ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《最前線の策士/Frontline Strategist》/『極黒のブリュンヒルデ』第65話

(前回感想はこちら)
(第1〜3話の無料閲覧はこちら)


  せ し 時


前回の粗筋

              /`く´  ̄ `> 、
              / /   ヽ _  /    ヽ
            / ,、  , ヽ ー┴ ス  ヽ-  、
         / V ヽ / / ヽ  / / ヽ ヽ\、ヽ
           / 冫/ヽ. Y   |  | |  l_, ..l _ ヽヽ\
        l  l lハ l l    l _ l l  lハヽ `ヽ! lヽヽ
        /{  l l  l l l _,. _'´ l´ヽヽニイ トトヽ   l ! ヽヽ
      / /ィスォj_!、_j j-ィテ∠ イ  }  j l llハヽ./ /  ! l          それも私だ
.     / イ/ lーt、ヽ /´ ̄ィjァ'´!  ト、,.イ ヽl ll | / /, ‐ ニヽ
     i i { ! ト `ヽ ′/, ̄‐ ´/  l lヽヽ ヽ////  `
     | ! l l ハヽ. l /    / _/ -_ ニ フ /ト、j ハ
     lヘヽヽj_ i ! V   i´  /- ' r‐', - ´ --ヽ | , イ7
      ハ l ! ll ハ l    lヽ | , -| / /イ ̄ /  _l_
,. - ― フ l ! | |' ト、l  /j ヽ く l j | j/ ノ / , - ´
     l  ハー' |  ヽゝ'ィ/  Yl / ! レ'l / /
     l  ! l  ト、 |ヽ} !   / // !  !/ /   _  --
、ー 、  l  ! l  ! ヽ. トーl   / // l  l' /  / ̄,. -‐   ̄

会議で道化は踊らない

「お言葉ですが・・・私を殺しても ヴァルキュリアは戻ってきませんよ」「なんだと?」
ヴァルキュリアを回収できるのは私だけです 既に作戦計画書を作成済みです」
「作戦? まさか回収の為にもう一座Sクラスを出すなどと言うのではないだろうな?」

「私が直接 彼女を説得に行きます」「・・・バカな!! そんな物は作戦でも何でも無い」
ヴァルキュリアの気性は お前もよく知っているはずだ まして今までにお前が彼女にしたことを思えば
会った瞬間確実に殺される お前の説得になど応じるものか」

「勝算はあります 例え自分の命と引き替えにでも・・・ヴァルキュリアと1107番を捕縛します
私への処分はその後でもかまわないのではないですか?」
「……」
「私も同じ事は何度も言いたくない これが本当の最後だ いいな」

「もちろんです」

―――お前ら、それでいいのか? と思わざるを得ない。高千穂の歴々があの場で処罰を決めない/実行しない事にも、イチジク所長の提案をあっさり受け容れてしまった事にも。対して明らかな故意でヴァルキュリア解放し、許容限界に達し物理的に首が飛ぶ寸前に至って彼は、どういう手を用意していたか……手駒の魔女部隊を控えさせていたわけでも、その場で殺されても平気(己の死すら計画の内)だったりはせず、まさかの「直接説得」。まったく予想外にも程がある……想定の斜め上を往くという意味では実に「らしい」話ではあるけども。
 反面高千穂メンバー及び首魁と思しき丸眼鏡は……ヴィンガルフの彼是ザルさ加減(所長が狙ってした事かもしれないが)をどんどん笑えなくなっていくね……一見して黒幕の位置で、実際未だほぼ正体不明であるにも関わらず、会議シーンを重ねる毎に「恐ろしく思えなくなってきた」。これが読者の油断を誘うミスリードなら大したものだが……彼らは彼らで役割を果たしているようには見受けられず、描写は直属の所長に命令するばかり。古代宇宙人の末裔だか、中の人にナニカサレタ遺跡発見者達の成れの果てだか知らないが、組織設立の上での功もあるだろうけど……今現在においては其処に胡坐をかいているヒト?達にしか思えない偏見。さあ、出来るものならこの幻想をぶち壊してみせてくれ。


「綺麗な夜空」

「カズミ・・・こんな所へどうしたんだ?」
「ちょっと行きたい所があんねや ちょっと付き合ってくれるか」

「おい・・・一体どこ行くんだ」グッ
「私はもう・・・決めたんや」ドキドキドキ
「………何をだよ………」

「おおっ・・・」「はぁ〜〜…………キレイな夜景やないか・・・」「ああ・・・」
「村上はこの公園来たことないんか?」
「いや 幼稚園の遠足の時*1から何度も来てるけど 夜は初めてきた こんなに夜景がキレイなんだな・・・
ネットで調べたのか?」*2
「やっ・・・やかましわ!!」

「なんでこんなとこに?」「えっ?」
「…………なんでて言われても・・・ そりゃ初めてのキスは・・・ロマンチックなとこでしたいやないか・・・」

「声が小さくて聞こえないよ もう一回言ってくれ」「………」
「言えるかボケ!! 村上が鈍感なことは今まで思い知っとるはずやのに・・・」

「キスするぞ・・・キスするぞ・・・キスするぞ・・・」*3ドキッ

「………」カーーッ「どうした?」ドキドキドキ「  別に 何でもない」
「もう気がすんだわ 天文台に帰る さ 行こか」

「はぁ・・・やぱりあかん・・・結局いつも大事なところで怖なってまう・・・
何が夜這いや・・・既成事実や・・・結局キスさえ出来んやないか・・・
だったら最初からこんな夜景じゃなくてラブホでも連れ込めばよかった・・・」
「カズミ」
「まだ来たばかりじゃないか もう少し一緒に夜景を見よう せっかく星も綺麗だし星座を教えてやる こっちに来て座れよ」*4「え・・・」

「・・・せやな なんや村上 私が帰るっちゅうたら寂しくなったんか?」
「いや別にそういうわけじゃ・・・」ガッ
「あっ!!」
「危ない!!」

:::::::::::::/:::::::::::::/:::::::/    :.:.:.:.:.:.:::::::::::::.:.:.く    :.:.:.:.:.::::::::::::.:.:.:.:.:.:
.:::::::::/:::::::::::::/:::::::/               ヽ、    :.:.:.:.:::::::::::::::::::: 
:::::::/:::::::::::::/:::::::/                    ノ`
.::::/::::::::::::;:':::::::;'               (
:::::::::::::::;:':::::::::;'                     ヽ、         
.:::::::::::/ {:::::::::{              、_   ノ
.:::::::::/::::i:::::::::i   ヽ            `  イ
.::::::::::::::::';:::::::';   \              ヽ
::::::::::::::::::::';:::::::';    \           <:l
::::::::::::::::::::::';::::ト; '.、    ヽ       .イi::|::::::l
::::::::::::::::::::::::ヾj ヾ;:';    /::>.---.<:::::::| |:::/.ヽ、______  ,,

ゴロゴロ ドサッ

「いてて・・・大丈夫か?」
「村上・・・ちゃうんや・・・わざとちゃうんや・・・」「わ・・・わかってるよ・・・」

「キス・・・してもうた・・・村上と・・・ 初めてのキスは・・・鉄の味・・・」ポタポタ

「うわぁ! カズミ!!」「えっ?」
「口が切れてる!! 血が!! 血が!!」「え・・・ちょっ!?」


「はぁ〜・・・今日は大変な一日だった・・・ 小五郎が言ってた鎮死剤を効果の面から調べるって話・・・
上手く行けばあいつらを不安がらせずに済むんだけど・・・」

「………今まで一度もキスなんてしたことなかったのに・・・
今日1日で2人の女の子とキスしてしまった・・・
………黒羽が知ったら・・・どう思うかな・・・」

「どうしたんですか? それ」
「大人の階段を1段上ったが故に負った 名誉の傷や」『何言ってんのあんた?』
「まぁロマンチックではなかったけど・・・結果オーライや 初菜 あんたには負けへんで」
「え? 一体何がよ」「………」

……思うにさ、「各魔女の良太への好感度」と「良太の各魔女への好感度」ないし「好意の種類」って絶妙に喰い違ってるよねという話。その辺を考えてると、カズミ単独のアタックチャンスだったのに微妙に喜び切れない難儀な事。第6巻収録分でボーナスタイムは終わったというのか、そんな馬鹿な……。

  • 【寧→良】無自覚嫉妬⇒恋愛感情自覚未満/【良→寧】クロネコとの混同を割り切れてないものの、実際特別大事に
  • 【佳→良】≒【良→佳】寧子を一番大切にしつつ互いを慮り、事あらばまず相談する信頼関係
  • 【カ→良】好感度はほぼカンスト。こっこほしい/【良→カ】地道が実り、普通に異性としてドキドキする(時もある)
  • 【小→良】普通に懐き、普通に信頼/【良→小】ある意味一番手のかかる「娘」、の反面おっぱいおっぱい
  • 【初→良】男気に速攻で撃墜/【良→初】タラシに自覚が無い為に向けられた好意に困惑


 また思うに、カズミが初菜に対して負けん気を強めている理由って……単純に後発から抜け駆けられた事だけでなく、性格が微妙に合わない(もしくはペース主導権が取られがち故の苦手意識)からでもなく、初菜の行動がある意味では第2巻で合流して以降のカズミのそれに近しい*5がためではないかと、不意に。彼女の夢・目標が当初からそうであったのなら、境遇上他に選択肢もなく迫り続けるも、次第に本心から惹かれていった……もしかしなくても、良太を好きになればなるほどにカズミのアプローチからアグレッシブさは減少していったきらいがある。
 そして減った分を受け継ぐが如き行動を取っているのが初菜であり、迫る理由動機はにわかに立ち昇った好意に基づき……そこら辺の違いをカズミが僅かでも意識すればこそ、今は同じ理由で動いているからこそ、負けられない負けたくない、と―――だがしかし、その努力が正しく伝わっているかと言えばね。ああ、つくづく村上良太の罪作り。極めて出来の良い頭脳で状況判断と行動力と甲斐性と男気を備え、彼女らが惚れるに充分以上の働き献身。それでいて向けられた想いへの鈍感……無意識フィルターの域で。乙女の唇を何と心得るあんちくしょうめ。MOGEなくていいから、お前もういい加減に「男になれ」というのだ。


核心と核心

「ふぅ〜 おはようございます」

「今日も素敵な景色を独り占め
私の憩いのこのひと時・・・邪魔する奴は皆殺しなんだから
とりあえず鎮死剤は確保したし・・・せっかく自由になったんだから 何して遊ぼうかな」
ザッ

「よくもやってくれたな ヴァルキュリア・・・ いや・・・藤崎真子」
「………あなた・・・」

  1. 本当に口車だけで真子を説得する勝算がある
  2. 計画の一環として真子に殺されるつもりでいる
  3. 単独行動かと思わせ、やっぱり伏兵を用意してある
  4. 研究成果によりWizard/Warlock的魔法戦技能を獲得済み


 さあどーれだ。ただ微妙に解せないのは、「よくもやってくれたな」という言い方+表情か。此処まで来るとてっきりはっきりと彼は自分の計画通りに事が運んでいると思ったのに、ヴァルキュリアの野放図な行動には若干の想定が含まれていたが為に苛立ちが滲んだ……それとも「よくぞ」計画通りに暴れ回ってくれたって……噛んだ? 噛んだの? 七実姉さん(刀語)なの? もしくは本心がそうだとしても、どこかで見届け人が監視しているからそういう言い方になったとか。

 ここ2週ほど、色々と予想を覆されつつ新情報もありつつ、何をどう想像したものやらと迷走中。次回こそは本当の本当に「終わりの始まり」、になるのだろうか。エルフェンリートマリコ編のように、という先入観予断はきっと思い掛けない形で裏切られ、しかしこの妙な期待には応えてくれるものと勝手に信じる次第。

*1:これまでも幾つか傍証あったが更に追加。つまり多分に村上良太は幼少期以降引越しを経験せず、同じ所に住み続けているということ。となると、この公園についてもクロネコと一緒に来た事があったかもしれない……のだが、第1話の時点で「渾名と顔とホクロくらいしか思い出せない」という不可思議。事故の経緯と、天体観測から繋がる海を楽しみにしてた姿くらいは思い出せてたが……相沢祐一じみた「事故による記憶封印」だかライトワンス付与に前後する記憶操作だか。辻褄が合うや合わぬやと。

*2:無駄に操網魔法の全力でもってデートスポットを探した結果だとしたら微笑ましいと思えばよいのか生温かい目で見ればよいのか。

*3:そして振り向いた所にドアップ。ユカ・ノノの造形を受け継ぎ、控えめに言って美少女と呼んで差し支えない筈の魔女達より美形(好感度によるトキメキ補正有)かもしれないイケメン銀河美少年。

*4:これが無自覚だというのだから恐ろしい男である。あるいは自覚してないからこそかもしれない。それはそれで難物。

*5:初の温泉混浴で胸のみならず【観音様】まで見られたり、良太が危険な場所に前夜にガチ色仕掛けたり、ことによると初菜より過激だったとも言える。今の彼女ではそこまで行けるか定かではないが。