ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《一瞬の平和/Moment's Peace》/岡本倫『極黒のブリュンヒルデ』第3巻

「おお!! すごい!! これ全部エロゲーか!?」
「ってことはこいつらみんな童貞なんか!? 結構おっさんもおるで!!
見てみぃ!! みんなレジに並んで堂々エロゲー買っとるわ!!
その度胸を女口説く方に使えばエロゲー買わんで済むのになぁ!!」


 直近の連載展開があんまりにもあんまりな引きをぶちかます一方で、嵐の前の静けさの如き穏やかな日々とエロス。そしてカズミちゃん様無双。改めて見ると凄まじい言いたい放題だ……。

 勘違いに勘違いが重なった鷹鳥小鳥の悲しい真実。千絵姉さんの遺志を胸に生きていくと決めた彼女が合流し……良太の扶養家族は4人となった。皆で食事作ったり学校の友達とカラオケに興じたり、枕元に包丁が刺さったり家庭教師バイト先でツンデレされたり、デートしたり。寿命が着実に迫りつつも平和な日々。それを続けていくために、諦めずに考え続ける主人公の男意気。そりゃあ惚れるだろう。何某か目的理由があっても二の次、いやむしろ一石二鳥だろう。

 第3章のタイトル「うち捨てられし記憶」は明らかに奈波を示しているが、この巻においては彼女は全く登場しておらず、推定2巻分以上のエピソードとなるものと。本巻は彼女が出てくるための準備段階とも言えるか。勿論、最後に寧子にいいとこ持ってかれるとはいえ、主役はカズミちゃん様だが。


「村上も食べてみーや」「やめろよ恥ずかしいだろ・・・」

「デート 楽しいか?」「は?」
「私な 私 今日 めちゃくちゃ楽しいわ
今までで一番楽しいかもしれん」
「……」
「……」パクッ*1


 公式ツィート曰く、6頁増。細々とした台詞の修正や、話と合間を調整した形跡が見られる。また26話の最中に、メイド喫茶シーン*2が丸々書き下ろし……加えて街に佇む、いかにもな謎の長コート帽子が二人。もしも長髪の方が、ちらと話題に上ったきり忘れられ気味の「行方不明になった神父」であるならば、教会跡の壁文字に引かれた血のアンダーラインが端末のパスワードである蓋然性の若干上昇……そして壊滅させられたと思しき推定抵抗勢力の残存を示唆しうる。

 今回のカバー下の「きまぐれキャラ紹介」は順当に*3カズミちゃん様。スキージャンプ選手に由来するシュリーレンツァウアー姓は本名の模様。父は関西人で母がオーストリア人のハーフという明言はほのかに彼女の「前歴」と、そこから魔法使いに改造された経過について思いを馳せずにはいれない……まあ他の娘らにしてもそうなのだが。
 例えば小鳥の料理好きは研究所に入る前からなのか、入ったのは何時頃か、家族はどうなったのか。もし研究所入り以降に料理を覚えたとすれば、誰にどのように学んだのか、とか。家族面は寧子も佳奈もカズミも同様の疑問がある。奈波の場合は、自分自身で両親の記憶を消させられたか、物心ついた頃には傍に居なかったか……下手をすると幼児期から魔女への改造を受けてる可能性もあるな。その辺の子細を当人の口から語ってもらうためには―――嗚呼、畜生ッ。

 まったくもって今週の木曜、奈波の運命や如何に、だ。3巻の感想じゃない? ごもっとも。しかし今、あの小さな女の子に未来があるや否やを超える問題などあるものかよ。*4


【第4巻】収録分頭〜第3章佳境?【単行本派ネタバレ注意】

*1:もう良太もげろという気すら起きない……何あの笑顔天使過ぎるにも程があるだろ……良太も見蕩れてまうやろ……惚れてまうやろ―――!!

*2:カズミちゃん様かわいい。異論は認めぬ。あとウェイトレスの一人がなんとなく『エルフェン』のノゾミっぽい容姿。

*3:その文脈でいくと次は当然小鳥となる筈だが、推定4巻の巻末あたりで状況がアレなので……5巻に奈波が来るならば、否、どうしたって4巻出る頃には彼女がどうなったか明らかになっている筈で、4巻に奈波が来ようと来るまいと……(混乱している)

*4:カズミ可愛いよカズミは別腹。