ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

『美大受験戦記 アリエネ』第44話――《脱走魔術師/Fugitive Wizard》


(第43話の感想はこちら)

 第44話「テレフォンFPS」(10月1日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)。新章の始まりを告げるのは、目指すべき目標であり恋敵なる男性より、想い人への着信……。

 ある意味当然の事だが、作中においてはまだコンクール最終日の夜である。相変わらず時間が経過しない漫画だな!
 ともあれ芸大助教授・速水遼平から着信は有が格好つけた啖呵を妄想している間に切れてくれた。そして有は数瞬前の行動予定を忘れることなく幼馴染♂リーゼント稲葉の家にクギ刺しに向かい―――いつか話題に上った弁当屋マダム(41歳酔っ払い)と夜遊び中()に遭遇するのだった。
 事情を相談するのも束の間、再びの着信を稲葉が取ってしまう。しかし相手は葛飾直人……夢の父であり、夢本人は夜中に家を飛び出してしまっている模様。そして三度着信したのは有の番号……駅中とおぼしき夢から、「今から 会えるかな?」と呼び出し……これはアレか。甘い展開と見せかけてガックリさせる方向か。期待したりなんかしないぞ、しないんだからな!

「男にはよ・・・「引き際」ってのがあんじゃねえか?
愛してるからこそ・・・ その(ひと)の幸せを思って・・・身を引く時期がよ・・・」

 恋敵の速水遼平だと思って、マダムの前で格好つけて寅さんの台詞をパクる稲葉。実際に聞いたのが速水でも意味不明もいいとこじゃなかろうか。ただ、直人氏には何かしら琴線に触れる所があった模様。彼からすると娘の携帯に同級生♂の応援団を名乗る見知らぬ男が出た上に一方的に話して切るなんて不安要素満点じゃないかと思うのだが。
 現時点ではまだだが、夢が有のところに居る、娘を素晴らしい女性と認める男の所に居ると知り何某か考えたのか、それとも葛飾父も寅さん大好き世代だったのか。はたして彼女の行く先は、自由の在り処は。