ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《隠匿+探求/Hide+Seek》/『極黒のブリュンヒルデ』第30話

(前回感想はこちら)
(第1〜3話の無料閲覧はこちら)

―――静かに迫る刺客

―――待ちに待った時が来たのだ!
この三週間が無為にで無かったことの証の為に……
再び岡本倫の旗を掲げる為に!
極黒のブリュンヒルデ隆盛のために!
ヤングジャンプよ! 私は帰ってきたぁっ!!


 全国の岡本倫・極黒ファンで当ブログ記事に訪問してくださる貴重な方々、しばらくぶりでございます。公式ツイッターで匂わされた『エルフェンリート』アニメのブルーレイBOX12月発売決定と共に、三週間の空白を越えてついに第30話を迎えました……っ!
 暗さも、危うさも恐ろしさも。また儚さも、厳しさも可愛らしさも。変わりなく、否、更に突き詰め進み……ああ、ここのところ木曜日って手持ち無沙汰だったんだなあ、と喜んでる自分を再発見する次第。


Side Witches

『あんた また村上とデートしたいから そんなこと言ってるんじゃないでしょうね』「はぁ?」
「誰がそんなこと考えるか 自分の命が懸かってんのやで?」

「ついでにあんたらの命もな」


「ほらあの子・・・ ずっと天文台におって息が詰まるやろ 車いす使えば今時は外出もそんな大変やないと思うんや……」
「カズミちゃん……」
「・・・ダメだ 別に遊びに行くわけじゃないんだぞ」
「せやけど・・・」
「それに・・・おれはカズミと一緒に行きたいんだ」
「えっ?」
ドッギャーーンッ!!


 軽井沢の教会がもぬけの殻の上、警察に捕まり(銃殺され)かけ危機一髪寧子達に助けられた良太。唯一残った手がかりをパスワードに試すにも端末はアンテナが付いているので、まずこれを外すよう頼まれたカズミだが……機材が不足で壊さずには無理ときた。黒服と刺客の娘はこの翌日から課長さん達を「始末」して捜索に入るので、順調に行けば到着or交戦前に確認できるかと思ったが……順調に窮地が近づいておるな。まあJCゴスが予知しないことには危険を知る事すら叶わんのだが。
 その佳奈に疑いを向けられ不機嫌面のカズミ。この二人の共通点は、仲間内で一段上の独自の情報ソースか知識量を有する事と、能力の専門性において誰も口出し出来ない事。佳奈が視たと言えば誰かが死に、カズミに突破できない技術的障害は他の誰にもどうにもできない……例え真実がどうあっても。ただ静かに寿命が迫る現状、虚偽を言う理由は薄い―――薬を諦めて残る人生を恋に邁進するとか、予知を偽ってでも恩人を危険から遠ざけたいという動機でも無ければ。あれ、両方ともありえそうだな。

 まあ根本的な部分で二人とも良い娘過ぎるほど良い娘かつ仲間想いなので、度々険悪になる佳奈に気晴らしをさせようと提案するカズミちゃん様マジツンデレ。そもそも、二人が仲間想いじゃなかったら第1章末で佳奈は融け死んでるし2章でも3章でも良太は殺されてる。要はツンデレかわかわ。だが慎重にすべきとの方針を新たにしたお父さんには通用しなかった。クラスの準モブ男子のShit! もとい嫉妬心にこれ異常なく共感()。
 そしてまるでエロゲーかハーレム系ラノベ主人公の如き言い方ミスでネコさん魔法暴発。天体観測前にカズミが良太にスケベしようや……と迫った時以来だな。拳銃の一斉射撃を完全に防いだり建物の外から床だのペンだのを壊せる精度の一方、ゆるりと醸成されている年頃の少女らしさ……いやまだ小学生半ばレベルか? 落下事故当時クロネコは6・7歳だし。
 ある意味では、良太もその傾向があるのだよな。ツンデレ妹分結花の気持ちに気づいてないし、カズミがああまで吶喊するまでその気になれないし。「寧子に気を使ってる」というのは「クロネコを気にしてる」とニアリーイコールで、実際同一人物(の筈)なのだが。あの事故以来二人の恋愛面成長は停まり、再会以来動き出したものの、意識差か男女差か。良太が父性に覚醒気味なのもあるかなー。もげれ。


Side MAD

「ふむ これはもうダメだな」
「至急 『魔法使い』たちに会っておく必要がある」
(薬切れで 死んでしまう前に)


「それで・・・あの容器に入っていた「宇宙人の受精卵」については何かわかったのか?」
「……イヤ まだ何も」
「……そうか」


「……君たちが「魔法使い」か ただの女子高生じゃないか」
『なんなのあんた? 初対面でぶしつけね まずは自分から名乗れ』

「柱谷小五郎 こいつの叔父だ 32歳独身
別にモテないから独身なわけじゃない 女が嫌いなのだよ
バカだからな」

『だったら寧子 せっかくだからこのおっさんの目の前で見せてあげれば?』


 依頼から一週間。すごく久しぶりに時間経過が明示された気がする()。当然と言えば当然ながら、鎮死剤の複製は上手くいかない模様。一ヶ月で間に合わないと改めて認識した小五郎さん、ある種の冷静冷徹さで以て生きてる内に魔女達に会っておこうと契約の履行を求める。良太よ、魔法を見せるくらいならというのは結構ヤバイぞ。話を持ち込む時点で命の危険は知らせているが、明確に魔法を使うのを見たということが魔女狩りに知られたらヤバイ。いや今回の刺客は記憶を消せる(操れる?)ようだが、そんなことは彼らは知らないし。その意味で寧子に実演を勧める辺り、佳奈が微妙に黒いかもしれん。派手さは一番、小鳥は一発芸で二番。カズミが派手にやるのは色々危険(サマーウォーズ的な意味で)、自身に至っては発動条件と即効性に難だからだろうけど。
……そう、はたして界隈で期待されてたゴスロリ毒舌天才引き篭もりの邂逅が遂になされたり。第一印象は最年少佳奈が無礼かと思わせて最年長小五郎が遥か上を行く失礼。にしても女嫌いか……()
如月とか白河とか荒川の才媛系は射程内なんだろうか。今のとこ茜さんくらい*1しか出てないが。

 彼の性的嗜好はともかく、さらりと公開さる姓は「柱谷」。叔父という事は村上の御母堂か事故死したという父君の弟にあたり、多分に母の旧姓が柱谷の線か。
 受精卵の確信についてさらりと隠したのは何故か……肉親の情に基づいて気負っている甥に負担のかかる情報を与えなかったのか。それとも……?


Side Labo

「これが最後に1107番が目撃された場所だ ここから彼女の行動を追ってもらおう いいな? 5210番」

「別に いいけど・・・」


 そして遂に*2ヴェールを脱いだ刺客5210番*3。結花に続くツインテール2号、見た目幼さに反し目元は冷たく、前回想像した記憶操作を行うことで人死にを減らす動機は期待薄となった。また爬虫人類的に変容しているキカコの如き奇形は見受けられない。前回黒服の男が「奇妙な特徴」を強調していたのは、やはり彼女の「眼」をじっと見させる為の話術誘導だった模様。あるいは一件普通と見せて、魔法を使うと額に「第三の眼」が開く可能性もあるけども。
 また推測が重ねられた魔法の子細。黒服の発言からするに、サイコメトリー的なこともできる模様。記憶操作精神操作を含めれば『サイコメトラーEIJI』より『絶対可憐チルドレン』に近い。しかしマズイな。彼女に目標である寧子の「足跡」を詳細に辿られたりした日には、こちらの布陣がモロバレになる可能性が高い。願わくは読み取れる期間やら精度に限界があるか、精査するためには多大な時間と魔力が必要であってほしいものだが、岡本倫ドSだからな……。

 さしあたって、彼女と黒服*4が寧子を探すために一般人に「事情聴取」ついでに「洗脳」を行う可能性は薄れた。必要な時はやるかもしれないが。柏木さんとか同級生が巻き込まれるとかいった事態は避けたい。黒服は躊躇無く命じそうだが。他方、もし良太と寧子達の交流をあたかも読者視点の如く知覚できるとしたら、読み込んだ情報に彼女はどう感じるかということが気になりもする。


 総じてツンデレかわかわ嫉妬かわかわ。久々に、堪能した。
 また小五郎さんの危険度更に上昇。魔女と接触し魔法を見せられた上、受精卵が本物と確信した人間の記憶が覗かれた日には抹殺か取り込みしか考えられねえ。下手すると秘匿のため刺客の娘もろとも殺す、という事態も。それはそれで味方に取り込めるかも、という反面、そんな便利能力を岡本倫ドSが使わせてくれるかどうか。受精卵の機密レベルと、彼女及び黒服が触れられる情報がどこまでなのかが問題になるかな―――と、そんなこんなで妄想をつらつら詰め込んだもの。いつもの『極黒』クオリティ感想クオリティ。来週からも楽しみ怖く、怖楽しみ。

*1:プラス今回出た研究室所属の女性。待望の眼鏡♀というか実験にあたり目を保護するゴーグル装備……

*2:三週間という期間を考えなければ初登場に次いで早々に。

*3:び、美少女……っ!

*4:そう、今回は刺客単独ではなく彼も帯同する。これまで魔女が一人なら付け入る隙があり、反乱を防ぐため複数同時投入は無く、通常部隊と連携もしない―――抜け道はつまり、良太が寧子達をサポートするように、魔女の性質を理解した人間が後方支援を行うこと。そして現状、魔女というものの理解度で良太が勝るわけもない。不利だなー。