ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

『美大受験戦記 アリエネ』第42話――《別れ枝絡み/Forked-Branch Garami》


それぞれの想い、それぞれの距離。

(第41話の感想はこちら)

 第42話「モバイル事変」(9月17日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)。休載挟んで二週間ぶり。トイレに引きこもった主人公が一念発起して帰途の葛飾父娘に吶喊し……第三部完結?
 夢が有と携帯電話を交換。やはり水菜を経由すればなんとでもなろうと思うのだが、その場で気持ちを伝える手は多くなかったからかね。プライバシーとしても日常的運用としても、可及的速やかに戻さないと面倒な事になる気がしてならない。まあそんな問題が顕在化する前に待ち合わせとかするだろうし。


「有くん。これ、持っていって!!」
「ゴメン、借りるねっ。これ使ってその携帯に電話するから」

「待ってて・・・」
(え・・・ え―――――!!)


「さ・・・さいならっ」(さいなら東京っ!!)
「あのさ……あたしが安くないとかいう話は・・・
私に勝ってから言ってよ・・・「絵」で・・・
夏季講習で・・・待ってるから・・・」


「いいんすか? これで・・・息子さん カントクのこと恨んでますよ」
「………いいんだ・・・俺を恨むことが・・・光河(あいつ)の力になるなら・・・これでいいんだ・・・」


 有と夢、弥生と戸谷、光河とその父……それぞれの関係だか縁だか。特に戸谷は夢よりキツイ条件で戦ってたらしく……2巻初めに示されたスケジュールによれば、約4ヵ月後まで出番無しやも。ツンデレパンチラが切欠でフラグだか友情だか同志だか繋がったので再登場は確定だろうけど、実家との彼是という問題をどう突破してくるか。そういう意味では夢とも問題設定が近しい。
 他方、大物映画監督とその巨漢マネージャー。連行を実力行使で拒否してコンクールへ向かい、講評が終わって皆が帰っても絵に手を加え続ける姿に何も言わず去る父親。確かに「君の力になりたい」とそう言っていた。傍に置いて仕事を用意できれば良し、拒まれ憎まれてもそれはそれで良し……母子を捨て他に家族作った理由なぞは知らんが、エゴだか不器用だか。

 ともかくもコンクール編が終了と相成った模様。そこから派生する問題と解決については先の話として、春期講習(現役生のみ)が終わりついに浪人生が加わる「真の戦い」へと。成長を認められて新人王を受賞したとはいえ、如何ともし難く未熟が否めない有であるし……青木先生の言っていた「分別」により基礎クラス行きになるかも? 受験まで時間があるように見えて、ずっと努力してきた他に追いつかねばならぬ分より困難な道。夢の言葉にフリーズしたりパニックになったりしてる余裕は無いはず、なんだがなあ……。

 物語が始まって2週間。42話で2週間。アートに生き恋に生き、凄い密度だな。はたして今後のペースはどうなって……戸谷の再登場時には一体何話まで到達していることやら。

(後日付記:43話感想はこちら