ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《白鳥の歌/Swan Song》/『極黒のブリュンヒルデ』第88話

(前回感想はこちら)

(第1〜3話の無料閲覧はこちら) (アニメ公式サイト)


この先 永遠に続く 君なしの 世界




前回の粗筋 に非ず そして 幸せな あなたのお人形

                         __
                      ,:'´::.::.:::`ヽ
                     __ (::.::.::.::.::.::.:::しヘ、
                   /::.::.::し'::.::.::.::.::.::.::.:l::.::.::〉   ト、               , --- 、
                 ヽ、::.::.:ヽ::.::.::.::.::.::.::|::.::.::}へ、 |:::ヽ          ,  '´   _rvzク竺ヘrキ、
            ___/:\__ノ::.::.::.::.:\::.::_:_:_::l::.::.::|::.::.:〉 |::.::.∨{  ,イ    , ′      (7ニ三三三弍}
         ┌<^^^^⌒ヽ: l}`丶, '´ ̄`´、   `ヽ、::.::{rく二ヽ::ヽ/::|  /    r==介キ=^≠^¨ 冖ヘ
         | : \ : : : : : Yl}:/   / ハ  \    \::.::ハ ヽ\::.:| /      [ //〈_ノ /|  /    ヽ
      rぅ冖-J_: : : )}:_:_:_;ノ〃   /  l `、       \∨::.::廴ノ _八:|   ,ィ     /// 丁 /X! ' l  /  `、
    _/: {|: : : : :` く)イf^V∨   ,′ |  丶  、  、`ヽ::.::「|丁::.::.::ヽ l:|   // ,'/ | / k.ハ| l  l    |
  {7′ : : ヽ : : ==んヘ厂 ̄ `ヽ、 j l l |  \ l   V  ∨ ||:丶、:::∨:|   7 l」   l l 圦 ト、h |   〃
  {l : : : rv=》===彳  `ヽ、 `ヽ∨ | ト、|  j l ハ >| l | |ト、::.::.::ヽ、:::〉  / ハ| ト、| `^゙X从/ //
  {|: : : :j: : : : : / , l     丶    }」L⊥ヘ /≦ニkィ /  ,リ/7ァ|:⌒ヽ::.::| /∠= ┴‐ヘ `   { l厶イ/
 _≫‐'´: : ; '´/ , ′l|    l| }、ヽ jr斥ヒ ` ´ ^迅タ 厶イ ///ノ)l::.::.::.::.::.::| /三三三三八`r' 「 ,′
┼‐一冖′  { /   八   __ lノ|ム ゞ-'   、    ,ハ }ヘノrク rく|:>::.::/三三三三三三N |/
,′      〃  { ヽ/ /_ / ´ Yヘ、  -‐  ,.ィ:://V   ノ^´ |::.;:.::.:/三三三三三三三ト、 /
ー―- 、    ハ   ヽ ハ 〃^  ィ ハ::〉}:>ァ-<::.:://::.::}> ニニ) ∨厂仁三三三ニ三三三ハ \_ノ
―-- 、 \_ノ>ヽ、 /厶二乙イ └'/ }//::.::.::{乂シ-‐ァ7了  二)  V 〈三三≧==x=ニ三>ヘ 「 ̄´
`二ニヽソ }く==、 /:  ̄ ̄`>:' ⌒ヽ〈厶-‐'´: : : : : :l::| /) ,ィ‐┘ \ ∨三三{廴/l「||\《   }′
 ((__>‐くこニ>'´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l:j l }:´ j仁>‐┴< ̄::了三三|l |Lノハ
   ̄ r―<:_:_: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : //:/〉: :/)/:: _:_:: :: ::`丶::! 三三|| ||三ラ
 ̄`ヽ、人: : : : : : : : : : 、: : : : : : : ___: : : : : : : : : :/ 'ノ):ィフ,二≧:: :: `丶、 :: j ニ三」| 彡'′
: : : :/: : :`ヽ、: : : : 、: \:_:_:_:/::.:::`>‐ 、_: : //: 厶くノ:└===ミ、:: :: :: 〉::∧三三7´
: : :´ : : : : : : : ` ___;>'´:: :: ん'⌒Y´::.::.::ノ:: >ー┘:::〉:: :: :: :: ::└ヘ Y⌒じ′ \ニ7
: : : : : : : : : : /:: :: :: :/ :: /::/:: :: :::厶-‐'´ ̄ ̄ノ  ̄ ̄:ヽr'⌒):==彡'ニ三| ト、  ヽ
: : : : : : : : : └―‐ク7::/: /:: :: ::_::> :: :: :: :: く_:_:_:_:_:_:_ノ:: :: :`Y´三三三| |三ヽ  \
: : : : : : : : : : : : / ∧:_::/ ̄了:: :: :: :`丶、:: :: :: :; :: :: :: :: :: :: :: | 三三三| |三三\ 、丶
: : : : : : : : : :.// : : : / r‐<::ヽ、 :: :: :: :: :: ` ̄´:: /:: :: :: :: :: ::ノ`ヽ、三三| |三三| }ハ |

―――まさかの主人公ドラえもん化ED。良太も「押した」か「押さなかった」かで分岐しないものかな……いやもっと前々で変える所*1あるだろ! 今後も本ブログではしつこくマルチED式エロゲ化を推していきます()。既にイチジクが幾重にも対比対照的に描かれてるというのはさておき……さて、おき。

                                                            r汽^;^;^;^;
                                                           ,_,_,_,_r汽^;^;^;^;^;^
ヽ. _         __-=- 、      .__-==-_.                               r汽;^;^r汽;^;^;^;^;^;^;^;^;
 ゙:,三三`ヽ,   .:´三三三 ミ 、   '三三三三 ヽ.                         r汽^;^;^汽;^;^;^;^;^;汽;^;^;^
  ',三三三', /三三三三ノ´`ヽ,/三三三三ノ´`:,                        r汽^;^;^汽;^;^;^;^;^;^汽;^;^;^;
   :〜〜'´`У三三ニ{´    ;'三三三/´    :                      r汽^;^;^汽^;^;^;^;^;^;^汽;^;^;^;^
   ;:     /三三三ノ    /三三三ノ       ;          r ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄r汽^;^;^汽^;^;^;r三三r汽;^;^;^;^;^
  ;     /三三/     /三三/         ,'          .|             r汽^;^;^汽;^;^;^;三三三汽;^;^;^;^;^
  ;:    /三三(       ,'三三(          ,'        |           汽;^;^;^;汽;^;^;^;三三三汽;^;^;^;^;^;^
 ;     '三三三ヽ      ,'三三三ヽ      ,'         |        汽;^;^;^;汽;^;^;^;三三三汽;^;^;^;^;^;^;^
..;:     '三三三三 )   ,'三三三三)     , =ミ. r=.―― ミ. |       汽;^;^;^;汽;^;^;^;三三三汽;^;^;^;^;^;^;^;^
;:    ,'三三三三ノ    ,'三三三ニノ       ','  | |  ',    i. !      汽;^;^;^;汽;^;^;^; 三三ニ汽;^;^;^;^;^;^;^;^;^
    ,'三'三三/´:    ,'三三ニ/´        ',′ i| |i:  ',    |..|     汽;^;^:^汽;^;^;^;^三三r汽;^;^;^;^;^;^;^;^;^;^;
―――――――――――――――――‐′ i| |i   ────────────────────――
                            ノ| |乂
―――――――――――――――――    | |:   ー───────────────────――

………………

…………

……


還らぬ、雛

シュウウウジュワァアァアァアァアァアァア

「村上・・・ さん・・・」

「今まで ありがとう・・・ございます・・・
いつも村上さんが買ってきてくれるケーキ・・・ とてもおいしかったです・・・」

「寧子さん・・・ ありがとうございます・・・
みんなで作ったカレーライス・・・ おいしかったです・・・」

「カズミさん・・・佳奈さん・・・ 初菜さんにも よろしく伝えてください・・・
私・・・ 何も出来ないみそっかすだったけど・・・
みんなで過ごした時間・・・ 小鳥は・・・ 本当に幸せでした・・・」

「地球上の……全生命体の中で・・・ 私が一番 幸せでした・・・」

「だから私は・・・ちっとも 悲しくなんてありません・・・」「……小鳥・・・」

『私は千絵ちゃんと約束したんです 悲しいときでも 笑顔でいるようにって・・・』

「……小鳥・・・」「ダメ・・・小鳥ちゃん・・・ ダメ・・・ だって・・・」

「家に・・・ ドーナッツがあるんだよ・・・」「!?」

「小鳥ちゃんのために・・・ 二つ残してあるんだよ・・・
みんなひとつずつしか食べてないのに・・・ 小鳥ちゃんの分だけ二つ・・・」
「……」
「どどど・・・ どうしてそれを 先に言ってくれなかったんですか・・・」

「心残りです・・・ 猛烈に心残りです・・・
ドーナッツ・・・ドーナッツ・・・食べたいです・・・
悔やまれます・・・ドーナッツ・・・ 本当に 悔やまれます・・・
ドーナッツ・・・ ドーナッツ・・・」
「……」

「ドーナッツ・・・ 食べたいけど・・・ もう…… おなかも溶けちゃったみたいです・・・
これでもう・・・ お腹も空きませんね・・・」

「小鳥・・・ 守れなくて・・・ごめん・・・ おれは・・・ 何も出来なかった・・・
ごめん・・・ごめん・・・」
「そんな・・・」

「やっぱり・・・私は幸せです こうして・・・ 私のために泣いてくれる人がいるんですから・・・」


「村上さん・・・ 私をイジェクトしたことなんて 気にしないでくださいね・・・
私を救ってくれたんです・・・ 村上さんには・・・ 本当に感謝しかありません・・・」


お兄様・・・

  ililil|   ilililililil|ililililil//ililililil/./ililil/    | ililililililトililililil  i ililililil  ililililili|ilililili
  ililil|      |ilililili// ilililil/ / ilil/     | ililililil| |ililililil i  |ilililil  |ilililili|ilililil
 ililili|   ilililililil|ilililil/ ,; ililili/ i ,ili/____|  ilililil|_|ililililili i  |ililili  |ililililil|ililili
 ililil|   ilililililil|ililili/ / ililililェェ7 il/ZZZZエエニ=| ilililil|=|ililililil i  |ilililil  |ililililil|ililil
 ililil|   ililililili|ililil/=i ilililリ ̄l ili| ̄      | iililili|:..|il|iilil ilil  |ililili|  .|ilililili|ilil
 ililil|   ililililil|ililil|::_,| ililr'' ̄| il|ェェェェェェェェェェ、|  ilili|:.:.:|ilハili il  :|ilililil   |ilililili|ilil
 ililili|   ilililil|ililil|,;;;;| ili|ィ彡リ|ilイ;:;:;:;:;lllllllllllllll|;:;:|  |il|ミト|il| |il|ili  |ilililil   |ililililil|ilil
 ilililil|  ilililil|ililil|" ! il/ 彡"|ilハ;:;:;:;:;lllllllllllllリ;:;:|  |il゙゙゙゙:::|il| |il|il  |ilililil   |ililililili|ilil
 ilililil|  ililili|ililil|:  | / /.  |/ ヾ;:;:;:;:;;゙:;:";;:;;:;;,;| |||  ,ィ|il| |ilil  |ilililil  ii |ili  il|il
 ilililili|  ililil|ilili|  | {   ̄シ|!_  ヾミミ三三ジ゙ | | || ノミ || |ilili .|ilililil  il |il   i|ilil
 ililililil} ililililil|ilili|  | l    イ ツ>ァ-ァ=----== |:|"|ヽ  | |ilil  |ililil ilili |ilil  ililil
 ililililili| ilililil|ilil|i|  |l    | "      ` ゙ ` || |   | ||il  |ilililil ilili |ilil ililililil
 ilililililil| ililil|ilili| |  |                 | |      | i .|ililil ilil |ilil ilililililil
 ilililililili| ilili|ilili| |: : : |                 ノ  : : : : : : |i i i|lilililililil |ilili ilililililil
 ilililililililヽilililili|: : : : : .                 . : : : : : : :|i i ilililil|ililili|ilili ililililililil
 ililililililililヽililili|: : : : : : : .              .: : : : : : : :|i i ililili|ililili|ililililililililililil

こんな思いをするなら・・・ あのまま・・・死なせてほしかった・・・

お兄様の・・・バカ・・・

お願い・・・ もう・・・ 誰かを悲しませるようなことはしないで・・・


「村上さん・・・ 寧子さんを・・・ これからも・・・」

                                  ヽ、__
.          |:::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::!                 |
.         |:::::::::::::::::!::::::::::::::!::::::::::::::::::::::!           ,ィ .!
           |::::::::::::::::|::::::::::::::|::::::::::::::::::::::l             ∠/ .!
.         |::::::::::::::::!::::::::::::::!::::::::::::::::::::::|_            |
        |::::::::::::::::!::::::::::::::!:::::::::::::::::::::::!_,-、          ,!
          |::::::::::::::::!::::::::::::::!:::::::::::::::::::::::!   `   __  <´
.         |::::::::::::::::!::::::::::::::!:::::::::::::::::::::::!       ,'
          ,'::::::::::::::::|::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::|‐-、__   |_
.       ,'::::::::::::::::::!::::::::::::::!:::::::::::::::::::::::!    `¨`ー'、\
.       ,'::::::::!::::::::::!::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::|           `ヽヽ、
.       ,':::::::::|:::::::::,':::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::!           ``ヽ
      |:::|::::::|:::::::,':::::::::::::::::!:::::::::::::::::!::::| ̄`ー―-、_      |
       |:::|:::::::!::::::|::::::::::::::::::|::::::::::::::::|:::::|   _, -‐'´  `ヽ、_.  ',

「……って くださ・・・」



「……小鳥・・・ 小鳥・・・ 助けられなかった・・・ 小鳥・・・!!」

「おれは・・・!! 助けられなかった!!」


「……怜那(レナ)? お前は・・・ 怜那だったのか?」

「だったら なぜ…… そう 言わなかった? なぜ・・・」

「あなたは そんな身勝手な欲望のために…… 今まで私たちを苦しめたの?
そのために何千人も人を殺して・・・ 私たちに・・・あんなに辛くて・・・悲しい思いをさせていたの?」

「言えるわけがない・・・ もし 小鳥ちゃんがあなたの妹だったとしても・・・
そんな罪深い人を…… 自分にそんな重荷を背負わせた人を喜ばせるために……」

「人の痛みがわからない人間に…… 人を愛する資格なんてない!!」

「許せない……」
千怜(ちさと)に手を出したら・・・ あなたでも許さない」

(黒羽が・・・ ハングアップから回復している・・・)


「あるいは涙でいっぱいの海」

 言葉になりきらない感情と推量考察への逃避が混沌。きっと、当分は呑みこめないまま痞えてわだかまる。

―――鷹鳥小鳥は、最後の最後までタカトリコトリだった。それでいてイチジクレナでもあった……いつから? 孵卵以前、グラーネ覚醒の時点で? それとも良太の脳内彼女・奈波が彼の中で視ているように、彼女もずっと、視ていたのか?

  • 初見からして前フリと容姿からして刺客の疑いビンビンだったことも
  • 疑い倒した挙句に結局シロだったのでトルネード土下座ったことも
  • 16歳の誕生日、千絵姉さんから貰った命を唯一信じてくれた寧子のために投げ出そうとしたことも
  • 本当の刺客を撃退した後に一人で死のうとしたのを寧子良太に説得されて思い留まったことも
  • 爾来、一番疑ってたカズミに度々おっぱい弄くりまわされ親交()を深めたことも
  • 実は仲間内で誰より人命の危機回避に役立ったことも、一方で重大な局面でうっかりしたことも
  • 作者の迂遠大な仕込みにより、不意打ち卓袱台返しを読者に食らわせたことも(小鳥ショック)
  • 甘味に目が無い魔女達にあって、特に食い意地の張った娘であることも
  • 友達が少ない登校組で唯一学年が下のためか、ロクに学校生活の描写が無かったことも
  • 恋愛への憧れからかノートに純愛ラブストーリー()を書き溜めていたことも


―――誰がみそっかすだって? いつか良太が佳奈に言った、お前が居なければとっくに全滅していると。それは殆ど全員に当て嵌まり、役割機能に限らずと、きっと誰が欠けても此処まで……此処まで、は?
 居るだけじゃいかんのか?(京騒戯画10話) 居るだけで、悪いはずが何処にあったか。生かしておく理由が無いなんて、誰が認めたか。


つまり、今回は二つの『終わり』を見せられた訳ですね。地球と天秤に掛けた決断。彼女と所長の妹の『終わり』。

彼女は最後まで約束を貫きました。これこそが所長との違いでしょう。

仲間のことを想える彼女と、仲間を必要としなかった男。

良太くんは仲間を亡くして、所長は生きる目的を失って、地球は変わらずにあります。まるで何もなかったように。

なんと悲しく重い展開……。

 あ、ここで出てくるんだ、正ヒロイン様!?ですよねー、じゃないと、ホント、なんで居るのかわからんほどに空気になっちゃいますよねー、ハングアップから回復するのが早すぎるような気もするんだが、そこはまぁ、仲間の死という怒りからの補正もアリってことでw

ちゅうかこれ、寧子さんが怒りで覚醒するって、絶対、ろくでもないことの前触れな予感しかしないんですけどもw

 ドーナツに未練を感じまくるウザ可愛い生き物の嘆きに、ちょっと素の表情になって呆れてる2人が面白いw

 だが、良太が素に戻り切る前に『おなかも溶けちゃったみたいです』と変な自虐ギャグを入れて、再び泣かせるあたりが、もう待ったなしのお別れモードですね。一瞬、ドーナツドーナツ言ってる小鳥が、Sランク魔女の力を発動させて、転時巻き戻しをブチかますんじゃないかと期待したヤツ、手ぇ上げ!はい、私です(ぉぃ

とまあ、ここまでは良太と寧子とのやり取りについてを語りましたが、ここから先が曲者。小鳥ちゃんと九所長のやり取り。いや、可能性としては十分に考えられましたが、伏線が無かっただけにアレはかなりえげつない。小鳥ちゃんは玲那の人格を取り戻していたのに、それを今際の際になって語る。そりゃあ言えるはずがない、多くの人間や魔女を犠牲にしてまで蘇らせて欲しいはずがないのだから。妹の尊厳を無視し、兄のエゴのためにここまで惨いことをさせられる。「お兄様のバカ…」は、玲那の出来うる限りの抵抗と、最大級の呪いかもしれない。

みそっかすだなんて言うなよ!何もできないなんて言うなよ!
小鳥はそこにいるだけで幸せを振りまいていたのに…。

なんてこった。
これほどまでに取り乱すとは。
やはり私は王道のお別れ展開に弱いようだ。
小鳥が健気すぎる子だということも相まって辛く感じる。
感情移入のしすぎかな。


―――魔女狩りに曰く、魔女の人格はドラシルのものだという。グラーネが覚醒していない為に鷹鳥小鳥の意識は彼女本人のものだとも。研究所の所長に曰く、グラーネは妹の脳を喰わせて培養したことでその意識が宿るはずだったという。そして実際にそうだった、かもしれない。ごく短い間ながら、素体と中の人と、二つの人格が一つの肉体に同居していたのか。

 中の人ドラシルの孵卵(人食い怪物化)と覚醒はイコールではない、と仮定して。他の娘らのドラシルは覚醒済みであるや否や。そして中の人は如何なる故人であったのか。研究所が逃げ切れなかったor生き残れなかった脱走魔女のハーネストを回収していたことから、定期的に「器」を処分して中身を「入れ替え」……それで孵卵がリセットできるかは不明なれど有限資源を再利用していたのは確か。【操憶】が施されている見込みは多分に薄いが、おそらく殆どの魔女は己の人格が施術前とは別物だと知らない・気づかない・教えられていない。スカジ瑞花やフレイヤあたりなら自分で調べられたかもしれないが。
 その辺、(生きていてくれれば)カズミは今後悩むかもしれない一方、己の人間離れに順応している初菜はそう気にしないかもしれない。佳奈は、どうだろうな……予知魔女としては正味Bクラスとしても、何かを秘め隠している……動けば寧子が死ぬ、というのは今まで生命のリンク繋がりを想像していたが―――孵卵した自分に殺されるかもしれない、とか? どうしたって現状、イチジクに仇なす者殺る気満々の真子と衝突するより危険とは思えない上、当分開示されそうもない案件ではある。久々に思い出した極黒の法則、【張った伏線は早々に回収されず、忘れかけた頃に顔を出す】。


 ただはたして、これ以上無いほどの悲憤に衝き動かされている寧子。本来彼女の力ではそもそも真子と勝負にならない、どころか「直触り」でもしなければイチジクを傷つけることさえ叶わない。しかしここで小鳥のグラーネが覚醒した経緯……元から孵卵が近かった疑いこそあれ、運動神経を破壊された所にカズミと初菜が死んだと告げられて―――また一瞬登場しフェードアウトした奈波曰く「ハーネストの第三スイッチを押せば事態を打開できる可能性」「しかしほぼ確実に融け死ぬ」……あれ、孵卵と覚醒はイコールじゃない、じゃない、のか? そして寧子の中の人は、あるいは寧子は中の人なのか否か……かつてありしヴァルキュリア「彼女本来の力」最強の破壊魔法が振るわれる時、其処に居るのは誰なのか。良太は、誰と思うのか。

 あと、結局真偽以前の話だった魔女狩りの「グラーネだけを殺す」手段が、本当にあるとすれば……?


 世界中を僕らの涙で埋め尽くして やりきれないこんな思いが 今日の雨を降らせても
 新しいこの朝が いつものようにはじまる


 そんな風に、そんな風に。ただ、明日を待ちながら。

*1:最序盤で早々に投げ捨てられた人生設計・NASA志望の道を邁進し宇宙飛行士(+結花大勝利)となり、そしてスペースシャトル乗船中に地球外生命との接触事故で重傷負ってサイボーグ化……ガオガイガーだそれ(逃避)。ただし村上良太と黒羽寧子の再会をも無かったことにした場合≒佳奈が予知を報せなかった場合、1話の時点で主人公が岩に潰され死亡⇒脱走魔女初菜以外全滅という可能性も。あるいはクロネコと出会わないor「死なせ」ない所まで改変した場合、彼自身が「何時から」「何者か」により変わってくると思われ。