ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

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『美大受験戦記 アリエネ』第79話――《こだまの呪い/Curse of Echoes》

どいつもこいつも夢迷子で隠れん坊

(第78話の感想はこちら

 第79話「戦場のマリー」(7月13日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)。まさかのヒトが、持っていく。ボス猿なんて目じゃなかった。

「俺はさ……「中2」がキライなんだよね・・・自分が「特別」で「夢は叶う」とか信じてる、「中2」がね………
でも・・・お前が中2でも「使えるヤツ」なら………予備校(ここ)にいられるようにしてやるよ・・・優しいだろ? オレ……」
「すみません………俺……受験のためにここに来てるんで………」
「ふっ・・・お前……まだわかってねーんだな。美大なんかに入ったって・・・「夢」なんか 叶わねぇぞ・・・
みんな本当は知ってんだよ……こんな終わってる国で・・・「絵で食べていきたい」なんて夢が……叶うわけないってな・・・
美大なんか出たヤツのほとんどが、絵とはカンケーねぇ仕事してんのに・・・美大受験なんか意味あると思うか?」
「だから・・・ヒマつぶしに夢で遊ぼうとしてるんですか?」
「ひでぇ言い方だな……お前だって月岡弥生とヤッてんだろ?」「!!」
「ヤるにいはいーよな。あいつ美人だし。あのエロ画家の娘だろ? 誰とでも寝そうだもんな」

「許したわけじゃないの……… 乗り越えただけ………だからもう・・・あたしに近寄らないで……
小磯・・・ありがとう・・・」

 誰かが何かに懸けている所を引き摺り下ろすのを生き甲斐にするような、ある種の似た者同士で何が彼と彼女を分かったのか……かの嬢を裏サイト経由で炎上させるかもと思いきや、その力で喜多川を脅して(喜多川ぶん殴って走り去った有を追いかけようとして絡まれた)小磯を守るとは。また内心で思うのは自由だが喜多川よ、その高説を開けっ広げにして誰がどうして従う。予備校に居場所が無いのは、無くしたのはお前じゃないか? なるほどその才覚なら大学も受験も必要無いのだろう。だが、なら何故お前は今も此処に居る……。

「オレさ……好きなんだ………今もずっと・・・お前のこと・・・
わ・・・笑うだろ・・・しつけーし……… でも・・・やっぱまだ 好きだから……決めたんだ……
見せたいモノがあってさ……それを見てくれたら もうムリ言わないから・・・ついて来い……」

 そして葛飾夢を巡る人間関係で外せない一人、しかして喜多川関連が進行する間に出番の無かった男がようやく。これで行く先が喜多川のライブ会場だったら株暴落ストップ安だけど、まあ流石に無かろう。普通に考えれば「自分の」何か、あるいはその裏……?