ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

《蘇りしダクソス/Daxos the Returned》/岡本倫『パラレルパラダイス』第113話




(前回の感想はこちら) (感想記録モーメント2

迫り来る危機。: 続・黒のノエル

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―――過去作3分の2で思い起こされるフシの有ること。それはさておいて……まず彼女の「肉体」は、尋常の存在でも現生人類(男に触れると必ず欲情する)でもないことが証明された。あのセリフが飛び出る前、また陽太に触れられた瞬間にも若干の「間」があったのも確かだろうが……「三千年以上前からの冷凍睡眠者」だとしても「陽太と同じく現代から召喚された意識のアバター」だとしても、ルーミらのような『適応』を備えている必然性がない。そういえば序盤も序盤、「現代に戻った陽太と仁科が接触したら“ニュルッ”となったらホラーでは」とか思ったり、カイ=ケートス戦で再登場した折に幼馴染に触れた後……彼女が「一時病室から出た」ことを穿ってみたような覚えが。まあいま現在に至り、ルーミをして「なんでも交尾で解決しようとする」と言わしめた主人公の「いつもの」が本当に通用しない(はず)相手の登場という意味も含めて重大。

 ところで一方、「記憶」はどうか。アマネにより首を刎ねられ、しかし無造作に再生した。そのことが脳に由来する記憶のリセットをもたらしてはいないか。だがそれなら言葉を話すこと、エピソード記憶以外も失った赤子並になってもおかしくない。ならば脳、肉体、物質に依拠しない記憶保持だとして……逆に記憶喪失になっていることは不自然、とまでは断言できないが。【嫉妬深い神】としての意識、また陽太の幼馴染としての記憶が今ここには無い、別の場所……【もう一つの月】(未来地球が事実とすればこの存在もおかしいなそういや)とかに? はたまた、「記憶を失ったフリ」をしている可能性も……それはそれで、そんなことをしなければならない理由も不明である。まあはっきり明らかな事実と言える疑わしくないことの方が多くない平常運転。
 総じて関係性がどうなっていくのか。前作主人公のごとく「これから新しい思い出を一緒に作ればいいだけの話だ!」なんて思い切れるかどうか。翻って、ルーミはじめ交尾済みの娘が一杯いるというのも推定まっさら状態な子からすると大概であるしな。

 故ガリアの今際に曰く、「真っ先に殺される」「ひどく恨んでいる」とのこと。魔女がそれをどう伝え聞いたかも気になるが、はたして直ぐさま陽太の首が飛ぶような状況ではなさげである。同時に、ここまで彼を動かしてきた大目標が消失。達成ではなく。邪神を倒すことも、崩月の呪いから遍く人を解放することもできない当て所なさ。そのくせ王国の支配者が男性の存在を察知し、まぐわった女性も含めて皆殺しにしろと命ずるような剣呑な世界であることだ。そんなこんなで二周遅れを一周遅れに戻し、また二周遅れになる前夜。