ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《堕落した良心/Corrupted Conscience》/『極黒のブリュンヒルデ』第51話

(前回感想はこちら)
(第1〜3話の無料閲覧はこちら)


―――毒に、呪われ。魔が差し、禍つ、歪む想い。

……なんと言ったものやら。前回、大仰に「信じる」とぶち上げていながら、不安で一杯だ。それを掻き消したくて、良太がなんとかしてくれる筈だと全力で主張したい所でもあるが……此処で一週休みと来た。これまでに何度もあったが、その度に思ってしまうわけだ。鬼かとドSかと。

 100%の「実現」率を誇るAAAランク予知魔女【スカジ】こと瑞花は、その最後の力を使ったことで遭えなく死す。肉体が滅びた後、彼女の魂の行く先は未だ不確定の霧中。ただ、予知夢の中で交わされた言葉が、その現実を生きるカズミに絡みついて……。


Rewrite

「カズミ どうしたんだ? 遅かったじゃないか 外で なにかあったのか?」
「あんな・・・村上…………別に なんもないわ」
「……そうか ならいいんだけど」
「ちょっと風邪ひいたかもしれん 先 寝てる」
「ああ わかった おやすみ」

「そうだ小鳥 今日のうちに聞きたいことと 試したいことがあるんだ」「えっ?」
「……村上さん どうしたんですか?」
「ん? 何が?」

「何がって・・・村上さん めちゃめちゃにやけてますよ?」



          ,      /〃ハヾ  / ∧∨〃、ヾ} l| :}ミ;l\
        /〃// / 〃l lヽ∨,〈ヾ、メ〈 }} ;l リ ハ l`!ヽ.
          //' /,'  ,' 〃 l l川/,ヘ丶\;;ヽ/:'/〃∧ l ト、:l !
         〃,'/ ;  ,l ,'' ,l| レ'/A、.`、\;;ヽ∨〃/,仆|│l }. |、
         i' ,'' l| ,l ' l. !| l∠ニ_‐\ヽ;\,//,イ| l | l ト/ λ!   、
.        l ;  :|| ,'i:/ l| |:|: |``'^‐`ヾ∨`゙//|斗,l ! | ,タ /l.| l  三__|__
       l ' l |」,' l' lハ |'Ν    ̄´ /` ,|l_=ミ|! ly' ,〈 :|| |  口 |
        |l .l H|i: l | ゙、| l        _.::: ,!: l厂`刈/ /!} :l|    ‐┬‐
        |! :l |)!| ! |  ヽ      '´ ’/'_,.   ノイ.〃/|!    │田│
        l|l |l 「゙|l |`{             ..   _   |}/,ハ l     ̄ ̄  
       |!l |l、| !l :|.      ‘ー-‐==ニ=:、__j:)  l'|/|l リ    、 マ
ヽ ̄ニ‐、__.」乢!L!lヱL」__           ー、 `'''´   从「 /     了 用 
 \ `ヽ\      /l |       / ̄´     //        '"`ー‐
.  ,、  l  ゙、    / ' |、      {        /l/         ,
   '}  l  ゙,    /   |:::\      }     ,.イ/          レ |  
   l  l   l  ,.イ   l:::::::::\__   `'-‐::"// |′          ノ
   l   !   K ヽ,、 \「`''''''''"´:::::::;;:" //          
.    l   l   ト、\( _.... ヽ  .:.::::::::;;″ /'       _    
\   |  l|  八、ヽi´    | .:.:::::::::::::i' .:/'"´ ̄ ̄ ̄ ,.へ\

それは、こんな顔かい? 小五郎の方が似合いそう(偏見)だが……甥叔父だしなあ。


「やっぱ村上に・・・今 起こった事を相談した方がええんやろか……いや あかん」

「最近 寧子達と一緒に過ごすようになってから 私 おかしくなってたわ
今までずっと 1人で決めて 1人で行動して・・・自分の身は自分で守ってきたのに・・・
こんな 自分の命が危険にさらされてる今も まだ村上に頼ろうとして・・・考えられへん・・・」
同じ境遇の連中と一緒におったから 平和ボケしてたんやな その結果がこれや」

「心を鬼にせんとあかん 死ぬのは自分なんや
……すまんな 小鳥……」


“カーテンを全開にしろ
なにがあっても 山荘から出るな”(New!)

「……これでいい」
「ん? なんや寧子は・・・机の上に置きっぱなしかいな・・・」

「黒羽寧子さんを 明日夜12時に 山荘へ行くように仕向けてください
それで 黒羽寧子さんは 山荘で死にます
そして あなたは 村上さんの子供を産むことが出来ます」

「……」ブンブンブン

「アホか アホか!! そこまで出来るか!! 自分の欲のために・・・!!」


『カズミ』
「なんや?」
『昨日の夜中に また予知が変わった』「えっ?」
『良かったわね あんたは死なない』*1「……」ダラダラ
「何やて!?」
『何 怒ってんのよ』

「……てことは やっぱりあの子・・・ホンマのこと 言うてたんや・・・」
「あの子って 誰?」
「なっ・・・なんでもない!! 独り言や!!」

「それじゃ もう安心して・・・」「ダメだ」
「相手の狙いはカズミだけじゃない 他の誰か もしくはお前たち全員だ
それに佳奈は2日より先の予知は出来ない 今日捕まって3日後に殺されるかもしれないんだ
だから 本来カズミが殺される予定だった今日の深夜までは 警戒を続ける」

「ででで・・・ですよねーー!!」


「ねぇ 村上くん やっぱり 私はカズミちゃんについていた方がいいと思う
襲われたときに戦えるのは 私だけだと思うから・・・
私が敵をやっつける」*2
「……」
「心配するな おれにはおれで考えがあるから
それに・・・ おれはもう お前に魔法を使って欲しくないんだ

黒羽に・・・おれのことを忘れて欲しくないから・・・」

「……それは 大丈夫

私は もう何があっても・・・村上くんの事だけは 忘れないから」


*3「……やっぱ 別にええかな・・・」


「なんやこら・・・寧子にも また訳のわからん指示を・・・」

“夜12時までに山荘へ行って 小鳥と合流しろ”

「堪忍してや・・・寧子・・・」


(;0w0)<オンドゥルルラギッタンディスカー!!

……良太から寧子カズミ小鳥に託された三通の手紙。研究所側の行動、また瑞花の「干渉」次第で臨機応変に対応できる指示では、という曖昧な想像はあったが……その指示内容自体が書き加え(書き換え)られてしまった。なんという悪辣―――そして思い余って本当にやっちまったのがカズミ。しかも自分が(少なくとも予定時刻には)死なないと出た直後に、どう見ても私欲嫉妬でもって。メタなことを言うとだ、サバイバル系の物語でそれは、一時は良くても非常に危険なフラグだ……。
 よしんば今回の件がある程度無事に済んだとして、今後はどうするという懸念もある。完全に自分可愛さで同胞を売った事が、たとい誰にも気づかれず誰にも追及されず、あるいは許されても、心理的に大丈夫なのかと。問題点は良太に告白してしまった事と似る。その処理を「永遠のお別れ」でもって「流す」ことが幾度と無く行われてきたからこそ、「死亡フラグ」と呼ばれてしまうわけで……逆に言えば、この問題をカズミの死以外の方法で解決できるのならば、それは寡聞にして「まだ見た事の無いもの」だ。異論は認める。

 閑話休題。実際問題として、如何に切り抜けるかという方に戻ろう。もしかしたら……否、ほぼ確実にそうだとは思っているが、どこまで読み切った上での事は確信できないが……手紙を用意した事、その内容に誰か*4が手を加える事は良太の計算の内なのではないか? と。要は、「未来の人間に話しかけて干渉できる」瑞花の干渉経路をこちらから用意してやったのではということだ。元からの内容も危機打破の為の策には違いない*5だろうが、そこに干渉されても大丈夫な作戦を練っている……はず。具体的にどうやってかは全然わからんが……小鳥に何事か確認した際のにやけ面とやらからして、天文台の外に出ていたカズミに瑞花からの干渉があったことは察しているだろう。1人になったところに瑞花を釣り出すために前々回カズミが落ち込むような言い方をしたとしたら後日屋上な。「やっぱり寧子の方が心配なんだ」と思わせるような会話も聞いてると知ってて、あるいは何時聞かれてもいいようにそういう態度を貫いていたとしたら(ry

 ヴィンガルフの狙いがカズミだけでない、瑞花がカズミを殺す未来を実現しようとしている訳ではない事は察知している。小鳥をその場で殺さず捕らえようとしていることも。その上で、現時点で良太が想定し得ない部分はあるか?

  1. 夜12時に山荘に行った寧子を殺す、特殊部隊以外かもしれない何者か
  2. 鎮死剤に連なる物質をもう自分たちが手に入れていること
  3. 瑞花に示唆されたカズミが改竄する内容?*6
  4. 病み気味カズミの女心(重要)


……なんかまだ穴がありそうな気もするが、大丈夫だと「思いたい」。つまるところ、当方は良太の作戦について心配していない。作戦が奏功し全員無事に済んだ後のこと(主にカズミの心情面)を心配しているのだ。あるいは作戦が上手くいっても想定外の要因(ヘクセンヤクトとか)でカズミが害されやしないかと。随分前に思ったことだが、異能物でありながら回復魔法の使い手も無く、スイッチひとつ押されれば即死の身の上。本当、一瞬の油断が命取りなわけだから―――信じていても、不安は不安のままだった。まったくもって繰り言。このタイミングで2週待ちとは、つくづく。
不意に思うのは、神話伝承とか悲劇とか、この手の色恋擦れ違いが問題をややこしくして結末をエグい代物にするという先入観。おもむろに『ブリュンヒルデ』というタイトルに、物語が沿うてきたか……? と。

「ウソつけ」「えっ!?」
「お前 こないだ奈波に記憶をいじられたとき おれのことなんかすっかり忘れて襲いかかってきたじゃないか」「それ何の話!? 奈波って誰!?」
「ああ…奈波の記憶はないんだったな…」

 ところで、この会話が脳内彼女の再登場フラグとなるや否や。奈波が良太に何らかの入れ知恵をすることが瑞花の予知を覆すとは思えず、それを込みでも予知は実現するのだろうが……やはり問題は予知が成った後のことだな。捕まる公算の高い小鳥を救出するにしても、一先ず危険から遠ざかろうしている(同時にダークサイドに真っ逆さまの)カズミを真に安んじるにしても。

―――結果良ければ全てよし、と飲み込みきれない性質で。はたして全部終わった時、良太を殴りたい気持ちが残ってるかどうか……神のみぞ、いや瑞花は知り得ただろうか、けどもう居ない……本当に居なくなってしまったのか……その答えも待ちながら、ずらずら徒然。

*1:今までもそうだが、死ぬ予知の死に方が変わった事は描写されても、死が回避された場合に彼女の視点でどうなっているかは依然として描かれていない。この言い方だと別の人間は死ぬ可能性があるとも聞こえるし。

*2:唐突に「アチョー」って感じの構えが笑いを誘う。ネットで人の業深さに触れ放題のカズミと違い、記憶が虫食いで趣味も不鮮明ときて、何時何処でそういう知識を仕入れるのだろう。もし知っていれば記憶に残っていれば、人助け系魔法少女が好きそうだなとは思うが。

*3:(;0w0)<ナズェミテルンディス!? いや正確には、陰で聞いてたのだが。

*4:寧子カズミ小鳥。手紙を受け取った三人、内容に細工できる三人。佳奈は読者視点でも「一応」不可能で除外。

*5:カズミへは現場から離れるように誘い、寧子への内容は不明のまま破棄。小鳥への手紙は視界を確保することが不可欠の【転位】で山荘から緊急脱出するためにカーテンを開けておけ、という意味だろうと憶測されるが……犬と入れ替わるのか?

*6:小鳥を捕まえる為に都合が良い方に変えてくるだろうとは思っているだろうが、本筋と関係なくカズミが寧子を死に追いやると予想できるか否や。