ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《確率+結末/Odds+Ends》/『極黒のブリュンヒルデ』第70話

(前回感想はこちら)
(第1〜3話の無料閲覧はこちら)


―――過去(きおく)は繋がれど 現在(おもいで)が 途切れる刻

前回の粗筋

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―――来ると思ったら来ない、来ないと思ったら来る。まったくその通りで、トドメに来週休載と来たもんだ。鬼かとドSかと。明らかに続編確定な『きみだら』が二人の社会的生命と恋路と息子()の危機だというのに安定のバカエロバカで至極当然の話ながら落差が激甚。ある意味それが救いですら。短くも要所要所重く、かつ決定的。薬の件にしてもクロネコ云々にしても「最凶コンビ襲来で有耶無耶、考える暇が無くなる」展開は無いかなと思ってた頃にこれである……襲ってきた方が悩まないで済むと言ったな、あれは嘘だ。まったくもって。


風雲急を告げる

「ホクロって 何のこと?」「……お前・・・ 本当にクロネコだったのか?」

「……しもた・・・ バレてもた・・・」「……村上くん?」

(生きていた・・・クロネコ・・・
ずっとクロネコが好きだった クロネコが好きだからおれも星を好きになったんだ
毎日2人で夜空を見上げているのが楽しかった ずっとそうしていられると思った でも・・・
殺してしまったと思っていた もう二度と会えないと思っていた
なのに・・・ 生きていた・・・

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ニニニニニニニ|ニア:、::::\:..   }{,′r――― 、:.:}.{   }.{/:::: /ニニi|ニニニニニニ=-
ニニニニニニニ|=/ニ \:::::: 、 ..{{/ }     {ハ}.{   }イ:::::/二ニ|ニニニニニニニニ
ニニニニニニニ|/二二 }八{ \{∨       j./..{ /|/}:イニ\ニi|ニニニニニニニニ
ニニニニニニニ|ニニニニム   \\ー――/ / /ニニニ=ヾlニニ/ニニニニニ
ニニニニニニニ|二ニニニニム    \ 二二. /  ハ二二二二i|二 /ニニニニニニ
ニニニニニニニ|二二二ニニム     ー―‐ ′  {ニニニニニ|ニ.′ニニニニニ

「村上くん!? 村上くん!! どうしたの? 村上くん!!」
クロネコ・・・ 生きていたんだ・・・!!)


「なんか・・・ 大泣きしてごめん・・・」

「おれの幼なじみのクロネコには 脇の下にほくろがあったんだ
最初 その場所にホクロがなかったからクロネコとは別人だと思った
でも・・・ 10年経っておっぱいが大きくなった分 ホクロの位置が移動していたんだ

間違いない お前はおれの幼なじみのクロネコだ」「……」
「ごめんなさい・・・ 私・・・何も覚えていないの・・・村上くんの事・・・
村上くんの事だけじゃない 子供の頃の思い出全部・・・私は何も覚えていないから……」

「そんなのいいんだ おれが全部覚えているから」

「お前と初めて出会った日のことから 毎日遊んだこと出かけた場所 話した会話・・・おれは全部覚えている*1
例え黒羽が忘れても その分おれは絶対に忘れない だから一緒に 欠けた記憶を埋めていこう*2
これからのことも 全部おれが覚えておくから・・・おれは黒羽がただ生きていてくれるだけで・・・それだけでいいんだ」


(バカだ・・・おれは・・・ 薬はあと1週間分しかないのに・・・
せっかく生きていたのに・・・ また・・・クロネコが死んでしまう・・・)

(もう 後はない 失う物もない だったらあとひとつだけ出来ることがある)


バラバラバラ

バラバラバラバラバラ

「……こんなに時間にヘリだ・・・ 遭難者でも捜してるのか?」

バラバラバラバラ

「……違う・・・ こっちに向かってるぞ!! まずい!!」

「みんな逃げろ!! 追っ手が来たで!!」「えっ!?」「ヘリや!! こっちに向かってる!!」
「山へ逃げ込め!! 夜なら見つかりにくい!! 黒羽! 鎮死剤を忘れるな!!」パキン

「なっ!?」ヴァルキュリア!?」
「ダメ おとなしくここにいて 動いたら殺す」
「ババババケツ・・・ バケツを・・・」『……』
「ごめんね 寧子」

ザッ

「あ・・・ あんた・・・」

「ここに これほど集まっていたとはな」

「1107番は捕縛 残りはここでイジェクトし ドラシルを回収する」


「活路への希望」は何処にありや?

―――どう考えても、此れまでのどの状況よりも「詰んでいる」。そう考えても致し方ないと思うが諸兄は如何か。少なくとも表に返されているカードのみを見る限りでは、良太が寧子達が取り得る手段では絶望的に対抗不可。未だ伏せられているカードへも、どこまで想像妄想期待してよいものやらで。

 そもそもイチジク所長が何某かを「待っている」とかいう話は無かった。真子さん解放前後、不在期間中に想像した彼是はほぼアウト。強いて言うならば“回収の為に使い機材人員と自分を乗せるヘリ”を待っていた事になるのか……アレだけ煽っておいてナニを普通に職務を全うしようとしちゃっているのかと思わずにはいられない訳だが、まあそれこそ彼の知ったことではなかろう。たとえ高千穂に内心反目していようと、その腹の底で何を企んでいようと、それが真子解放以前ならまだしも今、読者に優しく、脱走魔女に手心を加える理由にはならない。敵の敵は味方とならないのはヘクセンヤクトの時から明らかだが、それでも勝手に期待していたのは彼の位置からして脱走魔女一人一人を重要視せず高千穂に不利益を齎す方が優先するかもと都合の良いことを考え……現実は逆に重要でないからこそあっさり皆殺し宣告と相成ったわけだが。

 またこの超非常時に佳奈の予知警報が発動しなかったこと。もちろん彼女の魔法が万能でも万全でもないのは承知の上だが、これまでの功績故に犠牲無しで来られたのにこのタイミングで不調不発だったとしたら……どれだけ彼女頼りの綱渡りだったかということもである。逆に考えれば便りが無いのはなんとやらで、最長二日以内に誰も死なない、あるいは「非業の死ではない」……魔女であるだけで充分業を背負わされていると思うのだが皆さん如何か。そんな考えはさておいても「最短で数秒後」とも言われているし、そちらの方が見込みが強いか。瑞花の件から類推しても「己の死後」の事も観測し得るとして、かつ複数の死を同時観測できるとして、誰がどのように動いても確実に誰かが死ぬもしくは全滅という「どうあがいても絶望」状態を隈なく網羅したら処理能力超過で逆に発動できない・発動時点で自身に大ダメージなんてことも瑞花に死に様からしたら考えられなくも無い、か? いやさ佳奈の寧子への想いと彼女の「隠し札」次第では「何かがどうにかなるかもしれない」が、その代償に彼女自身が喪われやしないかと、最早誰一人死なせずになんて夢は叶わないのかと。

 ところで初菜の姿が見えない。前回の途中で席を外した彼女は、殺してもしなない特性と生に向かう執着心を備えた魔女はもしかすると独り生き延びうるだろうか。ヘリの音が聞こえた時点で速攻トンズラした、あまり考えたくない事だが研究所に居場所を密告した……どちらも真子の探知魔法の前では無意味である筈なのだが、まだ前者に関しては希望が……希望とは誰にとっての何だろうか。寧子達を融かし尽くし多分に良太も殺し小鳥を連れ去り、本当にただ独り残った脱走魔女が一ヵ月後に小五郎から完成した鎮死剤を受け取る未来のことか。襲来が無かった場合に想像された良太と初菜だけが残るエンディングよりも尚、後味が悪い……だが論理でか友情また愛情においてか、彼女が逃げずに抵抗したとしても一撃ニ撃の盾と機会しか作れないのではないか―――いや「魔法で」ハーネストに干渉する事は出来ず、また室内で“愛する”イチジクが傍にいる以上は再生能力を上回るほど肉体を消し尽くす【反物質】攻撃は使えないとなると、うん? このか細いにも程がある糸口は「望む未来」に繋がるか否か。

 はたしてこの絶体絶命。目に見えるものもに見えないものも、表明されていることも仄めかされ胸にしまわれていることも、出し尽くさねば打開できず今を置いてしまうと語る機会無く終わりを迎えてしまう。良太が何者であるのかも、寧子の過去と本当の力も、佳奈の抱える事情も寧子との因果も、カズミの良太への後ろめたさも、小鳥の内に潜むものの真相……これはまだ先がありそうではあるか。加えて脳内彼女・奈波の出番も、初菜の経歴遍歴と心根がどういうものであるかも。
 それらを束ねたところで8+2の魔法を持つ現行最強の戦乙女&真の意味で「魔女を扱うプロ」の頂に立つ存在にして小五郎が認める天才に対抗しうるかというと、やはり不安ばかりか絶望的にさえ思う。敵を知り己を知れば百戦危うからず、しかし敵の能力はまさに計り知れず、味方の能力すら把握し切れていないときては―――だからこそ不確定要因に賭ける他無い、なんて全く軍師の仕事ではないし実際良太の役目ではない。想像し類推し推量し妄想するのは第四の壁の此方側のライフワークなれば。それが誌面の出来事に何ら影響を与えないと判っていても、そうせずにはいられないだけで。


extra

……かといって具体的な良案があるわけでもないのだが。昨日今日とリアル胃痛に苦しめられて(言い訳)妄想回路が上手く回らない(のはいつものこと)。


 とりあえず学園エヴァ、よりは『涼宮ハルヒの消失』に近い奇跡の二次SS(BY犬良氏)に現実逃避気味に。佳奈が元気に歩き回って結花と友達で良太(MOGERO)に平手打ちをかます世界線が幻想に過ぎないなんて、そんな公算がより強まってしまった今だからこそ……今だからこそ一心不乱の大エロゲー化を! どうにも其処へ戻る帰巣本能思考回路。本編準拠と純正学園物の二種、あるいは視点が交互移動する形式。どっちも些か難があれど、夢もある。叶うかどうかは別として、それに心を傾ける時間は楽しい。なんだか、恋に似ているね。当然の如く袖にされる夢見る振られん坊達に幸あらんことを。そして少女達にGood Endのあらんことを。

*1:つまりライトワンスと呼ばれた完全記憶能力は元来のものである事に。良太は何者であり、クロネコ及び寧子との再会は偶然か否か。また第1話の時点でクロネコに関する記憶が名前とホクロだけだった筈が、(海に行く前の)天体観測の記憶を何度も夢に見ている。これを齟齬でないとすれば、クロネコの死を知らされ「記憶を失う程泣いた」際に何らかの処置を受け且つ寧子との再会を切欠に封が解けた……いや単純に前後記憶だけが「消され」た……落ちた後も本当は「何か」があり、良太はそれを見ていた?

*2:第1巻ラストとの最大の違い? ある意味、予期された通りに何かが何処かでズレた。時間経過かその内に育まれた感情が為か、あの日あの時間に置いてきたモノは「元通り」に取り戻されなかった。