山田玲司『美大受験戦記 アリエネ』第14話――《拘束+決心/Bound+Determined》
(第13話の感想はこちら)
※以下の文章は実際のキャラクターと性格・口調が一致しない可能性が多々含まれています。
「よお、みんな……小磯一郎だ。第1巻でとても、とても重要な役を果たしたこの俺を、こんな奴いたっけとか影薄いとか言うなよお前ら。今回だって出てるんだからな……1コマだけだけど。それじゃあ第14話「セザンヌとピサロ」(1月30日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)の感想を始めるぜ。
「あの巨匠バカは無謀にも夢に訊いちまいやがった。芸大助教とどんな関係なのかって。そんなことしたら、後に退けないどころか普通に相手に悟られるだろーが。それ以前に夢は気づいてるのかね? 水菜にゃとっくにバレてるんだからそっち経由で知る可能性は……低いかもな。あいつは歌川のこと面白がってるから」
「けど、もしかしなくても夢の方には好かれてる自覚がないのかもしれねぇ……速水助教のことを話す時の“キラキラしてる”表情なんてのが駄々漏れな以上は。むしろそうじゃないと歌川の突っ込んだ質問に素直に答えられやしない。全部わかった上で予防線張ってるなんてオチじゃなければな……」
「ともあれ、第1話の夢の芸風が速水譲りだったり、芸術の楽しさを伝える上手さを彼女自身受け継いでることを第6話で証明してたり……かつて内に籠もっていた夢を外に連れ出した、その速水自身が心を閉ざしてた所に期せず夢に惚れてる歌川がやらかしたなんて因果があったり」
「つまるところ未だ付き合ってないと知って安心できた、わけないだろうが。安心するしない以前の問題だろーが。変な所で気にされてるけど、全然男として意識されてないぞお前」
「そして明日から講習は油絵だ。やる気出したのはいいが、青木先生に認められたら告白なんて時間制限が間近で目標設定が無謀すぎじゃねーか。あとお前、デッサンの問題は解決してないからな?」
有「僕がみんなと差があるのは…根拠の無い自信にすがって、何も始めなかったツケなんだ……」
「このバカ、バカ巨匠め。 「負けるもんか」って気づくのが遅いんだよ。んなこたあ予備校の受験生なら当たり前だ。「追いついてみせる」? 上等……なわけねーだろ。誰が追いつかせてやるもんかよ――勝ちたかったら死ぬ気でこいってんだ。ライバルだなんて思ってるならな」
「言っておくが俺はアイツの親友なんかじゃない。ありえない未来の話だが、新郎の友人代表でスピーチして二人の出会いを語ったりなんかしない。しないんだからなっ!?」
「嗚呼……それにしても、コミックス第1巻の表紙、地味だな」
(〜幕〜)
(後日付記:第15話の感想はこちら)