ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《全ては塵/All Is Dust》/『極黒のブリュンヒルデ』第90話

(前回感想はこちら)

(第1〜3話の無料閲覧はこちら) (アニメ公式サイト)


“私がどんなに望もうと何も与えてはくれないからこそ、
私は彼女を愛しているのだよ”




その胸を引き裂けば その中に視えるのか? その頭蓋を砕けば その中に視えるのか?

                                                _..∠、ヽ
                                          .ィ::;;;;;;;;;;;}!'`ヽ      .ィ
                                         /:'.:;;;/、:;;ト、 ,ム._ __/.′
                                       ー彡'.:'.:/zz、}:;LI__ーrァ=-‐ '゜
                                         ラ:::i:;弋'r゙=`ハィォy}Y!
                                       7;:::!:::「 l  ./ }'ラ;伍
                                          厶ム!:ト!、_-=ュ /イ;ト;「`
                                   ___    |:′  /、_ イソ¬;;乂_
         _ _       ____   ___r-くヽ´ ヽ  ̄` ̄`ヽ.〈.、〃|iiii〃゙=-、`
  ,.、_,、,、_   /,iil;、`¨¨¨¨¨¨´       `¨´―     ̄  ``         トγYム∧_
=≧ミ、 ̄`ー'――`ー、、                      i       |!弋リ ト, > .     これが 寂しさか
`ヽ≧:)ヽ≧=ァ_ノ―――‐ヾ.:、 /  /     ∠. __ −-、._        |!   ,}il〉    ハ
 ̄ヾ≦´≧ヾ((____     \≧./ ̄ ̄ ̄ ´      ` <、        \、! }/   ,' ,|
    ̄ ¨¨¨ =-‐(ソ圦                     ヽ、        \ ,j′  ,' /〉
                                   \ヽ._        ヽ Y{     ! |
                                     V `ヽ       }{   ,!....|
                                     V         }!    !, |
                                      V            }}.  ∨ _'、
                                      }     _____}}_ ∨、ヽ)
                                      ,′   /' ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ. ト.1 ‘,
                                        /     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヘ |=|
                                     /     /ニ三三三三ニ=‐zz、__ ‘,
                                   /      /三三三三三三三三三!\ヽ
                                 /     /三三三三三三三三三ニ〉Yii>}
               ..=≦ ̄ ̄ ̄ ̄ >ー-、__ ∠.....ノ   / /  ,′ i   .   i ̄`Y ,!/
           ..<                       / /   ′ | i .:::.  | ヽ ヽ|´
         /   ..-‐−  =― −- . _ _    _ .イ   /   ,′  | ! ,::::::i、 l  ヽ `!

―――奈波が逝った翌日のこと。「良太はなんでも額面通りに受け取るよね」と結花は言った。実際この物語、有言実行が過ぎて想い擦れ違うこともあるが基本的に「嘘は吐かない」(真実全てを話す訳ではない)者ばかりだけれど。

 言葉にしなければ伝わらない事もある。言葉にしても伝わらなかった事もある。そして言葉より、彼の自覚より雄弁だった「かもしれない」行動は、しかし彼女にどれほど伝わったのか……たとい正しく受け取ったとしても遣る瀬無さが消えないからこそ、か。まこと、理屈ならざる感情の生き物。イチジクチサトもまた、此処に至らしめたその根底においては?


Over Pygmalionism

ダダ ダダダ

「あと3秒・・・!! 早くヴァルキュリアを殺してぇ!!」ダダダダダダダダダ

「もう・・・」

「もう 限界だ・・・」ツ--ッ

「この・・・死に損ないが・・・!!」

「くたばれ・・・!!」 ボ ン ッ

         ,-.、
   l´ヽ_  .l  ヽ
   \_ \`l .|
    ___> 、\ |
   ヽ__,.‐''>――ヽ、                                      :
      //\   .\                                  ∵ ∴‥
     .`´  .| `l.   \                               ∴;・
         ..|  l    \                              ;
         /  l      ヽ―――――――――=              ヽ ̄ ̄二ニ=
        /   l                    {               }
  .,------´    \               ‐- .、.,, '                ;
   '------------‐.`‐‐.'`―-.、.,, _            :.                  ,
                      `' ‐- .、.,, _      ヽ            /‐- .、.,, _
                           `‐- 、., _.  ` 、      __ ,. '
                                .`' ‐-、.,ゝ    `ヽ
                                            .`' ‐-

「!?」「ぐあぁあぁあぁ!!」

「……失敗だ・・・ 間に合わなかった・・・」フラッ・・・

ドサッ千怜(ちさと)!!」

「千怜・・・千怜・・・ 死なないで・・・!! どうして・・・」「……」

(自分以外の人間を虫扱いする男が・・・ 命がけで他人を助けるなんて・・・
こんな奴にも 人の心が残っていたということか?)

「逃げろ!! 今の内だ!!」

「やはり 人の感情など害悪でしかない」「えっ?」

「私は・・・ 怜那(レナ)がもう誰かを悲しませるなと言ったから お前を助けただけだ」

「なのに・・・ お前が泣いては 全く意味がない」

「だから・・・人間など嫌いなのだ・・・」ゴポゴポッゴポッ

         l!,l::!  V::!  ヘ:!   ヘ:::::::!     キ:::::::::!V:::ヘ:::::::::l::::::::::l::::::::::::::::::l::::::::
       , ィl l::!   ';::!    ':!   ヘ::::!    キ::!;:::::!∨:::∨:::::!:::::::::!::::::::::::::::::!:::::::
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      ヽ....   l!   .';    ;l    ヘ:!      ';:!ヘ::! .∨:::V:::!:::::::::!::::::::::::::::::!:::::::
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「理屈の通じない・・・ 感情で動かされる人の心など・・・」


「千怜……? 千怜……千怜?」

「……ふっ・・・」

「あはははははは!!
死んだ……!! 千怜が死んでしまった!!
千怜がいてくれるだけで良かったのに!!
私は・・・千怜の喜ぶ顔が見たかっただけなのに!!」

「ただ・・・ 褒めて欲しかっただけなのに・・・」

「……許せない・・・ 大切な千怜を殺した馬鹿な人間ども・・・
私も・・・千怜と同じ・・・ 人間なんか大嫌い・・・」

「千怜のいない世界なんか・・・ 全部ぶっつぶしてやる・・・」

「やめろ!! (いちじく)が言ったことを忘れたのか!? 感情で動く人間が嫌いだと・・・!!
お前は今 九が一番嫌いなことをしているんだぞ!!」

「うるさい!! 何も知らないくせに・・・千怜は今いる人類を滅ぼすために私を作ったのよ!!」

「私は千怜の意思を受け継ぐ!! まず お前から死ね!!」キィイィイイイイイ

「やめて!!」「寧子!! この男を殺されたくないなら 自分で守ってみろ!!」

  /    /   .//  / ./  / ./  /    l !.l     .l゙ !    .|  l  ! ー,ィゞ , .l .l ..l. l   l    ヽ
 ,i′   /  ./." ./ ./  .l゙ /   l゙    l !.l     !│    | │ .l .〃ンll│ l .l  .l .l   l    .ヽ
            / ./  ./ /   /i、   .! .l l゙    │.!      l │ r|ン'゙./   l  .l .l  .l .l  ..l
 .゙.l-、         / ./  ./ !   /.l│  ." | l     l .| /    l  "./  ,,",  .l  .l .l  .l, . l  ..l,
   ヽヽ、   ,,,   l    /   / | .|   .! !     .l゙│l゙    .| /   /  l   l  l . !  .′ l   .l.
    ヽ.゙'l、   .゙.l-、    /   / .,! |   "l゙     .|   !     /  ./    l   .!    l    .l.  ..l,
゙'x.   ヽ ヽ   ヽ\  ."     ! |   l     ,!  .!    ./  ./     "   l    .l    .l,   .l.
、 .ヽ   .ヽ ヽ   ヽ.ヽ      l′ti   |     l .| .″   ./  ./            ′   `        .ゝ
..ヽ. \    ヽ.ヽ   ヽ .ヽ.    .|  .|.l  !     l .|    ./   /  .,,            _..y='"
  `'、 .ヽ   ヾ>   .ヽ .ヽ    |  ."l  |     : l .l゙ ,  / . ,ノ´../i!,、        ,..-'彡'´
   ヽ ヽ   .ヽ     l'、 ヽ  .从  .l、l゙     l .l゙│ .i/ . / ヾ  " ー._,,、 ._.. -'" /
    .\ \  .ヽ  . __./ ヽ ヽ''゙′ .l .l゙i,!     l !│  .,i゙ゞ    , ‐''" .''"゛ ./゛    .,,, ‐''"゛
      .゙'、 `x、   l゙    .l, .'k  │ .「     l .,! ',i, /     /       /     .-'"      ._,,_ii
. 、,     .\ ゙'!i、 │    .l .l,   | 、     _   ,i"" ./  ._,,、._..  −  ._,i|ゝ      ._,,.. -ニニ! ̄゛
  .`''''゙Ni、   l‐..\      l, . l, .| .!  .,. 、 .ll′/  //´ ‘゛     `゛   ゙゙゙'ー''''''''゙,゙ン-'''"  ー'"
 `''ー ,,,  `''‐ ゙ヽ. .\      .l  l   ′.'" `゙゙' /                  _iyrij⊇  _,,,.. -‐''二二-―
. ,,. .. --'┴.  v-ミi、 `''‐`‐   l            l゙     .,..;;彡'ツ         _.. -''゙´ ;;ニニ―'''''"´
  `、       \. ..`''-,,,,,,,,,,..、 ″        ‘   . / . ~./     ,,-'"゙.,,, ー'"ニ....、〟     .''¬、
ー ..,,,゙゙'''ー 、″   ゛       .゛            /           ,..;;彡‐''"      .'!―<゙゙ ̄ ̄ ̄ ̄
     `゙>-''''    .,..-'"     、       /            `                   `''ー..、
 xrニ./ ''"       ゙ア'"__   `ー  ,,+    ...       : ー‐ー.---.__________;;<,゙_、
-―     _,,....、 --―''''''゛^`,            /                    ´^"''''''―-- 、....,,_ ̄ ̄ ゙̄“`

「さよなら 寧子 とてもかわいくて・・・ バカな私の妹・・・」


「外で・・・ なにか爆発が起きた・・・」

「出血しないように 腋に手を入れて力を込めなさい」「ぐっ・・・」
ヴァルキュリアを殺しきれなかった時は 絶対全員死んだと思ったのに……
あんたの腕1本で済むなんて マジで超ラッキーだわ〜〜♥」
「ふざけんじゃねぇよ!」
「あんまり騒ぐと 出血多量で死ぬわよ 助けを呼ぶから あんたはここで待ってなさい」
「しかし もう誰もヴァルキュリアの暴走を止められないぞ 今までは九がブレーキになっていたが・・・」

あいつは 物理的に地球を壊す力を持っているというのに・・・


「素敵な夜明けね でも・・・ もう千怜と一緒に見れないのなら どんな美しい風景も 無駄」

「千怜のいない世界なんて・・・ なくなってしまえばいい・・・」


「どうやら・・・ ヴァルキュリアには気づかれずにすんだみたいだ」
「どうして私たち・・・ 無事だったんだろう・・・」
「九が言ってたじゃないか グラーネには魔法が通じない 無意識で魔法をキャンセルできるって」

「小鳥が・・・ そばにいたおれたちを守ってくれたんだ 溶けて・・・死んだ後でも・・・」
「……小鳥ちゃん・・・」

修道「えぇ!? あんたたち生きてたの!?」
「……そっちもな」「見ろ!!」

圭圭圭圭圭圭圭圭≧、    マム                  _,,。x≦圭圭圭圭圭圭
   ̄ ̄``''''≠≦圭圭≧;、   マム           _,,。x≦圭圭圭圭≦≡≠'''"”
           ````''≠≧;,、_ゞ;。ャぁゎ,、 ,z、_,,。x≦≡≠'''"¨”´ ̄
                    ``'ん圭i゚圭Λ`”  ̄
              __,,。x=''"´  {圭゚i:i:i:゚i:圭}  _             ___,,,,。xz-=
,,,,,____,,,,,。x;≠〆'"´  ,r;; ゚守゚圭i:iУ  ゞ'-ー-==≠≡ニニエエ≦圭圭圭圭圭
圭圭≦エエニ≠‐''”´    ,〆゙    `゚¨¨゚´                      ̄ ̄ ̄ ̄
             ,,〆゙  ,{G           ム},,_
            ,,〆゙  ,〆    7       ``ヽ、
        _,,zィ''"´  _,〆゙     /′           \
zェz=≠'''"´    _,ィ紗"       /′                ゙\、、
        _,ィ炙;〆      /i゙                  ヾ㍉、
       _,ィ炙圭〆         /7                  ヾ㍉、
  _,,,ィ炙圭圭〆         /i7                     ヾ㍉、
ィ炙圭圭圭〆           ,イi7                       ヾi㍉、
〆圭圭紗'"         ,イ紗′                        ゙{圭}li;
圭伊紗'”            ,イ紗'′                         }圭7}i;
〆紗'”         ,,イ圭7′                            ,{圭圭!
圭'”         ,ィ'圭〆                             ;{圭圭|!
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  ,,,ィ炙圭〆                                    /圭i圭7
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圭圭伊′                                    /圭i圭7
伊≠                                  ,イ圭i圭7

「アンチマターだ・・・!! 大きい・・・!!」
反物質(アンチマター)? ひょっとしてあれが 山を吹き飛ばした魔法なのか?」

「一度作ってしまったアンチマターは 対消滅で爆発しない限り消えることはない・・・
たとえ今 ヴァルキュリアを殺しても手遅れだ!!」

「逃げろ!! 吹き飛ばされるぞ!!」
「ちょっ・・・ 逃げるって どこに・・・」


「全ての記憶 全ての存在 全ての次元を消し そして わたしも消えよう」

 死者を想い生かし殺し、その為に人生を使い尽くす。寧子が良太に、良太が寧子(クロネコ)にしてきたことの裏の裏返し、似て非なる鏡映しの如し。また「小鳥の内なる怜那」が、「寧子の内なるクロネコ」を暗示するや否や……行き着き得た、「これから」もありうる可能性のひとつ。思い返せば良太は寧子を活かす為に躊躇無く沙織を刺して斬り殺され、奈波の操憶で「幼馴染の良太を殺された」と誤認した寧子は怒りに街中で魔法を連発した事もあったか。

(みんなが私を見捨てたのに・・・あの時 千怜だけが自分の命を使って助けてくれた・・・)
「千怜・・・好き・・・ 千怜が死ねと命令するなら・・・私 死んでもいい・・・」

「かつて あいつの命を救ったことがある あいつはそれを恩義に感じているらしいが・・・」
「それは単にヴァルキュリアが私の計画に必要だったからだ それ以外の感情などない」

「知ってた」
「でも 好き」

「その気になれば アンチマターで日本を対消滅させられるけど・・・ 今はこのくらいにしておいてあげるわ
また千怜(ちさと)に怒られたくないからね・・・」

 はたして歯止めと生きる理由(同時に死ぬ理由?)を喪い、正しくピンの抜けた手榴弾同然。これまで幾度も見逃し、また躊躇う間に殺さずに済んだ寧子(いもうと)にさえ今度こそ本気の殺意を向け―――彼女を現世に執着させるものは、もう何も無い。

 もし“あの時”の良太のように(またはイチジクがするように)極めて冷静に冷徹に「まだ大丈夫だ」と、致命傷を受けた良太が生きている理由から【再生】による救命(もしくは【転時】による巻き戻し)を考えつけたなら。自分で実行可能かは別に、如何な手段を使ってでも助けようと行動できたなら……それはそれで最悪災厄の連鎖だろうけど、そこまで真子はブッ壊れていなかった。それは誰にとって幸か、不幸か。


それにしても、カズミと初菜ちゃんがなぁ……佳奈ちゃんはこれから描写があるかもしれないが、退場描写が、こんな沙織みたいな扱いはなぁ……

 カズミのヒロイン力の高さからして、あそこで終わりとは思えないし、初菜ちゃんの『人間と魔女との共存』というテーマをやるには、ヘクセンヤクト陣営ってのは、ワリと打ってつけな気がするんだが。あいも変わらず放置継続中。これはもう、こっそり再生完了してるか、或いは、完全死亡かの二者択一の予感。ヘクセンヤクトへの合流があるとしたら、あの2人は、割合、違和感なく合流しそうな気もするんだが……まぁ、復活を信じつつ、次週を待つ。

けど、次週もきっと生死不明の予感w

 九千怜、最期の言葉。感情で動かされる人間は嫌いと人を否定した男が、損得抜きで動いた切っ掛けは、結局、妹を失った『寂しさ』だった。寂しさしか、人の感情を体感として実感できないまま死んだとしたら、この男も哀れな男と言えなくもない。

が、哀れさよりも、なんてやヴぁいヤツを残したまま、勝手に死にやがったんだ、このシスコン野郎!?責任も取らずにぃい!?と、物凄いあとの祭感がね……

ここで、転時発動を期待したのは、僕だけではあるまい。だが、前回感想で予想したとおり、岡本倫作品の法則として、読者の誰もが予測する展開や希望する展開は、まず間違いなく来ないという大前提がありまして。

 で、蜂の巣にされた九所長だけど、理由は前回の感想でも書いている通り怜那の呪い。結局は、死ぬ寸前になって自分も人間に過ぎなかったと理解。まあこれが、玲那の生きている時だったらこんな無茶苦茶なことにならなかったのに。初菜ちゃんが死んだのも、カズミが死んだのも、小鳥ちゃんが死んだのも九所長のせい。エルフェンリートの角沢長官同様に、これほどに死んでも同情の余地を感じないキャラはいないだろう。

 今週のラストでまたまた大ピンチだし、この化け物をどうやって止めるのだろうか?押してはいけないボタンを押してもらった佳奈が、今回のキーパーソンとなるはずなのだが……。あと、寧子もそろそろ覚悟を決めてくださいよ。一応、この漫画のヒロインなんで。

実際問題どうやったら逃げれるのか。
カナがやってきてなんとかしてくれるのかね。
それともネコがようやく活躍して真子をボッコボコにするのか。
あの爆発でカズミ達が吹き飛んでないか心配でもある。

このまま本当に吹き飛んで1話冒頭になってしまうのか。
ちょっと早すぎる気もするけど。
でもそうだと今週のタイトルの「夜明け前」もしっくるくるんだよな。

どうやらイチジクさんは、妹が、誰かを悲しませるなと言ったから
よくわからないけどとりあえず真子を助けてみたらしい。
これは、本当に分かってないのか、意味は理解できるけど全く共感できないということなのかで
この行動の印象が変わってくる気がするけど、まぁ、どっちにしても、
もう生きることに未練はなかったんだろうなというか、ぼくには
自殺することが本懐だったんじゃないかなと思えました。

―――はてさて。窮地ごとに覚醒あるか来るかと言われながらずっと変化の無かったメインヒロインさんの「最強破壊魔法」で以て反物質砲を迎撃か、それとも前回方々で想像された佳奈怪物Ver.が飛んできて(二人があっさり無事と判る前はそれが元で衝突になるかと思ってた)なんとかしてくれるのか。小鳥死すともグラーネ死なず魔法無効化結界が今度も仕事してくれるのが一番手軽だが……某幻想殺しで言われるみたく「魔法そのものでなく魔法から発生した現象は適用範囲外」でないと先ず逃げる必要が無いような。
 小鳥の犠牲でもって滅亡の危機を免れたのに、それを無為にするようなことを彼女の死を背負った良太が看過できるか……そんな感情面でどうこうできる領域では最早ない。寧子に置き去りにされたこと、助けに来ても歯が立たないこと、いざという時に殺してやるしかできないこと。謎の残る背景や頭脳面はさて置き、どこまでも「非力な」「人間」に過ぎないことを悔やみ苦しむ要素、これまで頭脳で乗り切って(回避して)きたことに本章は幾つも直面させられている。寧子は寧子で、天文台一同を精神的に引っ張っては来たものの、こと此処に至り姉に叱咤されても何をすることもできない。

「どうして 私にはこんなに力がないの・・・? どうして誰も守れないの・・・?」

 ここまでくるとだ。かつて真子以上の最強ヴァルキュリアであった頃の黒羽寧子が現在の寧子になったことも、もしかすると魔法の代償に記憶を失い続けることも、「かつての黒羽寧子」自身が望んで消し去ったのではないかと思えてきた。その強大極まる力で命を奪い続けたことを厭い……現在の彼女が知らぬ内側で強固に封じられている力と記憶、それを非力さから仲間を立て続けに喪った哀しみ故に取り戻す取り返す……あるいは犬良氏Tweet周りから予想されたように、佳奈の霊体精神体が憑依することによって?

 誰かが、言う。非力さに怯え震えて、それでも立ち止まれないのが『極黒のブリュンヒルデ』だと。それが真であろうと偽になろうと、もう引き返せない。「夜が明けて」来る日を迎えざることあたわず、彼らが世界が「夜明け」の先を見れるか否かを……心は閉じても、眼は逸らさずに。