ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

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『美大受験戦記 アリエネ』第58話――《誘導路/Guided Passage》

(第57話の感想はこちら)

 第58話「告白シェルター」(1月28日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)。なんともアグレッシブな「誘い受け」を見た。

(もー……バカっ!! あんたのために来てあげたのが何でわかんないのよっ……
あたしが好きなら、告白すんのは「今」でしょ!!
とっととあたしに告白して、そんで「ぎゅー」とか「ちゅー」とかしたらいいじゃん!!)

「やべ・・・オレ わかった・・・ 今日は・・・帰って寝ます」キリッ

 何この娘、完全にデレッデレじゃないですか……理想の告白妄想といい、似た者同士ときてる。しかし好意は(双方向で)勘違いされているのだった。上野へ連れ出しネットカフェのカップルシート(個室)に二人きりで「絵を教える」口実を、動揺しながらも言葉通りに取るだろう有。相手が告白する用意を自前で整えた弥生は、有に彼女が居る事を知らない。かくして、有にしてみればまったくもって何だこれ、という状況は続くのだった。

 他方、金欠でバイト(デザイン事務所)に勤しむ東山。意地でも父親の援助は受けたくない彼に、先輩だか社員だかの親切で「当たれば三十万」コンペ企画が提示される。才能技巧に優れても懐事情へ厳しい、それもまた美大受験の一側面か。有に夢、弥生、また戸谷。親や実家と進路の多様な関係……群像はいかにも「戦記」という按配。