ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

「いったい何が始まるんです?」「宇宙戦争だ」「えっ」「えっ」

 長きに渡り、地球と宇宙で人知れず暗闘を続けてきた『鉄腕バーディー(EVOLUTION)』(ゆうきまさみ)。だが遂に宇宙人の存在が公衆に明言され、マスメディアでいかにもアレな按配の印象操作がバリバリに行われている。人心に不安を巻き起こす類のだ。

 掲載誌(ビッグコミックスピリッツ)最近連載分において、特殊な皮膜を被り人の姿を擬装していた狼っぽい宇宙人の映像が繰り返し報道され恐怖を煽る場面があるが……一皮剥けば獣の顔を出しかねないのは肉体的か内面的かというだけで人間も大して違いはあるまい。限度はあるけど。
 あとあれは無辜の人々も巻き込む魔女狩りになりかねない気がする。皮膜を剥がそうとしたら生皮だったなんてバイオレンスでグロい。作者は「廃棄物13号」とかの例があるから油断できない。


 「えー、宇宙人は、実は居ました」くらいでまからんものかな。あれはあれで襲撃事件があって騒動になっただろうが。『学園戦記 ムリョウ』の物語である意味通底しているのは、
「誰しもが、一見・第一印象では計り知れない何かしらを隠していたり、また取り繕っていたり、あるいは自覚していなかったりする」という事だ。物の本に言う「見た目が9割」は手続き上のこと。
 惚れた女の事になると完全に弄られギャグキャラと化す熱血少年(CV杉田智和)。その惚れた女が昔と今で性格が違う悲しく強い理由。普段はクールで通しているヒロインは物語が進む毎にうっかりおっちょこちょいぶりを露呈していく。血も涙も無かった筈の宇宙人兵士が人間の姿で生活していかざるを得なくなって狼狽したり、いい加減さの権化の如きアロハ男が重要な意味をもって人々を見つめていたりもする。主舞台となる天網市の昔からの住民にしても秘密を抱えている者ばかり。
 そして、異能者が多くいる中で何も特別な力を持っていない主人公は、しかし自身が(周囲も)それまで想像するべくも無い大事な働きをすることになるのだった。まさしくキーパーソン。


 地球に宇宙人が居るのが普通の日常となる、漫画『レベルE』……録ったアニメまだ見てないや……の最終話くらいが良い落とし所じゃないかなとも。『天地無用!』でもありかね。地球の安穏は一応確保されている。『ニアアンダーセブン』てのもあったか。異種異質な者との交流、しかも今まさに(武器を以って)始まろうとしているという物語の行く先は何処か。その中で宇宙人と地球人の”二心同体コンビ”は何をどうすることになるのやら、と。もう既に色々な事をやってしまってる訳だが。