ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《倒れし者の記憶/Remember the Fallen》/漫画『戦闘破壊学園ダンゲロス』第10話


―――当方に迎撃の用意あり。

 月刊ヤングマガジン掲載『戦闘破壊学園ダンゲロス』、第1巻の直ぐ続き続き続きの、更に続いて第10話である。まだ準備回……しかし『ドリフターズ』ノブノブも「始めるまでが戦」だって言ってた。そして次回こそ、激突、激突、激突。
 女性化して髪型サザエさんのバルさんに他校の彼女とか、壮絶な死亡フラグにしか思えなくて、不穏。いやさ、この連載始まって以来不穏じゃない話なんて多分なかったが。


「さて・・・・厄介なことになったな
このハルマゲドン・・・・そう易々と勝たせてはくれないらしい・・」


 先だってリンドウ・夜夢両名の遺体と共に回収された夜夢の眼球。地上最硬のそれを潰した「転校生」の存在をド正義は看破し、また番長グループの面々が両性院の【チンパイ】で女性化し奇襲をかける事を察知し計画を練り直す。情報源が何処かは不明だが、これで両勢力に情報格差はほぼ無くなり……むしろ奇襲を予見された上にパワーダウン状態の番長グループの方が正面衝突では不利やも知れぬ。


「「生徒会」幹部諸君・・・・!! 全員揃っているな?」


 ショックが大きく遺体安置室で泣いていた友釣香魚。彼女の元に届けられた眼球……其処に焼き付けられた想い出に香魚は慟哭し、また二人の死を無駄にするまいと奮起する。ところで【アイ スクリーム】は【木曜スペシャル】の転校生に両方とも握り潰されたのだが、夜夢は殺される直前に辛うじて片目を動かして何事かダイイングメッセージを行っていたような描写がある。生徒会に回収されたのはこれだったのか、それともメッセージは未だ届いていないのか? もし能力の手がかりなら直ぐ気づかれても、また転校生に消されてもおかしくない。どんな拷問を受けようと仲間や香魚の情報は吐かないと殺された彼の願いは彼女に届いた。そして、まだ何かが遺されているのではと憶測。


「万全の態勢でもって「番長グループ」を迎え入れようではないか・・!!」


―――はたして前回予告されたド正義のダンゲロス戦略とは、情報を司る魔人XXによる「転校生」への電脳戦と香魚の温存、他の面子で番長グループを迎撃という簡素なもの。されど敵も味方も爆撃しそうな兵士に、預金残高で生き死にを変えられるらしいアズライールとやら。コイツは架神が極刑される前に名前を挙げていたか。あと架神を切り刻んだ一ノ瀬……彼だけ、何やら過度に緊張しているように思う。前回の一件からしても、香魚に劣らず精神状態が良くないのは確かだろうが……?

 他方、生徒会を統括し学園を統治するド正義卓也という男の内面はどうも引っかかる。人望も求心力も確かで、夜夢の眼球を香魚に届けさせるといった気遣いもできる。それが彼女の戦線復帰を当て込んでの事としても。しかし架神を使い口舌院を爆殺、下手人切り捨て。新校則による「学園総死刑化計画」と、その校則の下で無比の力を発揮する【超高潔速攻裁判】……そのすべては「魔人のための国」を建てる為に。彼がそこまで思い切って番長グループと全面戦争に踏み切ったのには、何か理由があるのではないかと。
 ハルマゲドン以前、対立が深まる以前、両勢力は治安維持について補完関係にあった。邪賢王率いる番長グループは見かけに反し昼に弁当を一緒に食べるのを主な活動にするアットホーム加減で、世間から爪弾きにされ学園でも孤立した魔人を問題を起こす前に誘い居場所を作る……前々回のDeath子が顕著な例だろう。両性院はじめ内情を知らない一般生徒には悉く誤解されていたが、両者がバランスを取って魔人の暴発を防ぎ秩序は保たれていた。ド正義がそれに我慢できなくなった理由が。

 邪賢王ヒロシマ……今や邪賢王ちゃんと、ド正義卓也は幼馴染だった。それ故にトップシークレットであるド正義の能力を知っていた。同時に入学し学園を跳梁していた旧番長グループを引っくり返し、勢力と方針は違えど学園の平和を守ってきた。邪賢王は最後まで全面戦争に反対していたとも。
 何が、何時、どうして、何故、こうなったのか。生徒会に属したリンドウ、番長グループに入った夜夢が香魚の為に争い、命を失ってしまったように、取り返しがつかなくなってしまうのか。ましてや「転校生」の存在が、此処に至るまでの死が、謀殺への怒りが、話を容易く済まさせてはくれない―――