ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

「Dive into the Mirror」⇔「Alive A Life」(第49・50話)【完】

◎ 仮面ライダー龍騎 - YouTube重甲ビーファイター東映特撮 YouTube Official


 今(コメント欄で)明かされる衝撃()の真実! ブラックビートの中の人は甲斐拓也と双子の兄弟だった! な、なんだってーー!! しかも他の特撮でも共演して似たネタがアリとのこと。不勉強というか記憶が不明瞭だと、思い至って当然のところで驚かされるなと。武田鉄也と金八先生じゃないんだから。
 あと思うのは、折角映し身鏡像影だというなら、スティンガードリルにパルセイバーにビートイングラムスーパーブルービートと強化されるのに合わせてブラックビートもパワーアップイベントがあっても良くなかったかと欲張り。ブレードが効かない、とかいった以降、単独で三人を相手取りつつも乱入中ボス以上の役回りは無かったしなー……ともあれかくまれ。龍騎』配信、最終週にございます。

 まあ駄目だろうなとは思っていたがあの野郎、ダブルライダー突撃を普通に跳んで避けやがった……しかして真実に気づいた優衣の悲鳴に動揺したか、龍騎に拘束されて飛翔斬に爆発四散。でも本人じゃないないから無事ってずっこいにも程があるよなと。ただある意味、オーディンに勝つことはそんなに重要ではないのだとも、思わなくもない。
 優衣が消えても終わりではなく、はたして最後の期日……街中にモンスターが大氾濫。生身で子供を庇って致命傷を負った真司がそのまま変身して戦い、ダブルサバイヴが敵を一掃して……蓮に看取られ力尽きる……こんな展開があるものなんだな、と大雑把に聞き知りつつも漸く直面するに至り、なんとも言えず。


(あの日……苦しくて……寒くて……そして……)
“優衣!? 優衣ーーっ! 駄目だよ! いっちゃ駄目だ! 俺を一人にしないで!!”
(そうだ……私……あの時……)

「あたし……死んじゃってたんだ……本当の、あたしは」
“わたしがそっちへ行っていい? お兄ちゃんと一緒に居ていい?”

“でも大人になったら消えちゃうよ。二十回目の誕生日に消えちゃうよ。それでもいい?”
“―――いい。俺を一人にしないで……俺が絶対、守る……”

「お前は、ミラーワールドの人間だっていうのか」
『そうだ。俺と優衣が創り出した鏡像だ』「お兄ちゃん……」
『だがそれが何だ。お前はお前だ。こうして生きている』
「違うっ! あたし、本当は、最初から居ない……」

『優衣! お前は存在している。意識を持て! 大丈夫だ、俺が必ず助ける!
……この戦いの最後に得る“新しい命”をお前にやる!』
「もぉいいよぉっ!! お兄ちゃん! ……これでいいんだよぉ……そうでしょう……?」

「ねぇお兄ちゃん……もし、もしもう一度絵が描けたら……モンスターなんかが居る世界じゃなくて、二人だけの世界じゃなくて……みんなが、幸せに笑っていられる……お兄ちゃんと、一緒に……」

『まだだ……っ! まだ二日ある! 優衣は助かる! ……決着をつけよう。最後の一人になるまで……戦え!』
「神崎、お前……兄貴のくせに優衣ちゃんの気持ちわかんないのかよ……優衣ちゃんはなぁ! お前の為に戦いを止めたいって言ってたんだぞ! お前が幸せそうじゃないからって!」

「優衣ちゃんはもう……こんな戦い望んでないんだよ!」
『……戦え……』「神崎!」『戦えっ!!』

「まだ……戦いは有効ってわけだ」

「ねえ……あなたが……“仮面ライダー”なの?」

「ミラーワールドにモンスター、そして神崎士郎……まあ大枠は掴めてる。だがどーしても“仮面ライダー”ってのが何かわからなかった……お前がそうなんだな、真司」

「俺さぁ……本気で辞めようと思ってるんだよね。ライダー」「先生」
「別に病気のせいじゃないよ。なんか疲れたっていうか、虚しいっていうか……それにほら、“永遠の命”が無くても、結構面白おかしく暮らしてるじゃない俺? ……だからさ、どう思う吾郎ちゃん?」
「……俺は……先生が満足して、毎日送れるなら、それが一番いいと思ってますから」
「……満足してるよ。吾郎ちゃんのおかげで」「ありがとうございます」

「よし決めた。ライダー引退記念に、令子さんを食事にでも誘いますか」

「ちょっと手に力、入らなくて……」「退院した、ばかりですから……熱い紅茶でも淹れます」
「―――けっこう保ったよなぁ……」

「……そっ、か……お前そんな事ずっとやってたのか……」

「上等だよ。いいんだよ答えなんか出せなくて。考えてきたんだろ今まで? お前のその出来の悪い頭で必死によ……それだけで十分なんじゃねぇか? 俺はそう思うぜ」

「ただしだ。何が正しいのか選べないのはいいが、その選択肢に自分の事もちゃんと入れとけよ……お前が信じるもんだよ。お前だってここんとこにしっかり芯がねぇと、話し合いにもなんねぇし誰もお前の言うことなんか聞いてくんねーだろ。な」
「俺の、信じるもの……」

「本当なんですか。北岡さんが……」「令子さんには言わないでね、ね」
(じゃあ、北岡さんがライダーになった理由って、自分が生きるために……北岡さんは戦ってたんだ。それだって、絶対間違ってるとは言えない)
“お前はそうやって、なんでも飲み込もうとするから迷うんだ”

【浅倉の潜伏先が判明。突入は明朝。抵抗著しい場合、射殺やむなし】

「大丈夫? 君一人なの。お父さんは、お母さんは?」

「早く逃げろ! 逃げて……はやくっ!」

「どうかしたのか!? おい! 城戸!」
「……別に……ちょっと、張り切りすぎた……」

「―――やっとちょっとは“答え”らしいもんが……見つかったかもしんない……でも……なんかおれ……ダメかもしんな、」

「おれさ……昨日からずっと、考えてて……それでも、わかんなくて……でも、さっき思った……やっぱり……ミラーワールドなんか閉じたい……戦いを、止めたいって……」

「きっと……すげー辛い思いしたり……させたりすると思うけど……それでも、止めたい……それが正しいかどうかじゃなくて……俺もライダーの一人として、“叶えたい願い”が……それなんだ」
「……あ゛あ゛。だったら生きてその願いを叶えろ! 死んだら、終わりだぞ……!」
「そうなんだよな……蓮……お前はなるべく、生きろ……」
「お前こそ生きろ! 城戸……死ぬな……死ぬなぁっ!!」
「……お前が、俺に、そんな風に言ってくれるなんてな―――やっと……」

「先生。今日の令子さんのデートは、どっちの」「吾郎ちゃん」
「……俺……やっぱり浅倉とはちゃんと決着つけてやんなきゃいけないと思うのよ」
「でも先生、体が」「勝ち負けの問題じゃないよ」
「ヤツがライダーになったことには、多少なりとも責任があるわけだし……デッキ……出してくれる?」
「……先生、やっぱり無理じゃないですか」
「行かせてよ吾郎ちゃん。このままじゃ俺、何か一つ染みを残していく感じで、嫌なんだよね」

「……それにしても……今日は天気が悪いね……吾郎ちゃんの顔が、見えないよ」

『時間が無い。オーディンと決着をつけさせてやる。最後の、仮面ライダーとして』
「最後の、ライダー」

(城戸。お前が最後に信じるものを見つけたように……俺にも信じるものはある。ライダーの一人として)

「……ハハハハッ、会いたかったぜぇ……北岡ぁ……」

オーディンてのは大量生産らしいな」『実体の無い俺の代わりだ』
「なるほどな、ただの操り人形というわけだ」『それでもお前にオーディンを倒すのは不可能だろう』

『そうだ、戦え……もうすぐだ……もうすぐお前に、新しい命を与える事ができる』

「優衣……あんた何処いっちゃったのよ……でも、こうなることちょっとわかってたっていうかさ、士郎がアメリカ連れて行かれるとき、そりゃあ暴れてね……」
“俺は優衣の傍に居なきゃいけないんだ! 優衣は俺が守る! 俺が居ないと、二十回目の誕生日で消えちゃうんだ! 優衣、優衣ーーッ!”
「何故か信じられたんだよ……ゆーい……」

「……北岡ぁ……北岡っ! ―――お前……?」
「せんせぇ……僕は……美味いもん買って帰ります……」

「何故だ……何故だ……何故だぁ……っ」

『お前は、きっと拒む……拒み続ける――ー“また”駄目なのか優衣!? “また”……!』

『……最後のライダーは……オマエだ……』

「これが……“新しい命”……」

【―――以上が、原因不明の失踪事件の真相であり、“仮面ライダー”と名乗る人間達の、戦いの真実である。この戦いに、正義は、無い。其処にあるのは、純粋な願いだけである。その是非を問える者は、】

「―――蓮……そんな所で寝てると……風邪ひいちゃうよ……」

『優衣』『お兄ちゃん……また繰り返すの? 最初から』
『お前に……命を与えるために……』『もう、終わりにしよう……?』
『お前を、失いたくない……』“俺を一人にしないで……”
『私は此処に居るよ。お兄ちゃんの傍に居るよ。新しい命なんか無くても……絵を描いてた時みたいに、ただ願えば……』

“お兄ちゃん”“優衣”


「……いや、あの、申し訳ありませんねぇその記事ね。ウチのバカ真司が書いたものなんですよ」

「―――おはよぉーっす! 城戸真司、ただいま出社しました!」

「まったくもうアイツは朝からボケやがって……アイツと話すとなんか疲れんだよな……」

「スーパー弁護士ですから」

「あ、ごめんね。大丈夫だよね?」

「あんた、今日の運勢は最悪だな。俺の占いは当たる」

「……邪魔だ……イライラさせるな」

「―――どけ」「どけって、アンタこそ」「……」「……」


……「そして誰もいなくなった」、ことさえ無かったことになった。真司死に、北岡と吾郎ちゃん逝き、浅倉散り、真実最後のライダーとなった蓮がオーディンと対峙し―――はたして、誰の願いが叶ったのか。他にも類例はあろうが、『神無月の巫女』ラストなぞを想起。戦いにより喪われたものの、戦いの中で培われたものも、全ては無かった事に……いや、ほんの少しだけ何かが残ったかもしれない。それで戦いに何の意味があったと言えるのか。繰り返しの環に囚われていたあの兄妹に、誰かが願った世界を実現せしめたことか? 全ては、結果としてその為に帰する。

 【この戦いに、正義は無い。あるのは、純粋な願いだけである】。他の平成ライダー各作をまともに視てない経験上、言い切れない部分もあるが……そう、「変身ヒーロー」でありながら彼らは「正義の味方」ではなかった。ここまでの各話において、だいたいモンスターをファイナルベントで倒す事で締めとするテンプレを構築しつつも、根本的にこの物語は敵(あるいは悪)を必殺技で倒して解決する代物ではなかった。だからナイトはオーディンに「勝つ」必要は無かった……スーパーヒーロータイムの特撮でいながら、今尚それは特異であるように感じる。異論は認める。

 戦わなければ生き残れない。それは真であったが、戦うのみに生きるに非ず、戦う者だけの世界に非ず。ゆっくりと真相に近づいてったOREジャーナルの人々。北岡は戦わなくても満たされてゆき、逆に浅倉は戦うことでしか満たされず。佐野は戦わずして願いが叶い、東條は戦いと関係なく本懐を遂げ……「戦いに賭けるしか無い人間がライダーになる」という一面の真実があくまで一面でしかなかった証が、幾つも。
 戦いとは何か。子供向け特撮なれば、見せ場アクション戦闘シーンは必須。形質性質多種多様なライダー達の生き残りと願いをかけた交錯。ある意味それは表層。それなくしてありえず、しかし内実深奥は別のところにあっ、た? 何が大切で、何を信じて、何の為に……自分の手で、また誰かと共に、何を成すかということについて。曖昧で大雑把に、徒然と、ゆっくりと。