ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

第二次大戦の「亡霊」は「白い悪魔」の夢を見るか?(『スーパーロボット大戦OG』シリーズ雑考)

第2次スーパーロボット大戦OG (通常版) (発売日未定) 特典 電撃スパロボ! SP - OG Official Book -付き スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD 特典:オリジナルサウンドコレクションCD付き


 延期になった『第2次スパロボOG』をのんびり待ちつつ、少し前に電撃ホビーマガジンで紹介された「量産型ゲシュペンストMk-2改」の換装パターンから空想を膨らませてみた。
 あと旧友への私信、”僕らが此処に居たこと”を覚えている証として。
ゲシュペンスト‐Wikipedia

スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS 量産型ゲシュペンスト Mk-II改 カイ機 (1/144スケールプラスチックキット) スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS RPT-007K-P2 量産型ゲシュペンストMk-II改 アルベロ機 (1/144スケールプラスチックキット)

地球連邦軍が実施する対異星人用の人型機動兵器(PT*1)採用試験への提出に向けて、マオ・インダストリーが開発した機体。開発メンバーには社内の新鋭のエンジニアが抜擢され、そのうちカーク・ハミルとマリオン・ラドムの2人が中心となり開発が行われた。開発プロジェクトには莫大な資金が投入され、予算度外視で開発されたため、チューニング次第では後継機並みの性能を発揮することが可能。エルザム・V・ブランシュタインは、操縦者の技量がダイレクトに反映される機体と評している。
ジェネレーターにはPTサイズに小型化した核融合ジェネレーターを、機体OSには新開発のTC-OSをそれぞれ採用。背部にはジャンプやホバーリングに用いられるバーニア・スラスターと、姿勢制御用のスタビライザーである翼が取り付けられている。

――旧式ながら堅実で安定したゲシュペンスト初期ロットの再戦力化を図った「ハロウィン・プラン」。『OG2』のインスペクター事件中にゲシュペンスト・タイプRからタイプRVへの改造が行われ、事件後に新造されたのが「量産型Mk-2改」。
 先行量産の3機はカイ・キタムラ少佐とクライ・ウルヴズ部隊の2名が受領。以降は量産機を改修する形となり、先行登場作『Another Century's Episode Portable』オリキャラ6人がこれを扱った模様。そして『第2次OG』では『Another Century's Episode Portable』と仕様を同じくするタイプN(標準型)タイプC(砲戦型)タイプG(近接型)が登場し、OGシリーズレギュラーのカチーナやラッセル他、ある程度自由に乗換えが可能であろう。……そこまでが、前置きとなる。


量産型ゲシュペンストMK-2改≒ZGMF-1000ザクウォーリア

――その印象を抱いたのはやはり電撃ホビーマガジンでタイプCのイラストを見た時からであろう。ゲシュペンストと同時期に開発された砲戦PT「シュッツバルト」を想起させる*2両腕三連マシンキャノンに両肩ツインビームカノン。これらのパーツが換装可能となると……「ウィザードシステム」(ストライカーパック)じゃないか? と思ったわけである。『機動戦士ガンダムSEED』、続編『SEED DESTINY』で有効に活用されたりされなかったりしたアレ、ロボットアニメらしくメカ好きとプラモ屋を両方満足させたのかそうでないかわからんアレである。
 しからば量産型ゲシュペンストMk-2改はOG世界のザクウォーリア(ザクファントム)なのか、というとそう言える面*3もあるし、そうでない面*4もある。又初代ゲシュペンスト・タイプRが初代『ガンダム』の旧ザクまたはザクII的存在かというとそれっぽく*5もあり、またそれっぽくなく*6もある。


量産型ゲシュペンストMk-2≒RGM-79ジム(GM)/RX-79[G] 陸戦型ガンダム

――『OG1』序盤におけるゲシュペンストタイプの主たる敵は、地球連邦に反旗を翻した科学者ビアン・ゾルダーク率いるディバイン・クルセイダーズ(以下DC)とそれに共鳴したコロニー統合軍(宇宙軍)である。彼らが主に扱う機体は新鋭戦闘機「F-32シュヴェールト」、またその試作型をベースに開発され後に連邦軍の主力機となるAM(アーマード・モジュール)「リオン」シリーズである。このリオンこそがOG世界のザク的存在とも言えなくもない。ベースがベースなのでセイバーフィッシュとか戦闘機寄りの存在に見えるが、地上を走り回るランドリオンとか水中用シーリオンとか大砲背負った重装甲バレリオンとかバリエーションの豊かさはゲシュペンストより余程ザクに近しい。マゼラアタックにもかも。

 したらばリオンと戦うゲシュペンストガンダム……というには若干弱い。いや、アルトアイゼンヴァイスリッターといったカスタム機と凄腕パイロットの働きは相当なものだが、初代『ガンダム』における局地戦のスーパーロボット的存在は一応「グルンガスト」シリーズ他「特機」の皆さんに譲っておく。ならばGMか、というと数でジオンの新型MS群に対抗したGMほどゲシュペンストは数を作られていない*7。とりあえず陸戦型ガンダムくらいに落ち着けてみよう*8。そしてGMの座は「量産型ヒュッケバインMk-2」*9に。ガンダム〜GMの開発経緯はなんだかかんだかと後を追うほどによくわからんことになっているらしいが、それはさて置き……そうすると量産型Mk-2改のタイプCはGMキャノン*10、IIっぽく見えてくる。おおそうするとタイプNはジム・カスタムっぽくてバランスが取れてはいないか?
……まあそれでも連邦軍の主戦力はリオンであろうことに変わりは無かろうが*11。エルシュナイデさんが正式採用されたとしても当分はリオンのシェアは揺るぐまい。開発元イスルギの社長さんはウハウハである。死の商人らしく地球内外あっちこっちの勢力に手を回してるので最終的どうなるのかが気になるところだが。バイオリレーションシステムで不老不死とか目指さないでほしいものである。


PT/AM≠MS/MA

パーソナルトルーパー-Wikipedia
アーマードモジュール-Wikipedia

 そもそも武器・兵器とは戦うべき相手・攻撃すべき対象を想定して作られるもので、PTまたAM*12も又その例に漏れない。かつて『Record of ATX -DW-』が連載開始されて程なく、私がOG世界に明るくなかった頃、旧友が教えてくれた内容を振り返ってみる。

  1. OG世界のミノフスキークラフトこと「テスラ・ドライブ」小型化に纏わるDCと連邦の技術格差。
  2. 上項に伴う世代差。アルトアイゼン対リオン(≒フルアーマーガンダムアッシマー)。
  3. OG世界において機動兵器が想定する敵は、人間ではなく隔絶した技術を備えた異星人である。
  4. その故に優先事項として重視される「破壊力」。例としてはSRXATXチームの極端な機体。
  5. そもそも量産ゲシュ(≒GM)の標準武装ビームサーベルではなく格闘武器プラズマステーク。
  6. グルンガスト系(特に零式)そしてダイゼンガーが斬艦刀を主兵装とする事を妥当とする環境。
  7. ロ ケ ッ ト パ ン チ は M S に は 無 い 。
  8. 当たり前だが「ガンダム」(大型化→小型化傾向)と「スパロボ」(極端傾向)は違いすぎる。(結論)


――ところで、私の知る分にDCとは二つある。ノイエDCとかではなく、DC(OG)DC(旧作第二次〜第四次・F完)である。前者は普通にスパロボバンプレオリジナル機体だけを使っているけれど、後者はまったく様相が違う。相対すべきプレイヤー側の陣容も違う。『スーパーロボット大戦』なのだから当たり前である。『ガンダム』、『マジンガーZ』に『ゲッターロボ』。たった3作で『α』以前のスパロボにおけるDC地上軍の基本的敵ユニットはおおかた揃ってしまう。勿論MSの絶対数・登場数は他と突き放している*13が、機械獣・メカザウルスだって相当なものだ。ボスキャラ組のお馴染具合も半端なものではない。
 彼らが登場する『スパロボ』においては、彼らを倒すべき*14スーパーロボットたちが同じく存在するのでPTゲシュペンストの出番はあまりない。主人公機として活躍するけれど必ずしも居なければならないというほどでも無い*15。「ヴァルシオン」や「グランゾン」といった強力なオリジナルボスは当初から存在するけれど、ゲシュペンストはそれらと戦うべく造られてはいない。主人公機でいて量産機であり、ヒーローロボットでありながらその他大勢にもなれないマイナー機体というアンバランスさ。それがある意味ゲシュペンストの特徴と言える。異論は認める。


 『パトレイバー』や『ダイ・ガード』の運用上のしっちゃかめっちゃかは、原作を知る方には言わずもがなの事だと思う。
 『ガンパレード・マーチ』の人型戦車・士魂号M型は幻獣との戦闘に格段の成果を発揮したが、パーツが不足し整備性が劣悪という欠陥を持つ。
 あるいは『マブラヴオルタネイテイヴ』。異形の怪物BETAに航空兵器が無効化された環境で戦うために戦術戦闘機(戦術機)が開発されある程度有効な兵器となったが、一方で戦後を見込んで”対戦術機用戦術機”F-22ラプターという気の早いものが造られてもいる。
 しばしば人型機甲兵器の妥当性はロマンと相克し、よしんば普及してもコストや効率と常に戦い続けなければならない。コンペティションともなれば企業同士が対立したり政治が絡んだりする。

――そういうシガラミからある程度切り離され、コストを度外視にできる存在は思いつく限りひとつ。人類を、世界を邪悪の脅威から守護する唯一の「勇者」とその「武器」、相棒。兵器の様でいて兵器に非ざる機械。時に機械であることを超越する存在。不足や確率を「勇気で補う」のはそりゃあ真っ当な機械とは言えない。熱過ぎて火傷する。


 そんなわけで次の機会には、「勇者と勇者ロボとそのパートナーの境界は何処にありや?」という命題に取り組んでみたいと思う。いつか、そのうち。

*1:パーソナル・トルーパー。おおむね一人乗りの人型ロボット。全長20m前後。

*2:そもそも開発元が同じ「亡霊」と「防風林」はフォルムが似ているので、武装まで似せたらそう思うのも自然だと思われるが。

*3:言わずもがな武装換装の点。通常型近接型遠距離型。

*4:前作で一度終戦を迎えた後機体の数を減らしつつ対応能力を確保目的の換装と、異星人の襲来が予期される状況下の戦力拡充目的の改修。

*5:人類圏最初の人型機動兵器であること。

*6:ザクは宇宙コロニー側の解放を求める軍に属し、ゲシュペンストは異星人から地球を守る軍に属す。

*7:全部で30機くらい。また『OG1』に限らず基本的にプレイヤー側部隊は寡兵で戦う事情に縛られる。

*8:ゲシュペンストを援護すべく開発されたシュッツバルトはコスト高で3機しか生産されなかったので初期ガンキャノンを当て嵌めてもさほど問題ないように思う。

*9:アニメ『ジ・インスペクター』及び漫画『Record of ATX -ジ・インスペクター-』以降では量産型ビルトシュバイン?

*10:とある面白解釈・小説サイトの”ましなりぃ”で「ガンキャノンが狙撃系だと知らずに作る機械に、意味あるわけないじゃん。」と言われてしまったあの子はちょい可愛そう。でも私は見た目的に量産型ガンキャノンの方が好みなのだ。詳細は「こちらガンキャノン、鷹の目を使う」で検索願います。

*11:何しろリオンは戦闘機ベースであり、その操縦は戦闘機のそれに近しく機種転換が”比較的”容易だ。少なくともゲシュペンストから始まってまだ10年と経っていない人型機動兵器の操縦方法は、いかに特別戦技教導隊がスパロボ的超人揃いといっても、否だからこそ一般兵に広めることは難しかっただろう。その結果の一つが彼らのデータを基準に作られたが故にピーキー過ぎて乗り手を選んだ「ビルトシュバイン」である。あとはそれなりにゲーマー人口が居る(実は連邦が開発した)操縦シミュレーター「バーニングPT」くらいだが、これで募兵するのはあんまりな気もする。

*12:OG1序盤においてリオンはPTや他兵器に対して戦術的優位性を実戦証明したが、「プロジェクトTD」の外宇宙航行目的とは別に、リオンもリオンなりに異星人兵器に対抗するべく設計されているらしい。

*13:スパロボ旧作のDC所属「人類」はだいたいジオン軍人であるはず。たぶん。

*14:まあ機動要塞グールをガンダムが撃墜してもいいしWガンダムをゲッターが倒してもいいし使徒ビルバインがぶった斬ってもいいのだが。それにしてもエヴァンゲリオンはまったく使徒”以外”には強い機体(メイン盾)だ。そりゃ原作で「狡兎死して走狗煮らる」のもむべなるかな。

*15:まあ序盤は火力が不足だからゲシュペンストが役立つし、後続主人公機グルンガストヒュッケバインは必殺技要員として欲しいけれど。