ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

『美大受験戦記 アリエネ』第78話――《夢のよじれ/Dream Twist》

「え・・・あ・・・まっ・・・待って・・・夢っ!!」「……」

(第77話の感想はこちら)

 第78話「アトリエで君と出会ったために生じた夢から目覚める一瞬前」(7月8日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)。―――サブタイ長いよ! そして修羅場にもならず難儀な事。せめて「問い詰め」くらい……?

「青木先生が大阪に飛ばされたのって……アトリエでやってた(・・・・)カップルを放置してたかららしいじゃん……
で……そのカップルってのが・・・歌川有と………月岡弥生だったんだってさ・・・」

「何も隠してないの?」「隠すようなことは何も・・・」「筆は?」
「え?」「月岡って書いてある面相筆は?」
「それは……月岡さんじゃなくて……つっ・・・月岡さんのお父さんに・・・」「………………」
「会ってたの? あたしが帰った後の……夜中のアトリエでも・・・弥生ちゃんと会ってたの?」
「あ……そ・・・それは…」「もう・・・いい・・・わかった・・・」
「………………大丈夫………あたしだって・・・速水先生のこと……話してなかったもんね・・」

 問題はおよそ、「事実」と「噂」と「真実」の中から何をどう受け取るかなんじゃあないかなと思わなくもなく。あるいはコミュニケーション不足、情報開陳不足。デッサンで忙しい時期だから心配させまい、とか結果的に悪い方に転がってしまった。さあどう収まるやら収まらぬやら。弥生さんも一瞬で蚊帳の外で、不憫なのはいつもの事とはいえ。

「有・・・「受験」ってなんだと思う? 本当に……才能のあるヤツなら学歴なんか・・・いらないじゃん・・・
そういうヤツって・・・高卒とか中卒だったとしても……逆にそれを自慢気に話したりしてるだろ?
「強いヤツ」には……いらないんだよ・・・大学なんて・・・ 受験とかするヤツってさ……結局「弱いヤツ」なんだよな・・・
だけど それしか道がないヤツがさ 受験(たたかい)もしないで逃げたら・・・逆転(・・)なんかできねぇじゃん・・・」

「小磯・・・行こう」「おう・・・」

 そして水菜の連絡受け、振り切れた小磯に引っ張られ、停滞状態から再起しようとした傍から喜多川ボス猿のお待ちかねである。確かに弱者ではないかもしれない。しかし弱者を嬲るのが好きなだけの輩を強者とは呼びたくないな……それだけの嫌な男でいてくれるなよ。『非属の才能』を曲解して凝縮したみたいに見えたり、作者がそういう人物を登場させた事にも妙な感慨。