ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

『美大受験戦記 アリエネ』第69話――《静かな旅立ち/Silent Departure》

「じゃあな。俺がいなくても 頑張れよ」
「つーかさ・・・俺もまだ 中二なんだよ」

(第68話の感想はこちら)

 第69話「上野事変」(4月27日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)。先週休載で今週は合併号、そして第6巻は前回までを収録。最近多いなと感じなくもない。

「でっでも・・・受験じゃ通じませんよね……こーいうの・・・」
「この絵は、上手くはないけど・・・「お前の絵」だよな……
美大が求めている人間は・・・『その人にしか創れないモノ』を創れる『芸術家』だよ……
でもって・・・美大の先生はほとんど芸術家だから・・・みんなわかってんだよ…・…
絵が上手いだけで「自分の絵」が描けないやつは……美大に入ったとしても・・・「クリエイター」としては生きていけない・・・って・・・」

「ようするに・・・技術さえ身につけば・・・お前みたいな自分(・・)を持ってるバスキアボーイが、一番強いんだ……」

「これからは二度と、こういう中二っぽいのやめてね。青木君が何て言ってたか知らないけどさ・・・これからあなたの先生(・・)は私だから……そのつもりでね……」

 修羅場とは縁がなく、しかし結果的に新展開の遠因のような。有達に遅くまでアトリエを開けてくれた青木先生は、(主に弥生さんが大暴れした)騒ぎの責任を取って大阪へ異動と相成った。有の技術的向上を認めてくれた傍からの別れ。新担当・浅田(由来は浅田彰(KUAD大学院院長)か浅田次郎か浅田裕二か浅田弘幸か)には切って捨てられ……文脈的には、「美大に入ったがクリエイターたりえず美大に入る方法のみを教える」タイプと予断してしまうが……そんな単純な先入観通りの人間とは限るまい。当分は有にとって受難の時期になるだろうが、再び「自分の絵」を追い求め旅立つ青木先生に力付けられもしたし……というだけならまだしも、冒頭からドカンと不穏展開で二重苦。

「やだ・・・帰らない・・・」
「………………君のやさしさは・・・伝わったよ・・・
でも・・・もうここに来ちゃだめだ・・・ 帰ってくれよ・・・夢……」

 多分に場所は速水遼平氏のアトリエだか、部屋だか。ラスト頁は音信不通で電車移動中だし、後者か? 助教授も別の土地に引っ越したのか。夢にしても事前に相談しようという気配こそあったが、「神んぐアウトレット」がコンペに勝ったという話を光河が持ってきてお流れ。急で時間が無かったのか、有と光河が仲良くなってるのを見て何を思ったのだか……?