《残忍な裏切り/Murderous Betrayal》／漫画『戦闘破壊学園ダンゲロス』第９話
希望崎学園カレー爆殺事件、その顛末
月刊ヤングマガジン掲載『戦闘破壊学園ダンゲロス』、第１巻の直ぐ続きの続きの続き、第９話である。聞くところによれば、前回のエピソードは半ば漫画オリジナルだったらしい。横田卓馬先生、お見事！ 今回も大層、エグくてグロかったともさ。顔芸と絶叫と悲鳴と断末魔。
邪賢王ちゃん爆誕の興奮未ださめやらぬ番長グループ。両性院は続けざまに【チンパイ】で性転換を行い、遂にグループの男全員を女体化させる。不良達は未知の感覚に盛り上がり、元男同士で愉しみだす者も出る始末。彼らに協力して本当に良かったのか、と悩む彼に声をかけたのは副番長白金。今は「彼女」であるところの彼は両性院男女の迷いを正確に読み取り、しかし生徒会を率いるド正義会長が、囚われの幼馴染を助ける為に尽力してくれることはないと断言する。その根拠となる事件が起きたのは、ハルマゲドン開始の日より遡ること一ヶ月前―――
……前回感想の折に、邪賢王さん⇒邪賢王ちゃん程でなくても女体化による体格変化*1パワーダウンがある以上、少数の女子魔人の戦力が鍵となるやもと述べたが、最強魔人の一角にして番長グループの「守りの要」、口舌院言葉が既に落命していたとは。第３話のダイジェストや前回のDeath子回想には登場していたけれど、両性院が招聘された時点で見かけなかったのがそういうこととは。
犯人は生徒会の原作者同名架神恭介。カレーの辛さを変化させる【サドンデスソース】は転じてカレーを猛毒に変えられる能力であり、黒川校長が用意した生徒会・番長グループ「なかよしお楽しみ会」の場で言葉は頭を爆発させ死亡。彼女はド正義生徒会長を信用しており、両グループの緊迫した空気の緩和を望んでいたが、最悪の形で裏切りは成されてしまった。言葉の頼みで同席した白金は怒りのあまり刀を抜こうとしたが……それにより彼を死地に追い込む事も架神の目論見であったが……他の不良が先に激昂したことで冷静さを取り戻し、言葉自身が「もし自分が殺されても短絡的行動はしないでほしい」と言い遺していた為に、ド正義から言質を取った上で首から上の無い死体を抱え場を去ったのだった。
『架神クン・・・・キミは処刑されるフリをしていればいい・・』
……嗚呼、ここから先はどう言葉を尽くしてもあの凄惨さを表現できやしない。コンビニか書店で読めれ。原作は一体どうなってんだろう。原作者は何考えてたんだろう。自分と同名のキャラを公開極刑、それも鋸引きで足先から５センチ毎に輪切り、なおかつ本人には処刑は演出に過ぎず死ぬ前に救出される……と思わせておいて本当に死なせる。しかも近しい一ノ瀬の手で。
『安心したまえ キミはもう 彼らのために・・・・カレーを作る必要はない』
（ド正義・・・・オレは・・・・お前のために働くぜ・・・・
お前のためにカレーを作るぜ・・・・！！ ド正義・・！！）
二年前、まさに戦闘破壊学園の様相を呈していた希望崎学園に一定の平穏を齎したド正義。その頃に架神に猛毒カレーを作るよう強要していた番長グループ構成員から彼を助け出した事で、恩を感じ生徒会に入り、陰日向にカレーの腕を振るってきた。その架神に言葉を殺させ、校則違反として捕らえた彼を処刑することで番長グループへの償いとする。なんて……酷い……何処が正義なんだ度が過ぎるにも程があるド正義。ああ納得した。こいつは本気で「学園総死刑化計画」を実現しようとしてやがる……前回までは、ベクトルこそ違えど邪賢王と同じく、異能ゆえに居場所の無い魔人生徒を庇護する立場なのではと考えなくもなかったが……こいつは魔人生徒を殲滅しようとする「転校生」と肩を並べるヤバさだ……。
（言葉の暗殺がド正義の意向とわかった以上・・もはやオレが皆を抑える理由はない！！）
今わの際で己を切り捨てたド正義を罵った架神に、言葉の死はド正義が命じたものだと悟った白金。時は現在、女体化を完了させた元男達を率いて早暁、「生徒会室」への奇襲を進言し邪賢王ちゃんはこれを受諾。グループの副長として、両性院との約束を果たす為に、信用を裏切られ死んだ言葉の無念を晴らす為に、剣鬼の刃は今度こそド正義に向かって奔らんとす―――
対して次回、ド正義が講じる生徒会のハルマゲドン戦略。香魚の【災玉】が番長グループに知れていることを生徒会長が知らぬとは思えず、彼らが何某かその対策を行うことを予測していない筈は無い。はたして正義を戴く極悪眼鏡の策とは―――！？
