみたらどうや? ほれ ええもん落ちてたわ」

「……」ザクッブシュウ!?

「ちょ・・・お前切りすぎだ!!」
「このくらいで大げさだなぁ 乙女じゃあるまいし」ブシュウウウブシュウワァ「……」

「えええ!? ととと・・・血が止まらない!!」
「バカかお前!! なにか縛るもの!! 止血しないと!! 誰かハンカチは!?」

「怖・・・ 私・・・今 車に轢かれただけで死んじゃうじゃん・・・
ビルから落ちただけで死んじゃうじゃん・・・銃で撃たれただけで死んじゃうじゃん・・・」

……当たり前だろ・・・
「信じらんない・・・ みんなこんな無防備な状態で生きてるのによく笑ったりできるね・・・頭おかしいんじゃない?」

「だめ!! やっぱり耐えられない!! ハングアップを解除する!!」
「や・・・やめろ!! ヴァルキュリアに見つかるだろ!! お前はいきなり余裕なくしすぎだ!!」
「村上君!!」
「なんだ?」

「……あいつら・・・一体 何をしに・・・」
「ちょっと・・・あんたたちの力を借りたくてね 2670番 カズミ」「え?」
「九を探したいの でも九に関する情報が向こうの魔女にロックされている あなたの魔法でそれを解除して情報を引き出して欲しい」「……」
「ダメだ お前達は小鳥を殺すために九を探すんだろう? 協力出来るわけがない」
「もちろん それなりの見返りは用意する」「見返り?」
「あなたたちがのどから手が出るほど欲しがっているものよ」
「……え…… まさか・・・」
「鎮死剤の分子構造と合成方法 研究者の知り合いがいるんでしょ? それがあればいくらでも鎮死剤を作ることが出来るわ」「まっ……」
「ホントはあんた達に生きてられるのも困るんだけどね 大きなリスクの前の小さなリスクには目をつぶることにしたの」
「本当に鎮死剤の合成方法を知っているのか?」
「ええ あなたが 私たちの連絡に使っていた端末 その中に鎮死剤のデータが入っているの」「!?」
「パスワードを入力すれば詳細が表示されるわ」「……」

「鎮死剤? そんなものは もう あなたたちは手に入れてますよ」

「村上!!」「ああ スカジが言ってたのは・・・このことだったんだ・・・」
「ただし パスワードを教えるのは私たちがグラーネを処分した後よ」
「……小鳥の命と引き替えと言うことか?」
「そうは言ってない 私たちは小鳥の生死に関わらず グラーネだけ殺すことが出来ればそれでいいの
私たちが手に入れた情報ではグラーネの意識はまだ発現していない 小鳥の意識は小鳥の脳にある だからグラーネの死は小鳥の死じゃない」

「それしか・・・ないのか・・・」「……」
「敵が研究所の魔法使いってことはAランク以上やな」

「そうよ だからあんたには無理かも知れない」
「冗談ちゃうわ 常日頃 この私がBクラス扱いされてんのは納得いかんかったんや」

「ええ機会やないか この私がAクラスの連中よりも上やって事を見せちゃるわ」


「魔法を使ったらヴァルキュリアに居場所がバレるんじゃないのか?」
「大丈夫 イニシャライザーがジャミングしてるから」
「けど イニシャライザーがいると魔法も使えないんだろ?」
「別に私がいるだけで中和できるわけじゃない 相手がどんな魔法を使うのか理解したうえで意識的に中和しているんだ
だから ヴァルキュリアが瞬間移動の魔法が使えることを知らなかったせいで逃がしてしまった
今回は意識的に操網の魔法を中和から外すから問題ない」

「っていうか そもそもイニシャライザーってなんなんだ?」「あんたは知らなくていい」
「おお・・・最新式のインターフェイスや・・・ なぁ コレ持って帰ってもええか?」
「ダメよ 高いんだから」「ケチ!!」
「それじゃ 早速始めて 研究所よりも先に九を見つけないと取り返しが付かなくなる」

美樹さん!! 新しい情報が入りました!!「なに?」
研究所はフレイヤを使うようです!!「!?」
「……フレイヤやて・・・?」
フレイヤって 誰だ?」
AAA(トリプルエー)・・・数人しかいないコードネーム付きの魔女・・・ この世に存在する操網の魔法使いのトップよ」


フレイヤ よく聞いて あなたの任務は九所長の居場所を探すことよ 九所長に協力している他の魔女が九所長のデータに障壁を設けていてアクセスできないの その障壁の中に入って速やかに九所長の所在を突き止めなさい」

-─  _, -┬i          >‐¬     `ー───‐------ 、_
 - ニ¬ ' ´ェ ト       `ー'⌒,ヽ                 , ‐'⌒' ¬
エエ工エエエヘヘ       , = <二二ニ¬─-  _  / /´     !〉
工エエ工エエ ヘヘ    /       ヽ    丶    `7_, -──-、l
エ工エエ工エエ〉ヘ. /     ⌒ヽ   ',    ヽ     ∨        Y
工工エエエ ┴‐'  ∨       l   !   l      i     /         |
  、_,」 , _    ィ    /    |iト、 ト   L      !.   /        l
    _r‐-、ヽ Y,ニ. !| /   !|   |ト!,ヘ! i  b`!    ゝ  レ二      l
== f'`<`ヽ `} l| !i ! ||  l |  ト ィ1 ヾl  !' ノ     \ ___      !
   `丶 ` '   ヽ l ! ll  |」レ1 ヽ|レ'´ /l | `丶、   r‐'う ヾミ‐'  ! l
 ⊂ニ二、     ∨ /,ヘ ト、ヾ_,    / !_,」_∠二  ̄'7 /l   \  ∨
     ヽ、     !/ィ'ニ.ヾ ヽr'⌒ヽ //       ヾ,イ! !    丶.」_
        丶   |//   ヽ {`ー .,ュレ          l !       丶、
        i   | ゝ、__ノ⌒ゝ-/_            | ト       ヽ 丶
        |   ト、_ノ / /  _,>--‐        l | i ト      \ \
        |   |三テ<  //´     \       ヾ'ト」 ! `ー-、     ヽ \
        |   |`¨´  r'ニ´         >      | ! ヾ!     `丶   '、 ヽ
        |     ! __ノ         /´       l |\|ト、      '、  ヾー
        |   _∨  i         / /ヽ、      l !  |ト、 `ー     ヽ   ',
        |   ! !   l         /    ゝ、_  ノ'/  !!         、  i
        |  ノ|    l         /        `7//、  ||          l  /
        |   ヽ   ヽ      /         〃// \ !             レ'

「……面倒くさいなぁ・・・ ねぇ 足元のペットボトル取って」
「これ・・・ 何が入ってるの?」

「おしっこ」「はぁ!?」「だってトイレ行くの めんどくさいんだもん」

「ま・・・暇つぶしにもならないけどやってあげる
誰が何をしようと この世に私がアクセスできない場所なんてないんだし」チョロロロロ


「……終わった・・・ コードネーム付きを出してくるなんて・・・奴らは九のデータを手に入れた後
さらに強力な障壁を設けてくるわ もう 私達に情報を得る術はない・・・」

「……おばはん 聞いてたか? だから私がなんとかやったるっていうてるやろ?」「おばはん!?」

「殺処分予定だったBクラスが何言ってんの? AAAにかなうわけないでしょ?
わかってたのに・・・こんな産廃魔女に一瞬でも頼ろうとした自分を呪うわ」

「お前……!!」「私はな・・・」
「自分がBクラスやなんて思ったこと いっぺんもないわ 敵がコードネーム付きならこれ以上の相手はない」

「私の実力を証明したる」


Archetype

 死に目も看取れず別たれた「みぃちゃん」の事を、また遠くに行った先輩の言葉をどう受け止め引き継いだのか……久々登場の土屋眼鏡腐女史、そして彼女が担当するところの新キャラ、思えば魔女初の眼鏡っ娘である。正直当時の記憶も若干曖昧だが、最序盤に寧子が「パソコンが得意な友達」と口にした折のイメージに割と近い。瑞花とはベクトルの違う高待遇個室はゲームと漫画雑誌で埋まり(さりげなく『ノノノノ』らしき単行本が見受けられたり)……ここまでの引き籠り、もとい引き籠らされ環境の上にボトラーとは幾重にも得心するような羨まけしからんような。実際問題として逃亡⇒廃村⇒天文台で斯くの如き環境は用意維持できんだろうし、「前歴」自体が疑わしい上にBクラス待遇では、カズミがああいう娘だったのは逆に良かったかもわからんね。
 はたして敵勢にあって、現在進行形で人類の命運巡る対立先の尖兵走狗とわかっていて尚、死なずに済んでほしいと思ってしまうが……経緯優劣はどうあれカズミに遅れをとった場合、役立たず認定で殺されそうな上にそれを止め立てできる人間が……魔女狩りの諜報員は美樹女史並に魔女を嫌悪してるかもしれんし、自分の安全や役目を危うくしてまで動く理由が無い(密かに逃亡幇助くらいは不可能でもないかも)。となると一人しか居ないわけだが、たとえ二人脱出できたとして何処へ行けばいい。良太達に合流しようにも技能が被る天文台は安全でなくなったし場所自体知らないかもだし、魔女狩りも論外。小五郎+1に拾われても面白い酷いことになりそうな悪寒が消えないときてる。小鳥の生死を棚上げれば、前提からしてそこまで辿り着けるなら鎮死剤寿命問題は解決してて生き永らえはする見込みもあるけれど。MAD怖いMAD怖い。

 まあ、そんな先々まで心配する前にひさっびさの、ややもすると初めてかもしれない【操網】魔女としてのカズミちゃん様の魅せ場を刮目して待つべきだろうに。恋愛パートや瑞花編における女優ぶりとは別に、現場の事前準備事後処理では敵が居ない独壇場であったために逆に魅せ場たりえなかった(異論は認める)クラッキング能力。その真髄を見せる時は、今。双方向にか一方的にか佳奈と瑞花が知己であり明確な能力差に劣等感敗北感を抱いていたのと異なり、いやさ逡巡した良太に代わり小鳥救出の為カラ元気で大言壮語した場合を考慮しなければの話だが、これまた序盤に想定したような「単純な能力強度や制御技術とは別個に研究所で運用するのに都合が良いか否か」でBクラス殺処分とされた可能性……その自負に足る力を、見せてくれるだろうか。惚れた男の前で、格好いいとこを。メインヒロイン? 知らない子ですね……。
 あとそういえば、ンク詐欺疑惑娘とAAA頂点に同時攻撃される?マジ不憫なイチジク所長側の操網魔女はどんな娘だろうね。ややもすると情報ロックした時点で用済みで亡き者にされてる可能性もあるか。あるいはヴァルキュリア真子さんの十徳魔法に【操網】が含まれてて、というのはハーネストとインターフェイスの接続上イメージしにくくもあり。


 さて、細かくも重大な部分に話題を移そう。茜女史から寧子に託された端末、その中には魔女狩りとの連絡経路ばかりでなく、鎮死剤の製法までもが入っていたと。期待されども外され続け的を外し続けて、まったく長い道のりだった。結局パスワードは魔女狩りが握っている事を鑑みるとまだ腑に落ちない部分もあるけれど、希望である寧子の為にならないものではなかったということになるか。秋葉原デート以降つかえてた小骨がやっと取れた思いである。「何を何処まで知った上で何時までの未来を予知すれば」瑞花がああ断言できたのか等、逆に疑問が現れもするが。実はパスワードが凄く単純で身近なところにヒントがあり、艱難辛苦の果てグラーネと小鳥をどうにかしてやっと教えて貰ったら唖然……てな青い鳥を予断。寧ろがっくり出来ることこそが幸いだとさえ思うけども。美樹女史の「グラーネの死は
小鳥の死じゃない」という言葉がどうにもひっかかるしな。いやま、良太の脳内彼女の例を鑑みつつ「中の人の意識が発現しなければ精神は素体当人」という言が真であれば辻褄合わなくもないけれど。この辺りは寧子とクロネコの関係にもかかり、現在進行形で小鳥の生死を左右する以上は良太も頭脳フル回転で考え突っ込んでほしい……深く考えるのも真実を知るのも怖いのも確かだが。とりあえず奈波さんに知恵を借りるためのまがいは禁じ手で宜しく。

 他方、「魔女の意識はドラシルのもの」という暴露にも動揺を見せなかった(顔面すら融解してうつ伏せだった)初菜。【再生】の魔女として研究所時代も脱走以降も「人間」と「魔女」の隔たりを一際強く感じ、それに慣れさえしてしまっているが故の、再生能力に依存している(せざるを得なかった)故の今回の動揺。【再生】ほどぶっ飛んだ力がなくても薬無しには融け崩れる、薬を飲めば治る体と付き合わされている魔女達の死生観が只人と違う事は明白ながら……特に初菜は自分自身を人間と思っていない、思えなくなり、戻れもせず戻りたくもなくなっている。過去に現状にと、如何ともし難く不可逆を、どう受け止め受け入れたものだろう。他の魔女達にしろ彼女らを守ろうとする良太にしろ、またイチジク所長にしろ。

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           レ-、/L_ _; -r、/く_: :/ハ: : `ヽ、! _Ll -−- L.⊥_/ /
        ハ: : : : : : : :::l、: : : : ̄``丶、; ::「::: : : : : : : :|    ̄``
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 『無限のリヴァイアス』のキーパーソン、スフィクス・ネーヤ。太陽系を覆ったコロナフレアの海に棲む宇宙イカをベースに造られた航宙艦の制御中枢。艦内の少年少女とリンクし時に心情代弁を垂れ流し、多くの人間を観察しながら自我を芽生えさせていった。最後の敵となった人物の娘の遺体を取り込んだが故にその似姿であり、最終局面で対面した両者の結末は……あくまで彼と彼女の問題であり、極黒とは別の物語ではあるのだが。宇宙人/ドラシル/魔女/素体の関係性の謎について、参考例示、ひとつ。