ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《電結の回収者/Arcbound Reclaimer》/『極黒のブリュンヒルデ』第80話

(前回感想はこちら)
(第1〜3話の無料閲覧はこちら)


もう やめたげてよぉ!! ボトラー vs 私はまだ本気出してないだけ


前回の粗筋

                          /(⌒ ヽ
.                         /  ゝ 、_ )
                         /ヘ _    /
                    _ -- 'ゞ、ヾ`ニさ
                 へ ̄       /  ̄ \
.                 /.   \.       /      \
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    \.         /_______// ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄7/
      ヽ__   __//.   ̄ ̄ ̄ ̄//________./
         ̄ ̄ .//           // ____      /
         ヽ_//.        // /名水/      /
             ̄ ̄ヽ    // ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄7/
               丿    //  / ヽヽ  (゚Д゚,,) /
          ノ ̄ ̄ ̄     // ー7 ̄ . ー―7  /
        ̄7         .//ー7 ̄ ー―. ′ ./
        /            //   、ヽ 王   /   /
                   //   ノ /ヲ フ/く /

―――あれ? 「きみだら」読み切りは次号掲載じゃなかったっけ? そしてアニメ化予定だのにこのリミッター解除ぶりよ。当初界隈で予見されたように奈波編で一旦切る、とかなら「一先ずは」関係ないけれど、何処までやるのか関係無しに突き抜けているとしたら潔、し? そもそもアニメ化出来るか否かを気にするような漫画家の方が少ないはずだが。

 そして前回三つ巴と書いたがその実タイマンだった件。そりゃあ万全を期すなら一番強いとされる者を使うわな。ただ問題はその頂点たる実力のほど、具体的な凄さ*1が良く判らなかった……カズミちゃん様が良くやって大金星であるのと表裏であるのだろうけど。そんなわけで(できれば良太達と対立しない場面で)今後の活躍を期待したくもあり、次回以降にあっさり処分死亡とならないでほしいものだと。約40週ぶりに性癖暴露された土屋腐女史と、瑞花とは全く違う関係性でもって? 諸兄も国営悪の秘密結社にスカウトされた際はHDDの中身とネット上のデータについてはご注意の程を。


Cyber Rose Bud

「私がホンマはAクラス以上の力を持ってることを・・・ 今 証明したる」
「……はぁ? あんた 何言ってんの? そんなわけないでしょ あんたにはAクラスの能力がないからBクラスなのよ」
「だってしゃーないやん」

「アチーブメントテストで「人を殺せ」て言われたんや 試験としてな
障壁の向こうで制御されてる機械を誤動作させて指定された人を殺せと」
「!?」
「そら やろうと思たら出来たよ けど やりたないやん 命令を拒否したら自分が殺されるからな
難しくて出来ません言うたらBクラス判定や その時はそれでもええと思たけど・・・ まさかBクラスになっただけでも殺されることになるなんてな」

「つまり私がBクラスなんは主義信条に基づくもんや 能力が劣ってるわけやない」
「……あなた 何言ってるの? 別にアチーブメントテストひとつでB判定になるわけじゃない その他無数に行われる試験による総合的な判断よ あなたはその試験にわざと落ちてBクラスなんだと思い込みたいんでしょうけど・・・かわいそうに
どうしても自分の無能を認められないのね」


「ふああああ 眠い・・・」
「夜更かししてゲームばかりしてるからよ」
「面倒くさいな・・・やっぱやめようかなぁ・・・」
「あんたね・・・ あんたが生かしてもらってるのは その魔法のおかげだってことわかってるの? それにあんたは恵まれてるのよ 一生懸命がんばったって・・・死んだ魔女もいるのに・・・」「……」
「えーと 土屋邑貴 22歳 女性 っと・・・ へ〜 学校の成績はめちゃめちゃいいんだ 頭は優秀なのね」
「は?」
「……なにこれ・・・ 携帯メールの受信履歴 DMと通販の発送案内ばっかじゃん あんた友達いないの?」「は?」
「しかもその発送履歴って・・・ うわー・・・BL(ボーイズラブ)のエロ同人誌ばっか買ってる」「!?」
「しかもバイブとかオナニーグッズの数々 わかりやすいなー あんた性欲強すぎじゃない?」「ちょっ・・・」

「ちょっとやめなさい!!」
「ふむ IPで辿ってみよっか ……なんだこれ? あらーこの人 隠しブログでBLのハードエロ小説まで書いてるわ」「!?」
「うわー!! 三国志のBLって!! あんたまたマニアックねー おっさんの組んず解れつが好きなの!?
もはやボーイズでもないし ムキムキのおっさんのアナルにバイブ責めとか・・・引くわー・・・」

「あ・・・ あ・・・」

「我ら 生まれた時は違えども イク時は同じって・・・ あんたバカなの?」
「うわああぁあ!!」ブチッ

「ちょっとあんた いい加減にしなさいよ・・・」
「いい加減にするのはどっちよ こんな変態が よく私に説教出来るわね 笑わせないでくれる?」バチン
「大人には大人の事情があんの!! このクソガキが!!
だいたいペットボトルにおしっこするような奴がこの私を変態扱いすんな!!」

「お前のアナルにもバイブをブチ込むぞ!!」「……」

「はいはい わかったよ ちゃんとやるから・・・そんな怒んないでよ」
「……ガキが!!」「!?」
「操網の魔法使いが ここに接続してる・・・」
「えっ?」
「この感触・・・ これは・・・ カズミだ」


「……研究所内に入った」
(カズミ)「フッ・・・ フレイヤ!?」
「カズミちゃん・・・」「カズミ どうしたんだ?」
「恐らく・・・ 向こうの魔女と相対してるのよ」
「……実像化? 私の頭の中に入り込んでるんや・・・フレイヤはこんなことまで出来んのか・・・!?」
(カズミ 何してんの?)
「……あんたと同じや 誰かが封印した(いちじく)のデータを奪いに来た」
(……… あっははははは!? バカね)

(誰かじゃない 九所長のデータを封印したのは この私よ)「なんやて!?」

(九所長には借りがあるからね 私だけ特別扱いで毎日ゲームできる環境を作ってくれたのはあの人だし
データはこの私が封印したのよ もう誰にも見つけられないわ)

「なっ・・・ あんたが封印したんか!!」「!?」
「……なんてこと・・・ 障壁をつくったのはフレイヤ自身だったの? ……もう無理だ・・・ なおさらBクラスなんかに破れるわけがない・・・」

バ チ ン「つあっ!?」

「どうしたの!?」
「……あいつ・・・ 私の障壁に侵入した!? たかがBクラスが!!」
「結局 うちらの魔法は犯罪の道具に使われるだけや だから・・・私は全てのテストをいい加減に受けてたんや 研究所の手先として使われんように・・・ひょっとしたらそのこともバレてたんかもしれへんけどな その敵愾心も含めてのBクラス判定やったんやろう せやから・・・実力じゃ負けへんで・・・」

「なっ!? これは・・・ あんた・・・九のデータ自体を削除したんやな!?」
(……お疲れ様でした 障壁は目くらましよ そんな見られたら困るようなデータをここにとっておく意味ないでしょ もうとっくに削除したわ)
「……」
「……そんな・・・ 削除されてたなんて……」
「……無駄だったか 別ルートで九を探すしかない」「アホ抜かせ」
「私の力は ここからや・・・」

「えっ・・・!? データをリストアしてる!? サーバーに断片化した過去の痕跡を集めて・・・」
「まさか Bクラスにそんなこと・・・」
「データを削除したんは ヴァルキュリアを外に出したつい最近やろ
NULを数回上書きした程度じゃデータを完全に消去出来へんで・・・! 障壁を破られんと思て隙を作ったな!!」ツーーッ

「カズミ!!」
「させるか!!」バ チ ン
「カズミ!!」「カズミちゃん!!」「しっかりしろカズミ!!」
「……あんなろー・・・」

「カズミ!!」
「……あんたのこと 産廃なんて言ってバカにして悪かったわね
失敗したとはいえ AAA相手にここまで対抗出来るなんて思わなかった」
「……」
「アホ抜かせ あんたまだ私をバカにしてるやんか」

「東軽井沢・・・ 旧通り3・・・」「!?」
「そこが・・・九が母親名義で持っとる別荘や・・・」


「腐ってやがる。遅すぎたんだ」

……せっかくカズミちゃん様の操網魔女としての見せ場だのに、電子戦を読者視点でそれほど可視化するでもなく、本気の隠匿はBクラスである所以たりえてもAAAに対抗しうる証明にならんというか(むしろAランク以上には更に厳しい訓練実験と選別が行われたやも知れず)、しかし実際にフレイヤの油断を突き目的の情報をもぎ取ってきたわけで兎にも角にもカズミよくやったというか、あるいは試験サボタージュしても他の操網魔女が誰かを「事故死」させたかも知れず、ただ例え欺瞞であろうと魔法を殺しに使わなかったからこそ脱走事件を経て良太と出逢えたとも言えて……ともあれ色々と言葉にし難くて歯痒く、惜しい。小鳥救出のためか仲間全体のためか特に良太のためか、良太と生きる明日を得るためにか―――思い返せば序盤1巻7話ぶりの「身を削る」闘争を勝ち取った、血塗れの笑顔といったら……。


もうこれを読んだときは、笑いすぎて涙が出てしまいましたよ。剣幕な表情で、そんなアレなことを言うの?台詞と表情が全然合っていないってば。いや、それをぶち込まれたフレイヤも見てみたいけどさあ……。まあ、青年誌だしね?

イク時は同じでワロタ
土屋はもう恥ずかしがらずにオープンになっちゃえよ
そのままの君がステキ(恍惚)

突っ込みどころ満載。寧ろ、突っ込みどころしかない。
「大人の事情」って一体何だよ。それがアレなのかと。
ペットボトルの方がまだストレートな気さえしますが。

何の展開だったのか、この作品がどんな作品だったか、それさえ吹き飛ばしそうになるギャグ展開になるとは。
一体誰が予想できたでしょう。土屋くんおいしすぎる。

宅間さんとのエピソードでネタ振りはあったのだが、まさかここまで重症な人だとはw>土屋邑貴さん

今にして思えば、宅間さんはアレでも、手加減していたんだなぁ、フレイヤさんの情け容赦のない無慈悲な個人情報暴露に、相対的に宅間さんの常識人っぷり&良い人度が急上昇する有り様よ。ホント、惜しい人を無くしたもんだ、数少ないヴィンガルフ内部にいる、マトモな人だったのに! >宅間さん

逆ギレしてフレイヤさんをビンタしつつ、お前のアナルにもバイブをブチ込むぞ!!と荒ぶる土屋さんを見ていると、どう見ても、ヨゴレ系ヒロイン……

もとい!城ウォッチャー化が進んでいるなぁ、とw


―――とはいえ、話全体からするとカズミの大活躍よりもイチジク&真子+小鳥の捜索進捗よりも、土屋腐女史の性癖暴露タイムとブチ切れた彼女のバイブをぶち込む発言の方がインパクト大なのは否めない。おそらくは『ノノノノ』における「よかったらアナルショップと呼んで下さい」と並び、岡本倫作品史に残……よく考えたら『きみだら』の方は(1巻収録範囲外の現状では尚の事)ほぼ常時変態台詞ラッシュだった。

 多分に女史は、初めて担当というか世話を任され情が移った途端に引き離され死に目も看取れなかった瑞花のこともあり、表面上は黒服の忠告を守れても魔女の事を憐れみ可哀想だと考える気持ちがあった。其処を見抜いたかは定かでない*2が、操網魔法でプライバシー侵害しまくり手酷くおちょくられた事による激怒でそんな風に考える余地も無くなった……のは一時的か否か。そもそもイチジク所長の情報を隠匿した当人であるフレイヤ(本名不詳)*3からすると真剣に臨もうとする気が起こらないのも仕方ない……いや所長不在の状況で上部組織の直接命令を達成できなかったら、彼女が満喫する引き籠りニート生活を続けるどころじゃない。小五郎とは別の意味で其処から動けない動く気が無い……まあ彼女からすればカズミに情報持っていかれたのが悔しいだけで、別にイチジクの居場所を売ってもいいのかもしれないが。何しろ叛意がバレて追われるイチジクはフレイヤの生活を保障してくれない。もしかすると大好きな千怜の事を売ったのに怒ったヴァルキュリア真子さんが、という危険性もあるが……高千穂の「おっさん」方いわくソーサリアン生成には小鳥グラーネ+1と真子自身も必要ということだから、「今は」考えなくてもいいのかね。まず現状現場で求められている役割をどうやり過ごすかで命運は大分違ったものになる……思えば魔女にもイチジク派がいるわ、研究員は脱走してレジスタンス結成するわ諜報員残っているわと、高千穂下部組織としてのヴィンガルフて表面上はともかく分解分裂離散の気配濃厚だなあ、と。セクション云々で情報限られたまま大義に従ってる研究員とか警備員の皆さんとか完全に置いてけぼり。よく考えなくても土屋女史がその「情報限られたまま」の研究員だった。“イチジク所長の取り計らいで”速攻でソーサリアン拝ませてもらって知的好奇心を大いに刺激されつつ瑞花との出逢いと別れを経て……勢力複数で登場人物色々の故に単に荒川処女手ポジと言えない彼女の立ち位置そして行く末や、如何に。

*1:例えば直結状態の脳に直接情報が送れるのを利用し誤情報/ミスリード/化かし合い/幻惑合戦とか、極端、カズミの脳自体にクラッキング攻撃……されても大変困るのは確かだが。今回描写されたような過負荷だかマイナスフィードバックだか衝撃流血だけだと……いやそれだけで済んで幸いなのだが。

*2:もしも今回の性癖暴露攻撃が、単なるサボタージュもしくはイチジク所長への借り・義理立てのみならず「そういう眼」で見られたくない感情から来ているとしたら……なんとはなしにどことなくだが、同ヤンジャンで『仮面ティーチャーBLACK』連載中、かつてのマガジン連載『GTO』の藤沢とおる先生描く教師と生徒・大人と子供の関係性を想起しなくもないような。

*3:佳奈が瑞花の名前を知っていたのに対し、カズミは専門領域の頂点に立つ彼女の名前を呼んでおらず、逆に彼女が魔法行使の「感触」でもってカズミと見抜いたことからクラス分け以前だかの一時的には同級同窓にあったと推量される。