ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

『美大受験戦記 アリエネ』第36話――《苦心の魔女/Bitterheart Witch》


「かっ、カン違いとかしないでよね!! あっ…あんたのことなんか…
どうでもいいと思ってるんだからねっ!!」

(第35話の感想はこちら)

 第36話「月岡ER」(7月23日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)。弥生さんツンデレ無双。
 そして19話を想わす脳内会議といい、感情がダダ漏れで相手以外にはモロバレだったりと、実は性格的に月岡弥生と歌川有が似た者同士という驚愕の事実。状況的に原因は小磯誤報。またしても水菜が見ていたり。


『どーでもいーけどさーーこのコンクールの結果次第でさー。
有って予備校(ここ)辞めちゃうって言ってなかった? いいの? (あいつ)がいなくなっても・・・』

「いい? よく聞いて。ここからはこの絵の具を使っていいけど、
これは一つのギャンブルになるからね・・・」

「つ・・・つまり絵の具を抜いたのは・・・ぼ・・・僕を助けるため? かな?」

「えっと……だからー・・・これはただのイタズラで・・・」
(何で? なんでこんなこと、ウソ・・・)

「別に「好き」とかじゃないからね・・・あんたのことなんか・・・」
(あたし・・・あたし・・・好きなんだ・・・)ガーン


「さっ、さーーっ自分の絵描こーっと」


―――目撃者である水菜・戸谷はともかく、有は何がなんだかもわかってないのは幸か不幸か。東山も皆も細部に描き込みに入った時間に月岡助言回の筈が、完全にラブコメ回。いや助言もしたけども。

 大分良くなったものの、上位に食い込むにはまだ足りない。デッサン不足でモデルの手元がボケて、何より得意の大胆さが無く全体のパワーが欠けている……このままでは、絵力が弱くて勝てない。かくして弥生が抜き取った絵の具を受け取り、必死で組み上げた色調バランスを崩すリスクを承知で、有の巨匠らしい独創性という勝機に賭ける。まさしくギャンブル。
 挑んだ所で勝てるという保証も無いが、そのままでは一分の勝ち目も無い。弥生の有への、有の夢への想い故にベストを尽くそうという意志は一致し、同時に擦れ違う。嗚呼ツンデレ、幸いなれ……。

(後日付記:37話感想はこちら