ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《ディミーアのドッペルゲンガー/Dimir Doppelganger》、《ヨーグモスの眼/Eye of Yawgmoth》/漫画『戦闘破壊学園ダンゲロス』第15話+外伝

「ようやく現れたか・・・・貴女を待っていた・・」
「私も・・・・呼ばれているような気がしたの・・」

 月刊ヤングマガジン掲載『戦闘破壊学園ダンゲロス』。第2巻からの直行の次々。一挙二話掲載である―――またしても、またしても「すんドめ」でしたッ! いやさ、違う意味では寸止めには「ならなかった」とも言えるが、本当いつになったら始まるんだ両陣営の集団戦闘……。


外伝:Succubus × Incubus

……それは天音沙希がミス・ダンゲロスとなった一年前の文化祭の裏で起きていた事。学園敷地内に通じる大橋を堂々渡り来る一人の男。鏡子の記憶に鮮烈に刻まれ、ハルマゲドンの渦中にあって人殺しを躊躇わせた存在。


「“転校生”か・・噂では次元の違う“強さ”を持っとると聞くが・・・・本当のとこはどうじゃろうな・・」
「貴様らもお呼びじゃないぞ・・・・!! 今 僕は忙しい・・・・!
見逃してやるからとっとと消えろ・・・・!!」

「言ってくれるのうド正義・・・・! わしらも希望崎の生徒じゃ 祭の参加する権利はあるはずじゃろうが・・」

「それにの 生意気な“転校生”は・・「番長グループ」にシメられると相場が決まっとるんじゃ!!」
「ふん! 好きにしろ・・! 死んでもしらんがな・・・・!!」


 対応に出たド正義・邪賢王含む8名の生徒会番長グループ混成8名の魔人達を、ド正義を皮切りに瞬く間に圧倒し、少なくとも半数が死亡。そして彼が待ち望んだ相手が現れる……。


「これ全部あなたがやったの? ひどいね こんなにしなくてもいいのに・・・・」
「“転校生”は手加減ができない 邪魔をするなら殺すしかない」
(でも・・・・ド正義会長だけはやられ方が皆と違う・・・・! あの・・体の周りに溜まった液体はまさか・・・・!)
「ひと目見ただけで理解するとは・・・・やはり貴女はモノが違う・・」ジイィィイ
「お察しの通り・・彼に限っては股間を撫でたに過ぎない・・・・そう・・僕も貴女と同じ“淫魔人”・・・・!!

そして・・貴女が好きだ 正々堂々・・勝負しよう・・・・!!」


「どうして・・泣いているんだ・・・・?
キミは・・“転校生”から学園を守った・・・・そんなキミがどうして泣くことがある・・・・?

「……わかりません……ただ ただすごく・・・・」
(気持ちよくって・・・・ずっと・・・・)
「私に素晴らしい快楽を与えてくれた「彼」の記憶は・・・・きっと私の中で永遠に生き続ける・・・・」
(それがすごく・・うらやましくて・・)
「でも彼は・・・・もう私のことを思い出したくても・・・・思い出せないんです・・・・」
(それがすごく・・悲しくて・・)

「私が・・殺したから・・・・!」
(だから 涙が・・止まらない・・!)
(だから・・もう二度と・・・・私の能力で・・人は殺さない・・・・)


―――イイハナシダッタノカナー? 転校生の“恐らく能力に関わりない”隔絶した強さ、二人の淫魔人の筆舌に尽くせぬ決闘、それを制したことで永遠の訣別を刻んだ鏡子さん……前回と、また連続掲載された15話に挟まる外伝としては多分にこれ以上無く。あと今回だけ見れば全く悪人に見えないド正義会長は二人の淫魔にやられたい放題だったね! 合掌。


本編:The Mind Flayer

「約三十秒後に送ります 電話一度切りますね」

「ようこそ」
(!? “転校生”・・!!)シュパッ
「ごめんね バイバイ」ズル・・・


『あれ? 先輩? もしもーし? もしもーし? 聞こえてますかー? センパーイ?』
「!! ユキミ!? ちょっと!!」
(何ィイイイイイイ!? こっ・・これは・・!?)

『携帯を使ったな? まんまとッ “転校生”ぇええええ!!』

(なんだこいつは・・!? ここはどこだ・・・・!? いつ引きずりこまれた・・!?)
『逃げようとしても無駄だぜぇ!? この電脳空間で自由に動けるのは このオレ XXしかいねぇんだよぉお!!』

「これは・・! 外部から攻撃を受けている・・!! 0と1の羅列・・・・! 電脳攻撃ね!! だとしたら怪しいのはこの携帯・・!!」
『せっ・・先輩 何かあったんですね!? すッすぐに戻ります!!』
『ぐっ・・くっ・・くろ・・すず・・!』
『もう遅ぇえ あとちょっとで圧縮作業は完了だぁあ! 仲間が植物人間になってく姿を 指くわえて見てやがれぇえ!! その後はてめぇの記憶領域から“転校生”の秘密をじっくり探ってやる!! 誰も解き明かせなかった“転校生”という存在の謎を!! オレが暴いてやるぜぇえ!!』
(ムーを待つ・・・・!? いや きっと間に合わないわ・・・・!!)

(そして あわよくばオレがっ・・ “転校生”にッ!!)ドッ

(・・・・ちっ・・・圧縮作業の途中に強制終了されたか・・・・身体への影響は前後の記憶障害のみ・・・
運の良い野郎だ・・・・だが・・・・次は 必ず・・・)

「………ふーーー・・ いただき・・ます・・・・」ハグッ

(うげぇえええええ!! まっずうううぅうう!!)

(グロ映画見ながらプリン食べるのがっ・・全然平気って言っただけなのに・・・・!!
なんでグロとプリンを融合させちゃったのよ・・・・!!

あぁ〜〜 もう なんであたし・・・こんな能力になっちゃったのよ〜〜〜〜・・!!)

「さぁ―――見えるぞ・・・・!! これが今の「生徒会」陣営の状況だ・・・・!」

「彼が生徒会長のド正義卓也くんか」
「あっこれ 僕が殺した二人の死体ですよ!!」
(なるほど 確かに息子だ。克也さん(・・・・)によく似ている・・)
「ってことは こっちの娘が。あゆ(・・)・・さんかな?
二人がしきりに気にしてたんですよ あゆ(・・)さんのこと!」

あゆ(・・)・・・・か・・・・“男”だけを殺すウイルス能力者の名も確か・・香魚(あゆ)だったな・・・・」

「……あっ・・! 見つけたわ・・「番長グループ」の子たち・・!」
「やはり 役者が揃いぶみだ・・! 開戦を記念して一緒に朝メシでも食べるのでなければ・・・・まぁ戦争だろう・・ ムー 友釣の拉致はいつでもできる

それより これは絶好の機会だ・・・・!
精々 両派に潰し合ってもらおう
オレたちで お互い良い勝負ができるよう 手を貸してやった上でな・・・・!」


 ラスト煽りは“次号、「生徒会」VS「番長グループ」、空前絶後の潰し合い……!!” 今度こそ、今度こそ正面衝突しますよね!? と焦らされ過ぎて我慢○が……っ。

 はたして15話は「転校生達の極めてご無体な能力」の紹介回にして、それを用いた両陣営への介入手段の確立が描かれた。また前回ちと懸念した通りに、携帯で連絡を取り合っていた所を生徒会の電脳魔人XXに攻撃を受けたり*1もした。それも「転校生」という存在の重大さ強力さを顕している。あとUFOに攫われた鏡子が一瞬で落命、両性院の祈りも虚しく……合掌。

 狙った相手を問答無用でUFOアブダクションする【木曜スペシャル】、魔人の脳プリン(曲解)を喰って能力を行使する【XYZ】に、魔人能力の射程制限を取っ払う【有無】。いずれも強力でいながら、他者の存在に依存している(連携しての集団戦に適する)とも言えなくも無い能力である。普通の魔人なら、その方向性ゆえに純粋な身体能力戦闘力は低いとかいった欠点もありそうなものだが、残念ながら彼らは「転校生」―――外伝の彼と、本編の描写から総合するに、“魔人能力とは直接関係無しに”*2そこいらの魔人を皆殺しにできる戦闘力を誇る。彼らが両陣営に直接ぶつかろうとしないのはユキミの慎重さ、60人からの魔人の中に力押しでは抗し得ない能力や初見殺しが居る可能性を考えてんことに過ぎない。実際に【災玉】友釣香魚が居る……というかユキミは最初からその存在を知っていたようでもある。ド正義生徒会長の父とも知己らしいが、その意味はなんとも。少なくとも彼らが甚だしく隔たった異世界からの来訪者ではなく、其処には香魚とド正義克也氏が存在した、と。

 閑話休題。色々と黒鈴嬢の精神的に問題はあったものの、鏡子の魔人能力は一時的に彼女のものとなった。三人の生徒会魔人を速攻で無力化したその力を、射程範囲を全校に拡大した上で、激突する両陣営の男女に使われたら……阿鼻叫喚というか血液以外も体液が飛び散りまくりというか―――あ゛、そうだった。鏡子の能力はあくまで遠隔視と鏡を介した接触のみで、男女問わず悶絶させる絶技は純然たる本人の技術なのだった。ホッと一安心……でもないか。如何に能力と片手を封じられていたとはいえ、背後から不意打ちだったとはいえ、触れられたら一撃必倒の業を持つ鏡子の首を黒鈴は苦も無く切り落とした。転校生としての腕力と鏡子の能力+ユキミの能力を合わせれば、校内の誰にだって同じ事が出来ると見て相違無かろう。もう彼女だけで魔人生徒を皆殺しに出来るんじゃないかな……黒鈴のナイフ攻撃に耐える防御力を持つ相手(邪賢王さん♂)、ナイフが届かない場所に居る相手(XX精神体)とかその限りでもないか?

―――ところでだ。転校生が“能力とは無関係に”超人であるということは……ひいてはその転校生と“能力を使わずに”決闘し、超人の彼を文字通り昇天せしめたということは…… 「宇宙一⇒平行世界イチ巧い」鏡子のゴッドフィンガーこそが最強だったかもしれないということだろうか。最早なんともならん推察ではあるが。本編後の宣伝頁、謎の転校生がダイイングメッセージ書いてて―――おばあ―――!!?? 異界からの旅人、平行世界の子孫……マジか。なんという最強(最凶)の血筋。

「大丈夫ですよ! その娘 遠隔視能力者なんですから! 他に何か強力な能力があるとは思えません!」

 ムー、君の考えは間違っていた。その慢心が己に跳ね返らなくてよかったね……本当よかったね。

*1:もしもユキミじゃなくムーを狙ってれば目的は遂げられたかもしれないね……次の機会があるかもわからんし。

*2:地上最硬の眼球を容易に粉砕し、音速の体当たりを直撃して傷ひとつなく、林木の天辺から森の中で淫行に及ぶ鏡子の手元を道具もなしに覗き込むなど。