《記憶の欠落/Memory Lapse》/『極黒のブリュンヒルデ』第43話
―――キミといる未来の為に。
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―――眼鏡っ娘腐女史のヴィンガルフ新人ツアーをやると言ったな、あれは嘘だ。嘘だと言ったのは嘘だ……半分、いや三分の一くらいは。
ワンダーランド・イズ・デッド
「えっ・・・? ちょっと・・・どういうこと?
私 今日配属されたばっかりなんだけど・・・」
「同じよ あなたも私たちを殺すようになる だからその前に殺す」
ボ ン ッ
バシャッ
ドサッ
「ったく・・・物質的に破壊せざるを得ない状況になるまで逃走を許すなんて・・・」
「一体ここは何なんですか? 今日1日で2人も人が死ぬところを見ました
さっきまで話をしていた人が・・・こんなの 絶対普通じゃない」
「黙れ」
「普通かどうかを決めるのはお前じゃない
新人の分際で 自分の配属先が想像と違うからと拒否が出来るとでも思っているのか
上役に対する口答えは自分のクビを賭けて言え 賭けられないのなら黙ってろ」
……ううむ。当方が前回、先々週に書き連ねた予想は大方外れるに至った。推定“スカジ”と思われた重力の魔女、土屋邑貴腐女史を殺す直前で上半身丸ごと消し飛ばされる。これが「魔女を扱うプロ」の超技術*1か……如何に強力な力を振るおうとビーコンの縛りがなかろうと、肉体強度は人間と変わらない以上、回避不可・魔法防御不可の一撃を叩き込む事が最終手段(ハーネスト&中身が回収できない為)なのな。しかしこの連続変転はどこか既視感が……嗚呼、奈波登場⇒捜索開始⇒速攻反乱⇒良太退行⇒してなかった、の流れに似てるのか。読者の振り回し的な意味で。そして奈波をイジェクト死へ追いやった元祖変態黒服が2ヶ月ぶりに登場。よく無事だったな(失態的な意味で)、頭の中身は大丈夫か?(記憶的な意味で) 自力・時間経過で戻ったか、【操憶】魔女が別に居るのか……あの日、良太と小五郎以外の全員から奈波が消し去った記憶が、取り戻せる可能性はさりげに大事だが、さておき……新人に対し極めて高圧的な態度だこと。かつて自分が同様にぼっちからスカウトされたとは思えない配慮気遣いの無さ。この場合のクビとは物理的に首が飛ぶ可能性もあるし、自分がそうなりかけたせいかもしれんが。読者はお前の間抜けな城ウォッチャー姿を忘れてねぇからな! やはり故・人事部宅間のような水先案内人は必要だった、のに惜しい人材を亡くしたものだ……合掌。
さて、一連の事件があろうとなかろうと邑貴女史がヴィンガルフの新人として働く未来に変わりは無かった。ならばその出会いと死にどんな意義が含まれようか。「私たちを殺すようになる」という魔女の言葉、また彼女を殺した黒服の応対が、国家的秘密研究機関に配属された女性研究者の胸中に如何な種を蒔き、それが何時芽吹くか……現状では寧子に受精卵と端末を託した茜女史の二の舞くらいしか想像できんが……そもそもヴィンガルフの上は「2年間外出させない」だけで機密を守れると本気で思っているわけではないだろう。その2年でド素人新人の精神にどんな変化を齎すのか、これからの邑貴の心情、または直近の先輩描写などで見せてほしいものだ。
みくらす氏、あなたが予知能力者か。そして失われゆくもの。
やっぱり嫉妬のネコさんかわいい。
初期のような歌を歌うネコさんにも再登場願いたい。
最近はクールキャラになってきているので、はっちゃけてほしいところ。
「ラララ全然悲しくなんかない〜
誰が誰と間接キスしようが気にしない〜間接キスなんてキスのうちには入らない〜全然気にしない〜
私は全然気にしない〜全然全く何も気にしない〜」
(超気にしてるじゃないか・・・)
(だいたいなんであいつが・・・おれとカズミの間接キスのことなんて気にしてるんだ?)
「歌うのが好きなら・・・試験が終わったらカラオケでも行こうか」
「 えっ? カラオケって 何?」ドクン
「カラオケ・・・行っただろ? クラスのみんなと・・・」
「えっ!? あ・・・ああ!! 行った行った! 水が入ってない桶でしょ?」ダラダラ
(いつかこうして・・・忘れてしまうんだろうか・・・おれのことも・・・
クロネコにまた・・・忘れられてしまう・・・)
「え? ちょっと・・・村上くん? 村上くん・・・どうしたの? 村上くん・・・」
―――なんというか、あれだな。矢印が完全に寧子(クロネコと同一人物と気づいてる)に向いてる一方、自分が寧子(クロネコとしての記憶を無くしてる)に好かれてる自覚が無いのだな。そのクセ、記憶の虫食いに直面して思わず抱きついてしまったり。もげ……と言い切れぬ程に辛苦。今回たまさか話題に出た部分が失われていた*2だけで、出会う以前・出会ってからの記憶を他にも忘れているのかもしれないし、これからも魔法を使う度にそうなる可能性があるのだ。直近の使用が嫉妬心から来る暴発というのがなんとも言えないが。
歌って発散してる所を良太に見られ、貰ったペットボトルが飲みかけだと気づいて、1巻2巻あたりに回帰しつつ赤面に次ぐ超赤面かわいい寧子さん大勝利……とは決して言えない物悲しさ。もし“明日”を繋げられても、“昨日”を失い続ける―――答えはもう、1巻に出ているのだが。出ているのだけどっ。岡本倫のドSめェ……記憶操作を受けながら人格の本質を失わずに奈波の心を掴んだ時とは逆の、来ると判っていた痛みの、直面。
リ・チュートリアル
「もう聞いているとは思うが ここに配属になったら2年は外に出られない
ここでは絶対に知られてはいけない研究をしているからだ」
「それがさっきの『魔法』ですか?」
「話は最後まで聞け!!」
「いくらなんでもオーバーテクノロジーが過ぎます
あんなのもう超能力じゃないですか
ミッシングリンクの一つや二つじゃ説明できない
一体どういうことですか?」
「いい加減黙れ!!」
「……我々は みつけたんだ」
「なにをですか?」
「地球外生命体の遺跡だ」
「来なさい 再生した彼らに会わせる」
はたして、すぐさまイチジク所長に引き合わせられ、更には再生宇宙人をも見せられるという土屋邑貴。ヴィンガルフの新人は(魔女脱走事件は除き)皆同じ様な経過でインパクトのあるパンチを喰らわせ、もう後戻りは出来ないぞと脅しつけられるのが慣例なのだろうか。それとも想定外の遭遇があった邑貴へ口止めする為の特別措置なのか。
そして「再生した地球外生命体」。これは暫し前に小鳥が話した、合成に失敗した内臓と筋肉だけのヒトガタの肉塊のことなのだろうか? またそうであるなしに関わらず、やはりヴィンガルフでは遺跡から発見した細胞やらから「宇宙人」の再生を行っている事になるが……ならば彼らが滅ぼすべき「神」とは一体何を指しているのか……ようやく年末年始の連続隔週を過ぎ、生殺し地獄から逃れても尚、極黒ワールドが謎に満ち子細不明極まることには何の変わりもないのだった!