《幽霊の変わり身/Ghostly Changeling》／『極黒のブリュンヒルデ』第１６４話
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「マキナ！！ ……お前・・・」
「黒羽を どうした？」
「………別にどうもしていない 安心していい クロネコくんはこっちで元気に楽しんでいるさ」
「来い アフロディーテ わかってるだろ？」ｸﾞｯ
「ぼくが本当に好きなのは お前だけだってこと」
「離せ！！」ｶﾞｯ
「それは残念ね！！ 私がこの世で一番嫌いな物質はあんたよ！！ 死ね！！！」
「そうか… わかったぞ」
「お前が アフロディーテの心を奪ったんだな？」
「……はぁ？」
「違う！！ こいつは関係ない！！」
「とぢらにしろこいつはずっと目障りだったんだ・・・ これだけぼくに不愉快な思いをさせて 生きていた人間なんていない」
「いい加減に 消えろ」
_,.. ｰ ─=二.,,＿ ! ｌ ,, -;;ｉl!!'" _,,,.. -ｰ''" ￣￣｀ﾞﾞ''ｰ＼ｌ ｌ, .| .,i7 ,,.;;シ'" ._,, -'''''"゛ ｌ, lｌ ,l゛! ,..!广 .'二ｱ" ._,, ‐''''^￣￣ ヽ ヽ iﾞ.! ,/ ,／゛ _,,..ﾆ'"゛ .,..-'"゛ ｌ ヽ ! .| .， .ll' .lﾞ '" ー'“ﾞ ／ ,, ‐″ l : ! .l| ,! i′ ,..-'´ . ／ | l l.! l ｌ ,∠´ . ／ lﾞ | .!l iﾘ "゛ ／ . ／ ! !,!l / ,〃 ..i/ .／ | lﾞ /l .,, ／ .／ ／ l | . l/ . ／./ / .,／ ! ! .iﾘlﾞ .iﾘ ｲ l| .ﾉ／ ! iﾞ ,iﾞiﾘ il"./lﾞ ,i!/ .,/./ ｌ !/ .llﾞ /.!/ ｌ ,i′ .,i./ / ″ / ./ / ,// / / / ! . ,r./ / / / ｌ ツ゛ / ｌ ,i ／ ! ′ / ｌ..i′|. ,,/ / !〃 .l! ,i" / /iﾘ ,! / / iﾘ ｌ .! .i′ ,/ i}"/ .! ｌ / │ l/ / l .llﾞ / l iﾞ / ll / ﾘ / ll
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「アフロ！！」
「まぁいい ぼくになびかない女は・・・ どんな絶世の美女でもこの世に生きる意味はない」
「興がそがれた お前はまた命拾いしたな」
「！？」
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「マキナ！！」
「おい アフロ・・・」
「お前は 何だったんだ・・・？ 突然現れて・・・突然死ぬだなんて・・・」
「それでも・・・これだけは間違いなくわかる・・・」
「お前はただひたすら・・・ おれを救おうとしていたんだ・・・ 自分の・・・命までかけて・・・！！」
「くそっ！！」
「初菜！！ 今どこにいる！？」
『えっ 今？ 天文台だけど・・・ どうしたの？』
「アフロがマキナに殺されたんだ？ 生き返らせてくれ！！」
『村上君は今どこにいるの？』
「自分の家だ！！」
『だったら無理よ・・・ 私が生き返らせられるのは死んで５分以内だけってこと知ってるでしょ？
ここから村上君の家まで 車でどんなに急いでも３０分かかるわよ』
＼ ＼ / ／／三三＞''´ ｀''＜三三三≧s｡
＼ ア／ /三三／ ≧=‐‐=≦ ｀''＜三三,ハ
ゝ＜ ／ﾆﾆ＞' ‰///////,ﾍ ＼三三∧
∧ ﾉ三／ 〃/////////,∧ }三三ア､
∧/,／ f////////////,ﾊ i}三三/ }＼
. ∧' {/////,'{}/ﾊ////}} ,三,／ / ＼
∧ i{ {//{}//} i}} /,／ /
∧ ぃ 乂///ﾉ ,∬ 〈% /
∧ ﾏ ⌒^ % /
∧ や ‰ /
＼ ‘， ｀寸zzzzz少' /
＼ , /
＼ ∧ r‐= ＿＿≧=‐ミ ,
ヽ ∧ ｀''＜三三三( ＿＿＿__ノ /
「くそっ！！！ なんでお前らは瞬間移動の魔法が使えないんだ！！」
『ちょっと・・・村上君落ち着いてよ 一体 誰が死んだって？』
「だからアフロだよ！！ アイスクリーム屋の前でおれの隣にいた女の子だ！！ さっき見ただろ！！」
『ちょっ・・・ ちょっと待ってよ村上君・・・』
『あのとき 村上君の隣にいたのは 男の子でしょ？』
「知ってる」
「もういい！！ なんで魔法使いたちはそろいもそろって役立たずなんだ！！」ｶﾁｯ
「アフロ・・・ すまない・・・ おれなんかのために・・・ アフロ・・・」
「アフロ――――――！！」
「……」
「ふぅ・・・」
「こんな感じでいいか？」
「奈波」
'' _.―― ....
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. ' .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
/ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:.. :/ } ヽ
/::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::､i:.:.:.}...... ',
/::.:′. .: }: ヽ ,斗‐|- .::| :ト.、 | |.!
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. {: /.! :|.:.:..::|:.. ...:|.〃⌒ヾ ＼.l.〃.ヾ ..|./|.:i
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「……えっ？」
「こうやって 悲しんで欲しかったんだろ？ 一応乗ってやったけどさ・・・」
「……いつから気がついてた？」
「結構 ついさっき」
「お前 今日 家でおれが一人でいることを知っていたじゃないか そんなこと知っているのはおれと母親だけだ
他にいるとしたらあのメモを見た人間 そんなの泥棒か おれの頭の中にいる奈波しかいない」
,. -- ､.,,_ ,. ‐'⌒:::::::::::::::::::: :ヽ､ v'::::::::::::::: ::: .:::::ヽ､_ .7:::::::::::::: .;ﾄ､::::::::::::::::::::::::::ド /::::::::: .::::::ﾊ!. ＼:::ト､|l::;::::::Z ;':: ;. .:::::::ﾊ:| '"⌒ﾞ'l |ﾍ |:::::::::::::|.l:::レ' r'⌒ .｢l ';::::::::::;ﾚ' , =､ .|′ 〉;:::_:ﾄ. l′ , ､ ! |.ト.､ _,...:'^! /､ ` ｰ'ヽ､ ヽ- '´,.ｲ ヽ ／ l｀` ヽ‐-イ__｣ | / ﾞ､ /`-､ l.ﾉ 〉 ,' ､ ヽ '′ﾄｲ .|-ｧ' | | L.! .|"| 〈 ﾘ .! ! 'ｔ::;;‐;ｧ'7ニ＞ ＿, 〈 .l | ﾊ -ゝ ￣`"￣／ ,.ｲ .| ! !ｹｰ- ､_ _／ |_ﾘ |. l.,' / ￣￣レ' _｣ l. l,ヽ ,イ＿,...,,] ヽ ､lzト､ / ,/ { ` l′ ｀`´.l ヽ/'´ .l | l ;′ .ド.r;久 | / ｀ヽ、_,） ﾕこh ｀ ´ .| `'´j! ヾ=彳
「そしてカズミや初菜と会ったときも あいつらにはお前は見えていなくて
おれが隣に座っていた男の子のことを話していたと誤解されたんじゃないかって気づいたんだ」
「さっきのマキナもお前自身も お前がおれに見せてる幻だろ なにが絶世の美女だよ」
「……あちゃー・・・」
「バレちゃあ仕方がない」ｽｰ･･･
,. - ､
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, ´⌒＼ _／ `'くﾍ, _,:＾⌒`丶、
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. 厶-‐ 八{ / ,: ｛ 、 ｛ ' };＼ ＼.,,_ ＼
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｛ 八 /ニ＼＼ニニ{-‐::⌒¨7ニニフノハ ; }/
〕 小, ＼{ニニﾆ辷ｘ,ニﾆ＼::::::/ﾆ= ／イ｝ニ| / ｝
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｢¨⌒ `′「 | 。
. ！ .′ | ′
: { ; {
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| ｝ ｛ 〔
「どうも」
「……何で こんなことをした？」
「……普通の女の子として 一緒に遊んでみたかったから あなたと」
「……」
「どうして 今なんだ」
「そりゃあ・・・」
「あなた もうすぐ死んじゃうから」
「それは 本当のこと」
「……」
「あなたの記憶はライトワンス 一度見たことは記憶に深く刻まれて消えることはない
でも人間の脳の容量は決まってる だから普通は忘れることでバランスを取る」
「なのにあなたの脳は忘れることが出来ない そして限度を超えると機能を停止するの つまり・・・」
「脳が死ぬ」
「でも……この私の記憶が あんたの記憶のかなりの容量を占めている」
「だから 私の記憶を消せば あなたはもう少し長生きが出来る」
「けど……！！」
「目を見ただけじゃ あなたの記憶は消せなかった でも今 あなたの脳の中からなら消せる」*1
「その代わり・・・」
「あなたはもう 私のことを思い出すことはない」
「だからこれが 本当のお別れ 本当の私の死よ」
「さよなら」
「人類が知る限り、この宇宙で存在が無に呑まれても、“存在した”情報は失われない」
「街には・・・沢山の人がいるのに・・・
私を知ってる人は １人もいない
私はまだ ずっと 死んだままだ」（第４巻書き下ろし）
「5210番・・・ 1107番を見つけろ」
「任務に成功すればご褒美をやる なにがいい？」
「……私は・・・」友達が欲しい・・・
ずっと私を覚えてくれているような・・・
記憶を消さないで済むような・・・
そして 私が死んだ後も思い出してくれるような・・・
友達が欲しい・・・（第38話）
「な…… 奈波！？」
（どうも）（私はあなたの記憶に刻まれた幻 あなたが絶体絶命だと思ったときに現れるようにしてたの）
「……はぁ？ そりゃまぁ・・・ 間違いなく絶体絶命だけど・・・」（第72話）
―――前回記事を書きあげた後に思ったこと。量産型温室野菜人サイバイマン（）の汚名を戴くマキナ君２号、彼の出現と石垣島編に入った時の沐浴療養モードを絡めてみるに、モロに綾波レイ♂だなって。はたして、ミスリードがミスリードでミスリードなどんでん返しというか直球が正解だった（しかも良太もそれを薄々悟ってた）という空回り……それはそれで楽しめたから良しとして……前回までそこかしこが過去のシーンを思い出させるものだった最後の最後で、『ノノノノ』のそらさんが如くにというね。
第１部の頃から、初菜以外の魔女達が「そんなのとっくに思い出してたよ」と言う日が訪れることを願ってはいたが―――本当の本当に無理だね、これは。彼女がそう望んでのこととはいえ、「友達」の心の中でさえ、完全な死を迎える。 これでもう覚えているのは、ウォッチャー黒服とか一部研究者くらいになるのかな（当時の寧子に関わってたらしい女性研究者みたいな位置のモブさんがいるのかいないのか）……名前や表情（や乳や脇）までとなるとホントに独りきりじゃない？ なんだこの、魔女の死を背負いまくりな男は。その一方、第１部第３章で死を別ち合っていた主人公の中で、長らく潜伏し世界を見つめていた脳内彼女の存在そのものが消えるという無情無常。ああ、そりゃあ「メモを取る」必要があるよなって。アフロ含めてその情報を得られた経緯が消失してしまうのだから……奈波が「死ぬ」のとそこまでイコールにしなくてもとは思うんだが。『灼眼のシャナ』アニメ１期２話とか、最近だと『血界戦線』のチェイン回とかも想起。
しかも、ことによると良太が自身に不自然を感じず、彼の中でライトワンスの限界云々すら忘れるというか無かったことにしてしまう可能性すらあるような危惧。次回にどんな状況が待っているかなんて常と違って「予想がついてしまう」が故に、キツイ……！ 渡りに舟とさ感じたタクシーマキナ出現で巻いてきたかと思ったらそんなこともなかった≒３日歩き詰め登山をカットしないかもとか考えてられないレベルで。いやさ、目の前のどうしようもなさに対して先々の先にに思考を飛ばして逃避したりそうする余裕すら無かったりなんていうのは、それこそ極黒を読むに当たって平常運転だったのだけれど。
あと今回、アフロの正体を察していながらその死に様に取り乱して初菜に連絡取って、やまだかつてないほど滅茶苦茶言ったことに限っては「彼の中でしか無かった事にならない」んではないか。まあ奈波の存在自体を黒服来襲時に天文台の魔女ことに彼女と面識自体なかった初菜にもちゃんと説明しなかった（少なくとも劇中で描写はされてない）ままに過ぎているので、今回のこともスルー……できるのかなあ？ 流石に精神状態を心配されるレベルじゃなかろか。ここで「心配」で済むのがこれまでの賜物、と取れるほど酷い発言でしたし。逆に考えて、ギリギリまでアフロがアフロであると「信じていたかった」が故の「本気」で悲しんだが為に、のふるまいだったのかもしれないけれど。もしくはあえて魔女たちの好感度を下げ、単独でヴィンガルフに行くことを無線機を入れる時点で決めていたと解釈できなくもないけど。
ともかくも、界隈で幾つも巡らされた憶測。前回から今回までの間はシュレーディンガーの猫のように可能性が重なり合っていたけれど、ほとんど雲散霧消。オーディンの妻こと女神フリッグなんておらんかったんや……万に一つ、奈波のドラシルが持つ【エヴァネント】≒気配的なものがそれだったりした可能性もなくもなくもなくもなくも……無いよねえ多分。
良太が気づけた要因もあくまで常識的範疇で、そこに【エッダ】なる記憶共有機構の存在、あるいは御母堂がヴィンガルフ関係者である可能性は関与し得ない。そう予想できたのは読者視点がためで、かつての「小鳥ショック」と似ているね。何から何までいろんなものを思い出せてくれる。しかし「バレちゃあ仕方がない」と仰ったが、良太が気づかないままだったらどう話を持ってくつもりだったんだろう（ボブは訝しんだ）。
そう、アフロが奈波さんが作り出した幻覚ならば、奈波さんは脳内で、良太が曖昧になっている部分の無意識領域の記憶から、アフロが語った一連の情報を引き出したことになる んだよな。
改造人間疑惑が奈波さんのでっち上げではないことは、今週のキャラ紹介の良太の項目に『幼少時、V機関の手に掛かり、天才的な記憶力を身につけた』と書いてあるから、真実であるのは間違いない。ここからちゃぶ台ひっくり返したら、流石に笑うしかねぇんだがｗ通るか、そんなもん！！！ｗとなると、良太が『真実を知ったら今直ぐ死にたくなる理由』ってのは何なんだ？？母親が黒幕説は、今回の一件で、急に根拠に乏しくなったような？？良太自身が意識してないだけで、何か重大な物を見ていて、良太の脳内の深層にはにはその秘密が記憶として残っているの？？もしくは、クロネコ絡みの新たなトラウマでもあるのか？？
持ってまわった捏造や、フリー素材を用いての小芝居もあったが、それは、全て、脳内に生きていた擬似人格の奈波が、最期に夢見た平和な日常だったのか、と思えば、涙も誘う。唐突なお別れモードだが、これで奈波さん消滅はほぼ確定的か。しかし、より絶望度が高いのは、アフロという女神が、実は存在しなかった ＝ 良太のクロネコ救出は、女神のような超常的な力を当てにせず、自分たちの手で成し遂げなければならないという現実であり。
次号予告を見ると『次号、』寧子救出に村上が動き出す！？』と書かれているが、カズミのバックアップを受けて、研究所に潜入することはたぶん、出来るだろう、だが、その後のプランが、ほぼ、ノープランな上に、村上の時間も、奈波人格消滅後、どんだけ猶予が残されているのか、甚だ怪しい状況であります。
いや〜、これは本当にやられたと思いましたよ。アフロディーテの正体は、奈波であることは勘付いていましたよ。奈波と明らかに被る台詞に、アフロディーテと初対面した時の目線の低さと反応の薄さ、そして甘い物好き。これだけの要素が揃ったら、奈波じゃないと言う方が無理すぎる。
それよりも驚いたのは、マキナが幻であったということ。先週の高千穂と小野寺の会話内で、高千穂がリザーブと語った。そのリザーブというものが多くの読者にとってマキナだと思うであろう。しかし、マキナが蘇るにしてもタイミング的に無理がありすぎるし、マキナの台詞も今まで語ったものに酷似している。冷静に考えれば、おかしな話だ。場面転換を上手く利用して、読者にイメージを植え付ける。倫たんの叙述トリックは見事です。
- 「極黒のブリュンヒルデ」164話感想しょせん、吹き溜まりinスペース
―――かくて明日、最後の最期を待つ。あと今日１１日は、ウォッチャー黒服を演じた鈴木達央さんの誕生日でした。キャスト欄にも黒服としか表記されない、ある種モブ一歩手前の人物がかくも笑いを呼び起こすネタキャラで且つ深刻な影を背負うヴィンガルフ（元）室長などという重要人物だなどと、誰が予想していただろうか。アニメしか視てない人がいたら尚更にそう思うんじゃなかろか。
でもコイツが、コイツだけが、奈波のことをちゃんと覚えていてくれる唯一人の存在になってしまうのだ。消されるな、この想い。忘れるな、我が痛み。
