ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

『美大受験戦記 アリエネ』第37話――《交錯の混乱/Muddle the Mixture》


“恋は・・・落雷・・・” 落ちれば心は容易に制御を失う
しかし “人はそれを避けて生きてはいけない・・・”

(第36話の感想はこちら)

 第37話「インディゴブルース」(7月30日発売ビッグコミックスピリッツ掲載)。ツンデレ無双の直後の事。
 単行本の3巻は第33話まで収録。割といつもの事ながら、話が小刻みで時間は着実に進んでいても話が動いてない回も多いので、今から読み出しても間に合うんじゃないかなと。
 ただし前回前々回のツンデレぶりは10月末を待たねばならぬ。その頃には一体どうなってるんだろうねえこの美大受験戦記……。


(何で歌川有(あんなやつ)を・・・この私がっ、好きになってのよっ!!)


 有への感情を自覚し、以前の所業を思い出してしまう。恋に落ちるまでは無敵だったのに、意識すると内心絶叫するほど恥ずかしいらしい。一方、モデルに見蕩れる小磯に神田川が塩(高級絵の具)を贈る。自覚と行動の順序が逆な事もあるという例示かな。いずれにしても、恋心を抑え切れず告白してしまった有と同様「やってしまった」後で悶えるが摂理。


東山(ヤツ)の絵は 色とコントラストが大胆なくせに・・・細部がリアルで 迫力がある・・・
僕の絵は ドブ色じゃなくなったけど ボケボケだ・・・」

「くそっ、何が何でもうまくやってやるんだ!!」


 そして気持の先走った告白を条件付でOK貰う僥倖を得た有は、しかし焦燥の中。あと一時間しかないのに、どう見ても東山光河に抜かれている―――このままチマチマ描き込んでも勝ち目は無いと、弥生から止められてた藍色を手に賭けに出る。が、肌の色と相性が最悪ときた……っ! 焦りのままなんとかしようとする窮地に「筆を置け」と声がかかる―――


「呼吸だよ。落ち着けってコトだ」

「今、お前は何も見えてねぇ・・・そういう時は……目を閉じろ……」


 このコンクールが始まって以来ほぼ技術的アドバイスをしないで来た青木先生。その真意は有に自分で泳ぐ力をつけさせる事にあった。ならば今、有に何を教えようとしているのか? あるいは焦りを沈静化させただけか。はたして。
 メタなことを言うとだ。第4巻の収録分でコンクールの件が片付くと仮定すれば、あと5・6話はかかる筈。絵を描き終えて、講評を受け、その後の事まで。結果が如何あれ、一時間でゾンビが奇跡を起こすには、次回が最後の一押しに近いんじゃないかと憶測するわけだ。
 それにしても、ツンデレの父親から貰ったアドバイスをいつ思い出してくれるのか……もしや最後まで思い出さないままなんてことは無かろうなと不安が過ぎる。帯にも「こんなんで美大に合格できるのか」と書いてあるしな―――そんな調子で大丈夫か? 大丈夫だ、問題ない。
 どう見ても受験より下宿先の女性陣と想い出の女の子に気を取られてた三浪男でも、東大に合格してしまったしな! どっとはらい

(後日付記:38話感想はこちら