ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《エヴィンカーの正義/Evincar's Justice》/漫画『戦闘破壊学園ダンゲロス』第23話

どうしておばあちゃんはびっちなのにおじいちゃんとだけけっこんしたの?
それはね おじいちゃんがとっても強くて とっても優しい人だったからだよ

 月刊ヤングマガジン掲載『戦闘破壊学園ダンゲロス』。第4巻からの直行の次。先月「どうも次回程度でド正義会長の存念理由が詳らかになってくれる気がせず」などと書いたが、そんなこともなかった。半分くらいは。しっかし(平行世界における)鏡子の旦那って、これはもうどう考えても……? となると「あの日」の「先手」は、その因果は……最早詮無いことではあるが。


「両性院男女くん・・・・ 私の【災玉】を無効化した「性別転換能力者」・・・・
まるで【災玉】にあつらえたような 敵にも味方にもなりうる彼の能力(チンパイ)・・・・!」

「リンドウくんと夜夢くんの仇を討つなら・・ 私は両性院くん(かれ)に・・・・会っておかなくちゃいけない気がする!」


「キミには 鏡子の行方について洗いざらいしゃべってもらう もし素直に言わなければ・・・・この男と 同じ目に遭ってもらうことになるぞ」
「ッ〜〜〜ッ なッ・・!! じゃッ・・・邪賢王ちゃん!!」
「他の者が全員失血死した中で・・ 一人だけしぶとく生き残っていたのだ さすがは不死身の邪賢王・・・・いや単に血の気が多いだけか・・・・」
「全員・・・・失血死って・・ 他の皆は・・・・!? まさか・・!?」
ヒュッ ズドッ「なッ・・!?」「ぐはっ・・・ がっあ」
「こいつは我が同胞たる「生徒会」役員一名を何処かへ消し去った 先ほどから彼女の行方を尋ねているが一向に口を割らんのだ ならばどんな手を使ってでも吐かせるしかなかろう」

「邪賢王 一刀両(いとり)くんをどこに隠した?」
「・・・・じゃから・・ 知らんと・・ 言うとろう・・・・が・・・・」ドカッ「まだそんなことを言うか!!」
「や・・やめてください!! 邪賢王さんはあなたの昔の友達なんでしょ!?」

「それがどうした!!! 僕は生徒会長であり 「生徒会」全員の安全に責を負っているのだ!!!」

「さあ吐け!! 一刀両くんはどこだ!? もはや意地を張る局面ではなかろうが!!」バキッゴッガッ
「いい加減にしろ・・・・ッ もうお前たちの敗北は決したのだ・・・・ 大人しく負けを認めろ・・・・ッ」ギリリ
「これ以上 僕の仲間を傷つけさせはしない・・・・ッ 一刀両くんを・・・・ッ」

「解・・放・・ し・・ ぐ・・・う・・ うぐ・・う・・」グエエッエッオエエッガハッハッ

(ド正義殿・・・・口ではああ言ったものの
やはり無抵抗の旧友に対する拷問は精神をかなり圧迫しているご様子・・・・
いっそのこと・・・・拙者に任せていただければよいものを・・)ベロォ・・

「はぁ・・はぁ・・ わかっただろう両性院・・・ こんな目に遭いたくなければ正直に かつ即答したまえ・・・・
キミと一緒にいた“女”・・・・ 鏡子をどこへ隠した・・?」

「き・・・・鏡子さんは・・・・ 攫われました・・・・ 突然現れた・・ユ・・・・“UFO”に・・・・」

ブチブチブチブチブチ

「ふざけるな貴様アッ!!! 僕は忙しいのだッ くだらぬ妄言に付き合っている暇などないッ!!!」ガンガンガンガン
「ほッ・・本当なんですッ 鏡子さんは本当に“UFO”にッ・・ だからもうやめてくださいッ・・!!」

「おいド正義!! ちょっと待ってくれ!!」
「! ………どうした? エースくん・・」
「いや 両性院の言ってることは冗談じゃないかもしれないんだよ! これを見てくれ・・!
両性院を捕らえた「番長小屋」付近で撮ったんだが・・ ここの草の形・・何かおかしくないか?」

「・・・・! ミステリーサークル・・!」
「そうなんだよ 鏡子が“UFO”に攫われたって話も 俄然 信憑性が増してこないか?
無論地球に来た宇宙人が偶然攫っていったわけじゃないだろうが “UFO(・・・)を操る(・・・)魔人(・・)”がいたとすれば考えられないことじゃない」

「・・エースくん 実はな・・・・一刀両くんが守っていた東渡り廊下の床にも これと似た模様が刻まれていたのだ・・・・」
「じゃあほぼ決まりじゃないか・・! 一刀両も鏡子“UFO”を操る“魔人”に攫われた・・・・! そして両陣営の“魔人”が攫われたわけだからそいつはおそらく・・」

第三勢力・・! “転校生”・・・・!!

「いや エースくん それは早計じゃないか・・・・!? 仮に“UFO”が本物だとしても その能力者が「番長グループ」の“魔人”だという線もある・・・・!
その“UFO”によるアブダクション(ゆうかい)が 両性院を捨て鏡子を助けるためのものだったとしたら・・・・!」

「それなんだド正義・・! オレもそれは考えたんだが どうもその線は無さそうなんだよ・・・!
夢見先が鏡子の右手を持ち帰ってきたんだ 【ぴちぴちビッチ】で飛ばしてきた右手首をな その手首の切り口から血が流れていたんだよ・・・・! ぴくりとも動かないのはともかく出血はおかしいだろ・・・・?
恐らく鏡子が殺されて能力が解除されたんじゃないか・・・・!?」

「そんな・・・・ 鏡子さんが・・・・死んだ・・?」「ッ……」
「となると相手はやっぱり“転校生”だ ヤツらに攫われたとなったら一刀両も もう・・」「…………」

「そうか・・ 鏡子が……死んだのか・・・・」

「ようやく見つけたぞ まさか キミが「番長グループ」の“魔人”だったとはな 鏡子くん
学校中の生徒をレイプして回ってるそうだな? 女性から男性とはいえ立派な犯罪だぞ」

「ふふ・・ それじゃあ私を罰しますか? 生徒会長さん?」
「被害に遭った生徒が全員口を揃えて 「和姦であった」と言っている 合意の上なら罰したくても罰せられんよ」
「ふふ・・」クスクスクス

「その件ではなく鏡子さん 今日はキミに頼みがあって来たのだ
「生徒会」に 入ってくれないか? “転校生”を退けたキミの力があれば 必ずこの学園をより良くすることができる 僕に力を貸してくれないか・・!」

「・・・・それに………」「? それに・・?」
「いや・・・・」(あの時から 僕は・・・・)
「・・せっかくですけど・・ お断りします 法の番人なんて柄じゃないし 気ままな「番長グループ」の方が性に合ってますから」
「そうか・・・・なら・・・・仕方ないな・・・・」(最初から応じてもらえるとも思っていなかったが・・・・)チュッ・・・

「先輩 そんなに 無理しなくてもいいと思いますよ」

(あの鏡子が・・ 死んだ―――)

「………いや・・・・ 鏡子のことはいい・・・・ 問題は一刀両くんだ・・・・! 僕たちは・・一刀両くんまで喪ってしまったのか・・!」

範馬くん・・ アズライールくん・・ バルくん・・ そして一刀両くんまでも・・! 勝利の代償に失ったものが大きすぎる・・!!」
「ド正義殿 戦に人死には付き物にござる 一刀両殿らを失ったことは痛うござるが諦めなされい」
ドガッ「ッ〜〜…… 両性院・・・・ これから先は尋問ではない・・! キミとの交渉だ・・!」

「キミがハルマゲドン開始直前に「番長グループ」から呼び出され そのまま彼らに協力したことは邪賢王から聞いている 天音沙希が“転校生”どもに囚われた事情もな」
「・・・・わしが脅したんじゃ・・ 無理矢理やらせたんじゃ・・・」
「我々「生徒会」としてはいかなる理由があろうとも 「番長グループ」に参戦したキミを許すわけにはいかない
本来ならキミも 邪賢王同様 特一級極刑へ処すところ・・ だが 我々も鬼ではない キミに情状酌量の余地があることも事実」

「そこでだ両性院 「生徒会」のために働かないか?」「ッ・・・・ えッ・・!?」

「驚くことではない キミの【チンパイ】を僕たちも買っているのだ “転校生”との戦いではおそらくキミの【チンパイ】が要となるだろう
うちの友釣香魚のことはキミも既に知っていると思うが 彼女の能力と【チンパイ】は非常に相性が良い・・・・!
どうだ? キミも“転校生”を倒し天音くんを救いたいのだろう? 僕たちに協力した方が救出の可能性は高まるぞ?」

「・・ぼ・・僕が協力すれば・・ 邪賢王ちゃんも助けてくれるんですか・・・?」

「答えはノーだ! 今回のハルマゲドンの開戦責任は 全て「番長グループ」にある ・・ということにする!
そのためには番長・邪賢王ヒロシマを生贄にしなければ この戦いに幕を下ろすことはできん!」

「ちょっ・・ ちょっと待って・・・・! そんな酷いことって・・!! あッぐ!!」
「人の心配してる場合じゃないぞ・・ ド正義は甘くない・・これを拒めば特一級極刑は確実だ・・!
おまえの目的は天音の救出だろう・・・・ オレたちだってミス・ダンゲロスを見殺しにする気はない・・ここは大人しく従っとけ・・!」

「両性院・・ わしのことはええんじゃ・・ ここは・・命を繋げ・・ おどれだけでも生き延びて・・天音を助けるんじゃ・・・・」
「邪賢王・・・・ちゃん・・」

「………わかりました・・ 「生徒会」に・・・・ 協力します・・・・」
「・・・・そうじゃ・・ それ・・で・・ ええん・・・・じゃ・・・・」
「邪賢王ちゃん!?」
「慌てるな 気絶しただけだ 邪賢王がそう簡単にくたばるワケがない
もっとも特一級極刑の苦しみを思えば ここで死んだ方が遥かにマシだろうがな」
「ッ……ッ」
「そう怖い顔をするな両性院 僕だって昔の友人に好き好んでそんなことをしたいわけじゃない」

「だが仕方ない 拷問も公開処刑も学園の治安を守るため 正義のためには仕方ないことなのだ」

「「正義のため」ですって!? ド正義さん! あなたはあのめちゃくちゃな新校則案と自身の能力で・・全校生徒の生殺与奪を握るつもりだと聞きましたよ!? そんなものをあなたは正義だと思っているんですか!?
あなたが正義だと考えるその善意の基準が いついかなるケースでも通用すると思ってるんですか!?
邪賢王ちゃんにも 彼女なりの正義があった!! あなたはそれを悪と決めつけて排除するんですか!?」

「・・ふう 何を言っているんだキミは・・・・ 僕の正義が普遍妥当なものかだと?」

「そんなワケがないだろう 常識的に考えろ!」「えッ・・」

「いいか? 邪賢王には邪賢王の正義がある 僕には僕の正義がある これは当然だろう
ただ僕とあいつのやり方に本質的な違いはない あいつは自らの膂力に頼り 僕は校則と【超高潔速攻裁判】を用いて 両方とも“暴力”でこの学園に秩序をもたらそうとしていた
だがあいつのやり方は甘かった! 邪賢王があらゆる問題を全て己の拳で解決できればそれもよかろう! だが邪賢王より強い“魔人”が現れたらどうなる・・・・!?」

「忘れるな 我々は超人ではない! “魔人”なのだ!! 相性の悪い敵に当たればコロリと死ぬ!! 邪賢王がいかに強かろうと関係ないのだ!! あいつが死ねば 「番長グループ」が築き上げた秩序など 藁の家の如く崩れ去る・・!!」

「それではダメだ!! そんな脆い暴力に頼った支配では!! 学園に真の秩序と安全をもたらすことなどできないッ!!
【超高潔速攻裁判】!!! いざとなればどこの誰であろうと一睨みで殺せる僕の能力ッ これくらい絶対的な暴力でなければ学園の秩序など保てんのだ!!」

「け・・けど それでは結局 あなたの考える正義に則らないとこの学園では生きていけないことになります!
あなたは自分でも認めていたはずだ! 自分の正義は決してっ・・・・! 普遍妥当なものではないとッ!!」

「………そうだな・・ キミの言う通りだ 確かに 僕は自分の正義が普遍的なものではないと承知している
僕の正義とは すなわち僕の考える正義を他者に無理矢理押しつけること それはわかっている」

「だがな……… 両性院 キミは僕たち“魔人”がなぜ・・・・ このような奇妙な能力を使えるか知っているか?」
「………は? え・・?」(何故今・・ そんな話を・・?)
「安心したまえ まったく関係ない話をしているわけではない “魔人”の能力 それがいかなるものなのか・・
それがこの話には重要なことなのだ」

「知らぬなら説明しよう “魔人”の力・・ その本質を・・!!」


―――生徒会長・ド正義卓也。はたして公人私人としての悲喜責任割り切り決断その他が渾然一体、盛り沢山。その煽りで(ムーがアブダクションした煽りで)蹴られまくった邪賢王ちゃん(1人だけ生存)。そういえば男性時代はDeath子の能力の為に一日に何度も自傷自殺行為に走らされ、尚あっさり傷が治る頑健さだったっけか。ムー、両勢力まとめて戦いたがってた君のおかげで共同戦線フラグは見事に粉砕されたよ。生き残りはたった二人だけど。諸行無常の戦闘破壊学園においてはフラグをも粉砕されるべし、慈悲は無い。

「は・・・・ 早・・く・・ 戻らなくちゃ・・・・ 本校舎・・に・・・・」

 で、一刀両嬢がどうにかこうにかズタボロで帰還中。能力特性と関係無しに(また彼らの魔人能力は一見これといった弱点を持たない)素の戦闘能力で学園の魔人を一蹴する転校生相手に、生徒会最強剣士に最強の妖刀とはいえ不意打ち誘拐から3対1では不利は否めず。むしろ生き残れた方が奇跡的―――しかし何故、逃走できたのであろうか? 思い返せば前哨戦、負傷した夜夢を抱えリンドウが逃走を図った折は一瞬で引き戻されてしまっていた。何故そうなっていないのだろうか。一矢報いてムーが能力を使えないほど負傷、あるいは死亡? いくらなんでもそう上手くはいっていないと悲観、とするとうやはり解せない。黒鈴(鏡子の遠視能力保持)とユキミ(射程制限解除)の組み合わせをもってすれば、高速移動手段も持たず傷だらけの彼女を発見&捕縛する事は容易であるはず……泳がされている? 何のために? 既に学園敷地内は限定的ながら監視下にあるといって過言でもないのに……まさかムー君、ワザとか? いやそんな楽観は、と堂々巡り。

 ともあれ次話、更に語るド正義卓也の「理由」、現世界・状況の根幹原因が先か、アブダクションされて後の片恋報われぬ剣道娘の戦いが先か。演説か、活劇か。