ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《剣の踊り手/Sword Dancer》/漫画『戦闘破壊学園ダンゲロス』第16話

(・・・・白金先輩・・・・あなたは今・・・・どちらに・・・・?)

 月刊ヤングマガジン掲載『戦闘破壊学園ダンゲロス』。第2巻からの直行次々の次。

(やられたッ・・!! 作戦を読まれていた・・・・!! だが・・・・ッ!!)
「怯むなッ オレを信じて進め」

(そうだ・・・・!! 馬鹿みたいに突っ込んで来い・・・・!!
この狭い渡り廊下を・・・・!! 一直線に真っ直ぐな・・!!)

 焦らしに焦らされ、丹念に重ねられた準備暗闘を経て、遂に……遂に。度重なる「すんドめ」を越えて。


(白金・・!! “女”になり果てた貴様如きに!!
このオレのハンマーが捌けるか!!)

(相手が悪かったな・・!! 範馬・・・・!!)


 番長グループによる早朝生徒会室襲撃。二手に分かれて東西の渡り廊下、副番長・白金翔一郎が率いて進む西、其処を守るは竜巻ムロフシ独楽の如き範馬慎太郎。先月の外伝で「転校生」迎撃に参加するも必殺のハンマーを容易く砕かれ、しかし幸運にも生き残った。一撃の貫通力破壊力は両グループでも突出し、直線の戦場に最適の爆裂砲台。


「肉塊と化せ!! 白金!!」【ミスバスターズ】!!
【秘剣・鏡面殺】!!

カ ン ッ

なっ・・ なにィィィィイイイィ!!!?


……ハート様バルさん曰く、魔人同士の戦いは「一撃必殺」。能力の相性、紙一重の差が生死を分ける。跳ね返った攻撃の威力を見るに、まともに受ければ番長グループ側が全滅していたという白金の言は真であろう。瞬殺だったのは事実だが、鎧袖一触というわけではなかった。
 要は、本当に一瞬の交錯でもって一戦目が決着してしまったという。まあ総員ハーレー突撃なんて状況で“のんびり”飛んだり跳ねたりする暇も無かろうし、双方ともに可及的速やかに相手を撃滅する気満々……下手に猶予や隙があれば致命的だという考えなのだろうが。

―――閑話休題。そう、待ちに待った両軍激突だが、今回の話ではサブなのだ。

 一刀両(いとり)ちゃんエロ可愛い。もとい、一刀両ちゃん可愛エロい。さすが戦闘破壊学園、剣道少女も素敵な変態加減。ベクトルは違えど先月外伝の“淫魔人”同士の決闘を彷彿とさせる。


殺×愛 -きるらぶ-』

「先客か 驚いた どうした? 今日は随分早いじゃないか 一刀両(いとり)
「女子・魔人剣道部の主将になったからといって 一刀両 
こんなに早くからきてはりきる必要はないんだぞ?」

「あ あのっ・・違うんですっ 私っ その・・・・白金先輩を・・
その・・っ まっ 待ってました・・・・」
「オレを?」
「先輩・・・・あのっ 私・・・・っ あの
私と・・・・もし よかったら・・っ」

「よかったら?」
「あのっ・・・ あ 私っ・・その・・っ わ・・」

「私とッ きっ 斬り結んでくださいっ!!」


「「斬り結んで」ほしい・・か
そういえば毎日同じ道場で稽古しているが お前と立ち合うのは初めてだな」
「念のため訊くが・・・・「生徒会」からオレと勝負してこい と言われたワケでは・・・・」

「いっ・・いえ! 「生徒会」とは全然関係なくてっ・・・・!
そのっ・・これは 私の個人的なお願いおで・・・・! あの・・・・」

「フフ・・ならばお相手しよう
竹刀でいいんだろ? まさか真剣で斬り合いたいなんてことは・・」

「あっ・・・・! はいっ あの・・・・! 竹刀・・でも大丈夫です・・・・っ
でも そのっ・・」

「いっ・・一刀両をっ・・・・! 殺すつもりでお願いできますか・・・・っ!!」

(今日も凄かったな・・あの燕返し・・・!
あんな剣 本気で打ち込まれたら・・絶対捌き切れずに殺されちゃう……)
(でも・・・・でもきっと・・白金先輩と 本気で斬り合えたなら―――・・)

(きっと すごく気持ちいい――――――・・!!)

(はっ! ダメダメダメ! なんてこと考えてるの私! そんなはしたないこと 絶対ダメ!
いくら私が 全力を出して 気持よくなったって・・・・
私が相手じゃ白金先輩が(全力を)出せないもの―――!)

(白金先輩も 私と同じように・・・・(全力を)出したいって思ってたりするのかな・・・・?)

「どうした服部!! 殺すつもりで本気で来い」
(!! 殺す つもりで・・・・!!)

(そうだよ・・! 私も白金先輩も 相手が死なないように 手を抜いてる・・!
ってことは 「私は殺されても構わない」って伝えれば・・・・!
白金先輩にも本気を出していただける―――!!)

「ははっ! なーーーんだっ あはははっ! 簡単なことだった!」
(尊敬する先輩と一緒に―――・・!
お互い(本気を)出して―――・・
一緒に気持ちよくなれる―――・・!!)

「先輩・・・・私・・・・負けたんですね・・・・」
(当然だけど・・・)

「うむ・・ だが なかなか良い太刀筋だった
お前は強かった・・! 誇っていいぞ・・・・!」

「いえ・・ダメなんです・・」
(白金先輩の剣を受けて・・・・こんなに軽傷でいられるはずがない)
「先輩・・・・先輩は・・何割の力で・・私を・・・・」

「…………そうだな・・ オレも全力の・・・・八割は出していた・・・・」

「やっぱり・・・・先輩・・私では・・私では・・本気は・・! 出せなかったんですね・・!!」
(私は先輩を・・・・気持ちよくさせてあげられなかった・・!!
自分ばっかり気持ちよくなって・・・! なんてはしたない・・・・!! 先輩を満足させられなかった・・・・!!)

(いつか・・必ず 本気を出させてみせます・・・・!! いつか必ず・・本気の命の殺り取りを―――・・!!)

―――そして、現在に至る。


(ダンゲロス・ハルマゲドン・・!! その舞台が整った・・・・!!
今度は竹刀じゃない 真剣での戦い・・・!! 能力も使う・・! 本当に本当の真剣勝負・・・・!!)

(白金先輩・・・・一刀両は 今度こそ本気を出させてみせます・・!!
だから どうか・・どうか先輩・・・・!
どうか・・・・! 東渡り廊下(こちら)に・・!)


――――――あっ・・(察し)


 保健室の場面は、ただ同じ部活のナイスガイ先輩と彼に憧れる少女の図なのに……どうしてこうなった(イイハナシダッタノカナー)。魔人学園だからさ。逆に言えば、魔人学園であっても平時ならこういう青春風景が起こり得たということ。邪賢王さん率いる番長グループなんて「普段は」一緒に昼飯食ってただけだしな。
 一刀両ちゃん可愛エロい(大事な事だから以下略)の性癖については……まあ何の仕掛けも無く爆裂する千度回って威力千倍のハンマーにしても、鏡の概念で反射する斬艦刀が「あくまで剣術」にしても、『いや、その理屈はおかしい』という按配なのだが―――その「おかしな理屈(自分だけの現実)」を現実に喚起せしめる能力者をして魔人と呼ぶのが本作だからしょうがない。この理屈も若干おかしいかな。
 ともかくも一刀両ちゃん可愛エロかったしエロ可愛かった。その願いは、きっと叶わないのだろうけども―――


 はたして、跳ね返り大爆発した煙幕の向こうから放たれた「何か」が、咄嗟に構えた刀をぶち折って白金の胸を貫いた……残念無念、また来月という引き。彼(今は彼女)がどちらに来るかは、剣道少女からすれば運だったろうけど……内通者が居る以上、ドS(正義)生徒会長はそれが確実な勝利に繋がるとなれば、「尋常に真剣勝負」などやらせやしなかっただろうね。来月は生徒会の戦術が番長グループを追い詰めるターンとのことで白金の安否、また邪賢王ちゃんらが如何に耐え、打破せんとするのか……。