ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《憤怒を投げる者/Rage Thrower》/漫画『戦闘破壊学園ダンゲロス』第20話

血 塗 ら れ た 反 撃  嚆 矢

 月刊ヤングマガジン掲載『戦闘破壊学園ダンゲロス』。第3巻からの直行の次。第2巻末(11話)より火蓋が切られながらも彼方此方の視点や外伝・回想を挟みつつ、「渡り廊下攻防戦」がようやく決着。「魔人同士の戦いは一撃必殺」という言葉に偽り無く、更に集団戦ともなれば……型に嵌り罠に嵌めれば逃れ難く致命的な一方、要素ひとつ紙一重の差で勝敗生死が分かたれる。副番長白金に一度は倒された範馬が復活したことや、事前に口舌院言葉が亡き者にされてしまったことなどは、特に。両勢力が策を巡らして必勝を期すことも、圧倒的単体戦闘力を誇る「転校生」達さえリスクを抑えて介入機会を窺っていることも、実にむべなるかな。

 本来なら邪賢王部隊の迎撃にあたるはずだった一刀両(いとり)嬢が【木曜スペシャルアブダクションされてしまった為に素通り、一度死んだ範馬を蘇らせ間接的に白金を葬ったアズライールがゴミ扱い轢殺される無情(気にも留められないという意味で)感。そして範馬に一方的に殲滅されていた白金部隊を挟撃救援。しかし範馬慎太郎、ゲイて……「鍛え抜かれた胸襟に勃起」て……さすがダンゲロス。男も女も変態しかいねぇ!(今更)


(なんだ・・? 東渡り廊下の方から・・・・!? 敵・・!? まさか・・!!
一刀両(いとり)嬢が殺られた・・!? そんな馬鹿な・・・・!! 死んでない・・!! ならばなぜ・・・・!?
一時的に行動不能にされた・・・・!? いや それでも彼女に止めを刺さぬ理由がない・・・・!
まさか 一刀両嬢が「番長グループ」に通じていた・・・・!?
いやいや それなら真っ先にこちらに情報が渡るはず・・・・!!
では なぜ 敵が!?)ガッ「あ ちょ 待ッ・・・」ブチッ

「邪賢王ちゃん 今なんか踏みましたぜ!!」
「放っとけ! どうせゴミか何かじゃろうが!! 今は何よりも・・・白金たちを助けに行くのが先決じゃ!!」

「はっはっはっ 弱い! 弱いぞ「番長グループ」
このまま何もできずにしんでいくかぁ――――――ッ!?
少しは意地をッ 見せてみろォォォ」

「おどれら無事か―――ッ 加勢に来たぞぉ―――ッ」
(馬鹿な・・!! なぜ反対側から邪賢王(てき)が・・・!?
くそったれ一刀両め!! しくじりやがったか!! これだから・・!! “女”は 信用ならん!!)

範馬ァァッ」 「邪賢王ッ ちんまい姿になりおってぇ」
(「生徒会」と「番長グループ」・・憎むべき敵同士ではあったが
一人の“男”としてッ オレは貴様の岩のように巨大な肉体には一目置いていた・・・・!!
ありなしで言えば 「大あり」だった!!
そんな素晴らしい肉体を貴様ッ・・ 自ら捨てるとはあああッ)
「万ッ 死ッ!!!」

(くっ・・・・! 手応えあったが“女”の体では拳が軽い・・・・!!)
「かはッ おッ・・“女”の分際でええええ!! 調ォオオオオ子にィィッ 乗るなッ!!」

(馬鹿な・・! オレのハンマーが 相殺された・・・・!! あんなちんまい“女”に・・!!)
「邪賢王ちゃん!! 見ろッ 邪賢王ちゃんが来てくれた!! 皆ッ勝機が見えたぞッ 臆さず進めェ!!」
(さっきまで死に体だった連中が・・・・! 邪賢王の加勢で戦意を取り戻したか!!)
「オレたちも 邪賢王ちゃんに続くぞッ 突っ込めェェェ―――ッ!!」
(くそったれ 反対側からも挟み撃ち・・・・!! どちらを先に討つべきだ・・・・!?
決まってる!! 邪賢王を討って敵の志気を削ぐ!!)
「邪賢 王ォオッ オ・・ッ」

「なッ 消えッ・・!? どこだ・・!? 邪賢王・・!!
馬鹿なッ どこだ!? どこに消えた!!」

範馬ァアアア!!」(ちィッ!! やむを得ん!! 服部・・・・貴様に・・ッ食らわせてやるッ!!)ズッ
(なッ・・!? 血ッ!? 邪賢王の・・!? ここまで飛び散って・・!? しまった・・!
まさか・・こんなこと(ミス)で・・!!)

「死ねッ・・ 範馬・・ッ 白金さんのッ 仇ッ・・!!」

(白金・・・・そうか おどれも・・逝ってしもうたんじゃな・・・・)
「長い間 副番の任・・ ごくろうじゃた・・・・ ゆっくり・・・・休め・・・・」


「・・ようやく ここまで来たのう・・・・ この廊下の先が「生徒会室」じゃ……」
「じゃ・・ 邪賢者王ちゃん やっぱりここは正攻法で押し入りましょうや・・・・
夜夢との約束もあるし・・・・ このままアレを使ったら 友釣もろとも殺しちまいますぜ・・・・」

「・・・・いや・・決行する・・! わしらは既に白金と虹羽 主戦力を二人も失っとるが・・・
「生徒会」はまだ一刀両 エース ツミレを温存しとるはずじゃ・・・・
今 正面から戦って勝ったとしても ほとんどが死ぬじゃろう・・そうなっては次の“転校生”戦を戦えん・・・・!
友釣を連れて帰れば“転校生”戦が有利になるかもしれんが・・・・夜夢がおらん今 確実に仲間に引き込める保証もない・・・・じゃけぇ・・・・」

「あげは 駒沢 頼む・・!」
「・・・・はい ついにあげはたちの出番ですね・・」

「みなさん お別れです・・ これまで本当にありがとうございました・・
この四ヶ月間 みなさんと一緒にいられて あげはは本当に幸せでした・・!」


―――訂正。ダンゲロスの魔人には変態と問題児しかいない。でも情はある。あり過ぎて困るくらいだ。

 もしかしたら劇中初めてかもしれないガチンコ格闘戦……しかしてそれのみにて勝とうなどという「余裕」は何処にも無い。仲間の力を合わせ範馬を再び葬るに至り、17人もの戦死者を満足に悼む間もなく進撃する番長グループはついに「第2の切り札」……あげは嬢の【メルヘン・メン=ヘル】をもって生徒会とのハルマゲドンに終止符を打たんとす。
 過去、邪賢王さんにアプローチしていた怨み崎Death子が番長グループを抜ける切欠となった彼女。惚れた男に捨てられたと思うだけで相手を自殺に追い遣ってしまうDeath子以上に危険な能力を持つとされ、番長グループを全滅させかねないという反対の声を邪賢王は彼の志ゆえにゴリ押しで加入させた娘。加えて彼女の傍に経ち続けた【I.Z.K.】駒沢。
 魔人であるが故に、またその能力故に孤立している者に居場所を与える。その意志により受け容れられ、しかし今、言葉面からすれば明らかに己の命を犠牲にする能力発動を仲間に、仲間の為に強いなければならない苦渋。

 その詳細は次号(「禁断のパンセ」ばかりが印象に残る『サイレントメビウス』が唐突に再始動)を待つとして……あげは嬢の犠牲をもってしても本当に勝ち切れるかは疑問が残る。能力の強度云々ではなく、生徒会や「転校生」らがそれを許すかどうかという意味で。前者には「内通者」から彼女の能力情報が行ってて対策が用意されてておかしくないし、後者は今現在も鏡子から奪った遠隔視能力で監視しており何時でも介入可能―――ただ、前回アブダクションされた一刀両嬢が速攻で殺されておらず、生徒会最強剣士と【福本剣】の力を存分に発揮して抗戦していたりした場合はわからないが……それでも「転校生」3人相手は厳しかろう。これらの障害が生徒会全滅を看過してくれるとは思えぬが為に、あな切なさ刹那さ。