ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《緊急時/Time of Need》/『極黒のブリュンヒルデ』第72話

(前回感想はこちら)
(第1〜3話の無料閲覧はこちら)


さよなら、幸せだった日々。


前回の粗筋

     ヾ/ , ,―l ,ゝ-、/ !   丶、 iiii   ,  ヽミミミミ
     ミl { 'ν/ !ト-、ヽ、   .,\ ヽ/:;''   、ヾlミミ
    _ミ_|丶ヽ/  _ ミ_、rjヽl  . j  ,ヽ |      ゙ ミ|ミミ
ミ, - ´ __ヽ、/Ξ  `ミ`ヾヽゝ-┬ -;, l l ,,  ||li ' ミlミミ
´ /   / ミ ,-、  ヾυ`'Y、 ''' (丿《 ―、!!!!  ノミノ
/, 、'  l / . ∧ _ r ´ r lrj \   ヾ、`丶二ニ彳´
三 ,    |彡Ξii;;!、ヽ└,ン ,, ヽヾ\ \彡'ヾ ,/ニニフミ き・・・きさまといた数か月・・・・・・
;   ,' ミ|   -、!!、 \\  ;' ;、`ヾ}`ーjヽ_ノフノ,イ´ミミミ  わ・・・わるく・・・なかったぜ・・・・・・
  彡  ミl jji: ''`ヾヽ T´    ノノゝ´ン彡イ´ミミミl´),
     ミll''    ! ,' 《ヾ !_ii∠二´イ´ミミミミ  ,--、'
 ̄ヽ   ミ\ll_''_'__ノ_,,イ/ミミミミミミミミ ヾヽ、/,,  ヽ
   `丶、―――´ミ,- ,イミミミミミミミヾ ヾ: :lll' ヾ'ヘ彡´〉

―――幾重にも、「今このタイミングで来るか」と思わざるを得ない。アニメ化企画であり束の間の奈波登場(第38話以来)であり、遂に触れかけた「第三のスイッチ」であり、推定第58話で通話したきりの女性+αγβであり。

 現段階で何時頃放映予定か、はたまた最序盤に想像したようなOVAかも判らないが……これまで密かに/しつこくエロゲーギャルゲー化を推してきながら、驚き戸惑い少なからず、消化し難し。なんとはなしにもう少し先の話だと思っていたというか、着地点ないし鎮死剤問題が落ち着いてもいない内に来るとは思ってなかった予断。まあその場合は今「どこまでやってどういう形に収めるつもりなのだろう」と不安気に想像する事も無かったのだろうけど。企画立てるのも脚本書くのも作者本人では無かろうが……『極黒』なる作品は常に紙一重の綱渡りにして、アニメ化企画自体それが伝播しているような錯覚。


Malleus Maleficarum

「村上君……!! 村上君……!!」「村上!!」「村上さん・・・!! 村上さん・・!!」
(なんだろう・・・もう痛みも感じない・・・ おれは・・・死ぬのか・・・)

(結局・・・何も出来なかった・・・ 悔しい・・・相打ちにさえ出来ないなんて・・・
もっと違う方法があったんじゃないか・・・ せっかく・・・ クロネコと会えたばかりなのに・・・)

(おれは・・・誰も守れなかった・・・)

「みんな・・・ 助けられなくて・・ごめん」
「村上!! 何言うてんのや!?」「村上さん!!」「村上!!」

             r ─ 、
               /     ヽ
            /      \                 /`ヽ
              //   x===x_ヽ__,,.---- __      /    ヽ
            /    {:...::::::::::}>'´  ̄`  ´ ̄ ̄>.、   /
.         /  /   ゝ::::/ ̄`  ノ\    ____x_,,/
.         /    /   У         \ヽ、___ Y:::: : /      、
      /    〃  /     r斗     ヽ \{::::::::i       i
.   /       /  /  .,    i .厂|         廴:::|       |
  〃      ,' 〃  ./    .| {  l ヽ    .i   V::|       i  |
  /.       ,' /イ  /   __|__|  ヽ  \   :|、 i  }:}|       |  !
 ,'      / / { ,イ   {L_|,八   \厂`ヽj .Ⅵ  八.       |  !            !?
./        /    |./ {   ノキメミ\   Z≡≠、_! ,}}! }! 人.    |  !i
      ,.'.     |{ |! 八 { .代y!   ´ {うcリア },' /Y⌒!iz    |  !i
      ,',       ヾ人{ィ/\N  ̄ ノ    ゞ- '´ // ,')ィУヽ   | ./,'
   / ,'       /  Ⅹ /八  `      ーイ /_/  }   !//
   ,'  ;.    /   / 爪 {  ヽ、 ゝ     ,ィ/ ./{¨     |:  //!
  ,  ;{   /     { /{ ヽ!.    \____,, ィ ./ ./ .|       |  // .!
V./!  ,'  /.       | |!  \ __,,.イ:}  /〃 入      | .//  !
..V ! .{./          ! レ´ ̄ ̄/::::::/:八/  / /  }ト、   У,'  l
 V!  {!          | |! i:..  /:::: /   /  /¨   /:::::ヽ/,.イ  .,'
  V  |         .', Vi! /:::::::{{ /{  {    /:::::///   /
  V !        / \Ⅴ/:::::::::: {{イ !   |==ヲ: : //:::/   /

「な…… 奈波!?」(どうも)

「な・・・なんだお前・・・ なんで今ごろ・・・」
「む・・・村上くん!? 何を言ってるの!?」
「……奈波?」

(私はあなたの記憶に刻まれた幻 あなたが絶体絶命だと思ったときに現れるようにしてたの)
「……はぁ? そりゃまぁ・・・ 間違いなく絶体絶命だけど・・・」
「もうアカン・・・ 出血が多すぎて幻覚を見てるんや・・・」
(あなたはもう口にだしてしゃべらないで 考えるだけで私と話は出来るから)

(私は監視員の目を見たときに色んな記憶を見た 彼らの目的や そして彼らが恐れている物も)
(恐れている物?)
(そう ひとりは1107番鷹取小鳥・・・そして7620番黒羽寧子よ 彼女はヴァルキュリアよりも強い力を持っているから・・・
だけど不安定なの 誰にも制御できない だから殺したがっている
そして彼女の強力なドラシルを回収して もっと扱いやすい素体に入れようとしているの)

(例え黒羽にそんな力があったって・・・ 使えなければ意味がない……)

(だから・・・黒羽寧子の封印を解除する方法を教えてあげる
ただ 今の寧子では99.9パーセントの確率で解除に失敗して溶けて死ぬ だからヴィンガルフも警戒していない
それでもいいなら使って 今の危機は脱するかもしれないから)

(ダメだ・・・意識が・・・)「ま・・・待て・・・」
「村上君!! しっかりして!! 村上君!!」
「……このっ・・・!! よくも村上を・・・!!」ゴッ
「カズミさん!!」「つっ・・・きゃっ!!」ガッ
「私に暴力など使わせるな」
「やめてください!!」ガッ
「小鳥ちゃん!! このっ!!」ドンドンドン
「何度やっても無駄よ・・・あなたにはもう 物しか壊せないんだから・・・」ブシュウ
「ふふ……「使えない魔法」さえ使えなくなったね」「……」

「どうして 私にはこんなに力がないの・・・? どうして誰も守れないの・・・?」

「なんで・・・なんでこんな目に遭うんや・・・ 誰も魔法使いになりたくてなったんやない・・・勝手に改造されたんや・・・
なのになんで・・・こんなに全てを失わなあかんのや・・・」

「お前達には生きる資格がないからだ」「は!?」

「お前達は我々の基準を満たせなかった 能力が劣る 力がない
だがそういった廃棄物は研究を進める上で当然発生する とはいえ外界に廃棄するわけにもいかない
だからコストをかけ責任を持って処分している それだけだ
恨むなら力を手に入れられなかった自分の無能さを恨むべきだ」*1
「……」
「あかん……言葉が通じへん・・・ こいつには……心がない・・・」

「力は・・・ ある・・・ 黒羽は・・・ヴァルキュリアよりも強い・・・」
「村上君・・・何を言ってるの?」
(奈波から聞いた寧子の封印を解除する方法・・・それは・・・
ハーネストの一番上のボタン・・・ 『死ぬより恐ろしいことになる』スイッチを押すことだ・・・)

「……押して気が済むなら押せばいい ほぼ確実に溶けて死ぬだけだ」


(やっぱりダメだ・・・99.9パーセント死ぬと言われたボタンを おれには押すことが出来ない・・・
他に助ける手段がないとわかっていても・・・
おれの手で黒羽を殺すなんてこと 出来ない・・・)

「……もういい やれ」「……わかった」

「さよなら・・・ 寧子・・・」「やめてぇ!!」


「……」

「……」

「…… ん?」「? あれ?」

「どうして? 魔法が使えない…… なんでよ!! ハングアップもしてないのに!!」

「……」「……まさか・・・」

「あははははは!! そのまさかよ!!」

「久しぶりねぇ (いちじく)所長」
魔女狩り(ヘクセンヤクト)……まさか 本当に来たのか・・?
さっき電源を入れた端末の・・・GPS情報を辿って・・・)

イニシャライザー 彼の前では全ての魔法が中和される ご自慢の力を失った気分はどう?」

「それじゃ1107番はこちらに渡してもらいましょうか 九所長」


魔法少女禁止法』

……さてさてさて、このドンドンドンDONG! といった連続展開といったらもう。

 ともあれまずもって、文字通り「心の中に生きていた」奈波さんの再臨のこと。これまで良太の中で彼の視点から現実を観測していたか、冷たい考え方だが単にプログラム状態で起動条件を待ってたか、良太が「絶体絶命だと思う」時*2に現れるように仕込まれていた。多分にその時々で最も有用な情報を提示する積もりではあったんだろうけど……戸惑う時間も惜しむ暇も無く「万が十」の賭けにして良太には結局実行出来なかったという残念な始末。ただ其処から一連が無駄だったという訳でもなく―――多分にイチジク所長は奈波の名前が出てから良太が寧子のハーネストに手を伸ばすまでに天才らしい洞察だかで「記憶操作された黒服から情報を盗み見た【操憶】魔女から寧子に関する情報を書き込まれた」と超速理解、前回から見て取れなくもなかった「話は通じないし聞かないが相手を観察する」傾向により良太がどうするかを確かめようとしていた―――そのごく僅かな『時間』を稼いだことで結果的に全滅を避けられはした……危機そのものが去ったわけでもなければ、良太が現在進行形で死に掛けてる事実に変わりないのだが。

 次いで奈波が告げた情報自体。製薬メーカー襲撃前にハーネストの説明をして以来触れずにいた第3のスイッチは強大無比な力を秘める寧子の封印を解く可能性、しかし99.9%イジェクト死と変わらない……待てよ? ほぼ溶けて死ぬだけで「イジェクトさせるのと変わらない」のなら、何をもって『死ぬより恐ろしい事になる』と言うのだ? 0.1%の確率で絶体絶命を打開しうる力が手に入るのなら、本当に手詰まりの状況ならそれを選択する目だって残る。「クロネコを殺してしまった」トラウマを抱える良太ゆえクロネコ本人だろうと実は別人だろうと実行出来なかったけれど、他のハーネスト付き魔女にしろ寧子自身にしろ、それを知ってしまえば博打に賭けるしかない場面が出てくるかもしれない。
 もしそうさせない為の警句ならば『死ぬより恐ろしい事』などと脅すまでもなく、最初からそんな機能を付けなければいい話だ。ハーネストの設計をしたのがイチジク本人だか部下だか未だ不明だが、態々そんなボタンを用意した理由は「実験台の扱いに都合が良い」か「イチジク個人に都合が良い」のどちらかだと思われる……やはり『死ぬより恐ろしい事』とは今回縋り切れなかった希望であるところの「溶け死ぬ事無く封印を解けた場合」を指しているのだろうか。子細は計り知れないし「封印が解ける」*3という因果も曖昧なれど、まず確実に「中の人」ドラシルが関わっていると見てよかろう。以前からリミッター解除とか身体を乗っ取られるとか言われてたが……奈波の言からするに魔女とはやはり界隈の想定通りドラシルの“保育器”であり“出力機関兼制御装置”だとすれば……何らかのマインドセットPTSDにより力を十全と震えない「寧子という枷」を外しドラシルが持つ力を解放したのなら……? “孵卵”とはそういうことなのか? 他の娘達にもありえる事だとすれば……ううむ、「器」が無事で済む場合と済まない場合がいまひとつ判り難い―――小説『ストレイト・ジャケット』において世界は魔法濫用により汚染され、その為に適切な装備をしなければ魔法一つ使うだけで人間は狂的な怪物と化してしまう。しかし極々稀に、怪物化しながら人間的知性を保つケースが存在するのだが……そういう先例想起予断自体が落とし穴の気もしてくるのが訓練された読者、などといっても何ともならんね。

 さて話題を移そう。前々回良太が、「クロネコを生かすために出来る事は」と電源を入れていたらしい端末の信号から……良太がそうしたのはイチジクの乗るヘリが飛んでくる前で、どういう目算で電源入れたのかは余り突っ込みたくない所であるのでさておいて……ほんの少し時間稼いで尚ギリギリとはいえ、随分速攻でやってきてくれたものだ。移動手段は何を使ったのか、拠点が何処なのかも気になるところだがさて、魔女狩り。3巻書き下ろしで登場した「神父さん」2名に魔法無効化のショタ「イニシャライザー」に、亡き茜の知己であったろう電話の女性の総勢4名。少数精鋭にも程があるがこれで全メンバーなんだろうかもしかして。一度教会を襲撃されての死亡減少よりかは、方々に散らばって潜伏している方が頼れるのだが。頼っていいかは別として。

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               l:::::::イ    ノ7ゝ、  /¬ ヽ_____∨:',
               l::::::i!|  ノ/ /〃ヾヽ//⌒} /   ミ:::;
               j:::::i::レ///∧{ {     ノメー-、 リ:::::;
              /::::ノ::///イ_ヽj__,,,、  /:ノ...:.:.::::ヽj:::::::',
               /:::::::::::{ { l釗::::::::::::::::アー<::::::::::::::ノ !::::::::',    ちょっと暴力教会まで来い
                /::::::::::::::ヽ\ヽ:::::::::::ノ   ヽ`ー "___ハ::::::::',
                /::::::::::::::::::::ヾj\\__,   γ:.´.:.:.:.:.:.:.:.ヽ;::::::::',
                /::::::::::::::::::::::::::::\ ̄     ⌒:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨::::',
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      rー 、     /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::!;;;;;;;;;> ゝ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.八:::::::::ヽ、
     l  l    /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j;;;;;;;;;;;;;;;;}:ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: イ:::::::::::::::.:.:.>:..、_
.      l   へ、 /:::::::::::::::::::::::::::::::::>'"!ミ   i  ` ー  <j:.:.:::::::::::::::〃:.:.:.:.:.:.:.:`.、、
    /   }/::::::::::::::::::::::::::::::l´:.:__!,三二 { ¬ニ三/__l:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:\
   /   ∠ ⌒ヽ::::::::::::::::::::::::::l:.:.:   i, ̄ ¬ }>´ ̄ /   l:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.ヽ
   {   /    ヘ:::::::::::::::::::::::l:.:.     i,   i    /    l:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.\
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     ',       /::::::::::::::::::l:         i,   /      !:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
     ',       }:::::::::::::::::l:          i, /      l:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 それにしてもイメージがビフォアアフター「なんということでしょう」な有り様。勝手に押し付けてただけだが。あまつさえミニスカシスター。アニメ化表明タイミングだと狙った感じがしなくもなく。そりゃあ魔女を殺すのに魔女を使わないなら銃器で武装するだろうし、軽井沢で特殊部隊あたりに攻められたとしたら多勢に無勢だし「イニシャライザー」も役に立たなかっただろう。しかし今この時、本人が操縦してきたのか人間がイチジクだけ(銃は寧子が破壊)魔女が真子だけで【中和】無効化の範囲内に収めているならば完全に形勢逆転。自分一人で真子と小鳥を回収してきますと高千穂の歴々に見得を切ったのが裏目った体……ただ、

                ,.,.,.,.、
                《ミi!i!}
                 }从{!
               マ ̄ヽ
               {i_r'
                W
               ル'レ/
         _    r─‐===‐┐
        え{\_/ /  .:.:.:./ |
         \_/  .:.:.:.:/ |
      ○   /   .:.:.:./ ̄
       M  ム___/
   _/, ̄ハ  ./ / /
    `ケ´ /´ ./ / /
   ん、_/  / / /
   {ソ//  ヒ二j二j
   `~~

 《アンティマジック・フィールド》だか“魔力侵奪能力(ミッドナイトブルー・ヴァンパイア)”だか『ギアスキャンセラー』だか原理やら、遂に登場の男性魔法使いWizardだかWarrockだか如何様に造られた・生まれた何者であるかも全然不明なものの……数多の防御能力が突破される為にあるように、無効化能力も抜け道だか正面突破されるためにある(極論)とすると存在自体が死亡フラグというかシスターが勝ち誇ってる事も危うく見えてしまう……嗚呼、なんてメタメタしい。

 普通に考えればこの局地戦は魔女狩りの一人勝ち。重要な存在である小鳥を回収し、おまけにヴァルキュリアとヴィンガルフ所長を捕縛、これまでに見る「魔女皆殺し」の方針からすると他は全員殺す……てな結局小鳥以外死ぬのは変わらないじゃないかという事になるのだが、それを打開すべき説得取引駆け引き役こと主人公が死に瀕し、他の娘らは魔法が使えない状態……使えても小鳥以外銃器に対抗しようも、って初菜さん先週ラスト頁から不在だが何処行った。もしかして上下に切断された状態で張って逃げたのか。ふと犬良氏の記事へのコメントを見て、もし射程範囲外に逃れられてないと(早急に魔女狩りがこの場を去ってくれないと)大変な事になってしまうグロ悪寒ががが。

 良くて、まとめて虜囚。悪くて、数人イジェクト死の上でバラバラ。つまるところ天文台に集った5人6人の仮初の平穏は、かくして決定的に破壊され終了と相成った。前々回むしろ真子解放の時点で終わっていた―――“戻ることの無い日々”、“あの忘れえぬ日々、そのために今生きている”……後者はむしろ良太自身を指していたような。はたして過去形になるや否や、2巻拠点確保からの其処での安定を守るルーティンから、どう転がっていくのやらと。

*1:「俺は悪くぬぇ!」『僕は悪くない』といった自己弁護自己正当化にも当てはまらない、相手を納得させるつもりが全く感じられない「生き物としての立場」を隔てた視点。そもそも「力を得て」=Aクラスに残っても各々能力の極みに達しても、結末は瑞花か寧子か真子かで、途中脱落すれば死あるのみ。何のための繰り言かといえば「相容れない印象」を深めるためとしか考えられない。ヴァルキュリア真子の解放あたりまでは残ってた「いつか高千穂に反旗を翻して“くれる”だろう」という期待感を、前回今回と押し潰して余りある。その期待に応える義務は当然無いのだが、そんな空気の読まなさも天才の所以であるかもしれないが。丸眼鏡が「人間に無茶はしたくない」と嘯いたのに不快感を持ったような描写、なんてあったっけかという気分。「人間とは不思議なもので 大義さえあればどんな残酷なことも出来るようになる」今は亡き黒服の言葉を、極めて体現しているような、そもそも罪悪感以前に何の感傷も情動も抱いていないかのような―――もし此処までが後々あっつい掌返しの為の仕込みだとしら、その時どんな顔をしたものだろう。

*2:4巻以後では初菜の「試し」で落下死寸前だったこともあるが、走馬灯状態で思考高速化しててなお出てきた所で彼自身にはどうしようもなく今現在よりは諦めて受け入れかけたりで出る余地がなかったか、前回今回の衝撃度合を薄めさせない都合というか。

*3:そもそも「封印」というならば、寧子が「最強の破壊魔法」を使えなくなったり【破撃】を使う毎に代償で記憶を損なったりする問題は人為的に設定されたということなのだろうか。