ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

山田玲司『美大受験戦記 アリエネ』第12話――《試練の石/Touchstone》、《虚空の力線/Leyline of the Void》

改めてコミックス第1巻は1月23日*1発売予定……じゃない?

(第11話の感想はこちら)

※以下の文章は実際のキャラクターと性格・口調が一致しない可能性が多々含まれています。

「はい皆さん、明けましておめでとうございます。今年も『美大受験戦記 アリエネ』をよろしくお願いしますね。。それでは第12話「漫画の線」(1月4日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)の感想をお届けしましょうか。なお今号が合併号、かつ次号(1月16日発売)を休載されるとの事なので、次回は約3週間後となります」
「前回、1巻の発売時には2巻分は出来てるんじゃないかと言ったけれど、そんなことはなかったわ。多分。まあ次回カラー付きという話だしね。ともあれナレーターは私、主役を取られた月岡弥生と」
教え導く役を生徒に取られてばかりの青木でお送りいたします」


「講習三日目の夜、自宅の倉庫から祖父の作品の石膏像を持ち出したバスキアは自室でデッサンを練習していたわ」
「さすがに予備校に泊まる許可は出しませんでした。歌川君は最初こそ上手くいかない様子でしたが、途中で月岡さんのアドバイスを思い出し、アゴの位置に注意して描くようになると少しずつコツを掴み始めました」
「思い出すってどういうことよ。折角教えてあげたんだからすぐさま実践すべきじゃないの? まったくもう」
「まあまあ。彼も光が見えてきたと月岡さんに感謝してるようですし、ここはひとつ抑えて」
「……ふんっ。でもまだまだこれからよ。芸大への道程は五里霧中なんてものじゃないし、ちょっとの光明なんて出遅れを取り戻すには全然足りないんだからね」
「今回はそれを彼に知らしめるエピソードということになりますか……焦りは禁物と言うか、比較対象が高すぎると言うか……それでも目標が目標ですからね」

「そして翌日。遅くまで特訓していた為か、すっかり寝不足でテンションがハイになっている歌川君は講習四日目、デッサン最終日に臨みます」
「同じ現役受験生の池田って娘にも、青木先生にも基礎が向上した事を認められて、少しは可能性が出てきたと思ってる彼は楽しげにデッサンを練習してたわ。正直私にはどうしてそんなに楽しく描けるのか――どうしてその程度のレベルで、今、楽しげにしていられるのかわからないけど」
「良くも悪くも、彼はアートに纏わる多くの事を知らない。恐らくはそれが理由のひとつでしょう。それを今回、彼に明確に突きつけた人物が居ます」
「特待生の東山光河ね。前回1コマしか登場しなかった癖に主役に躍り出て、代わりに私が1コマだけってどういうことか説明を要求したいところだけど……勘弁しておいてあげる。バスキアには、もしかしたら私にもかもしれないけど、必要な事だと思うから」
「……優しい生徒が多くて嬉しいですねえ。そう、光河君も含めてね


光河「今のままいくら努力しても…お前は美大には受からない」


「そりゃあ実力は認めるに吝かじゃないけど、アレで優しいなんて言ったら私なんて聖人君子よ? 予備校の生徒はつまんないヤツばっかだけど、私の邪魔をしない限りは言わせておいてるもの」
「あははは……そういう意味では光河君は弥生君と似ていますね。弥生君はアートに対して高い意識を持っていますが、光河君のそれはもしかすると君以上に高い、かつ受験生としての強固な覚悟と信念でもあるんです。だからこそ、受験の難しさを実感しきっていない歌川君に対して厳しい言葉を投げ、自分の腕を見せつけた」
「それでどうして優しいって話になるの? 力の差を思い知らせた上で「もう俺に話しかけるな……」なんて、優しさから出てくる言葉とは思えないけど」
「弥生さんも言っていたでしょう。必要な事だと。どうしてそれを、他ならぬ光河君が歌川君に教えなければならないんです? 誰もが競争相手である環境で、多分に芸大を目指して誰より受験に真摯に取り組む光河君が、歌川君がこのままでは受験に落ちる理由を説明してくれた。「助言した」と言って差し支えないでしょう。たとえどんなに言葉が厳しく、打ちひしがれた歌川君が思い悩むとしても」
「……そうね。それも優しさの在り方のひとつってことね」


光河「俺はお前が美大受験に対して…本気だとは思えない…」


「これは“私達は知らない事”ですが……歌川君は芸大助教授の速水先生に芸大に入ると宣言しています。そして速水助教授には「血反吐を吐いて這い上がって来い」と言われており……しかし果たして、今の彼はそのように受験に取り組んでいると言えますか?」
「まあ今回、特待生に「そのレベルで……楽しそーに描いてる場合かよ…」って言われて「苦しんで描くものじゃないだろ」って私の台詞丸パクリしてたわね。私の立場上それを否定する理由は無いんだけど……」
「受験に心血を注いでいる者にとって、あまり良い言葉ではありません。ましてや光河君は、歌川君が宣言するその場に居た一人です。あそこまでの事を言っておきながら、と同じ目標を持つ競争相手に内心憤慨していたのかもしれません。意識してのことかどうかはともかくね」
「競争相手、ねえ……確かに同じ専攻で目標も同じかもしれないけど、こと受験で、特待生とバスキアとじゃ勝負にならなさ過ぎない?」
「彼には彼なりに、歌川君に見るべきものがあると感じているんでしょう。弥生君と同じようにね」
「知らないわよ、あんな能天気馬鹿……きっと明日か明後日にはケロっとして歌いながらデッサンしてるに違いないんだから」
「そうですね。きっと乗り越えてくれますよ。私もそう信じてみようかと」
「べ、別に、信じてるとかじゃないんだからね。ちょっと、先生何勘違いしてるのよ!?」
「(スルーして)さてさて皆さん、第12話はいかがだったでしょうか。コミックス第1巻には第9話「アリエネ」までが収録とのことで、今回の話が収録されるであろう第2巻の発売は大分先になるでしょう。だいぶ*2端折ってしまったので、興味のある方は是非スピリッツをお取りくださいね」
「(誤魔化しだか照れ隠しだかを捲くし立てている)」
「(あくまでスルーして)それでは皆さん、次回までごきげんようっ」

(〜幕〜)

(後日付記:第13話感想はこちら)

*1:ソースは作者ブログ。でも扉絵では1月30日頃発売と書いてある。amazonでも小学館でもだ。どっちだ? まあ30日なんだろうけど。

*2:このままだと有が落ちる理由の説明部分。また光河が存外に、漫画について造詣が深いこと等。有って微妙に『バクマン』あるいは『こみっくパーティー』主人公と対照的な所があるなとは私見